有珠火山2000年噴火対応
by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST
- はじめに
有珠山(USU-ZAN)は北海道南部,洞爺湖の南に位置する,2万ないし1.5万年前に活動開始した活火山で,成層火山体や溶岩ドームを持ち,これまでに玄武岩,安山岩 ,デイサイト,流紋岩を噴出させてきました.有珠山の山頂は大有珠(おおうす)で,標高は732 mです.
この有珠火山は,2000年3月31日に西山の西麓で噴火を開始し,火山灰を降らせるとともに,激しい地殻変動をひきおこしました.地殻変動は特に西山の周辺で激しく,数十メートルもの隆起が起こりました.しかしその後火山活動は落ちついて,2001年5月28日に開かれた火山噴火予知連絡会では「2000年3月に開始したマグマの活動は終息した」と宣言されました.
- 有珠山の位置
- グーグルマップで示すと,こちら→ 42.54388889 140.8388889になります.
- 2000年3月に噴火を開始した西山付近
- 2000年8月に訪れた際の様子をQuickTimeVRムービにまとめました.→こちらです.
- 動画
- 地質調査所職員による動画などは →こちらのページにあります
- 当時の速報
- 2000年3月〜6月の,非常に生々しい地質調査所有珠火山噴火チーム速報のアーカイブは →こちらです.
このページは地質調査所の宮城が,2000年3月31日に噴火した有珠火山の情報を提供するために,2000年3月29日に作成したものです.その後2007年7月に内容を若干更新しました.
目次 |
was New
- SIMSでみる火山噴火 (宮城@地調) 3月31日噴火のマグマ破砕深度は?
→マグマ溜まりの深さはどのぐらい? (宮城@GSJ) - 有珠火山噴火から五ヶ月後の現地の様子 (宮城@地調)
- 有珠火山噴火半年(2000年9月)後の現地の様子(東宮@地調)
- 有珠火山地域の空中磁気探査結果 (大熊@地調)
- 有珠山の地殻変動量 (空中写真解析 地調)
- 地下水観測結果 (地調)
- 有珠噴煙画像 (地調)
- 自動EDM(光測距)による地殻変動観測結果
- 噴火開始後翌日の空撮写真 (東宮@地調)
- Terra衛星搭載のASTERにより得られた4/14の熱赤外画像
災害対策情報
- 有珠火山2000噴火情報 (by 地質調査所 北海道支所 )
- 北大で決定した自動処理による震源リスト
- 有珠山緊急火山情報(by 北海道立 地質研究所)
有珠山の活動履歴
- 有珠火山地質図 (地調)
- 歴史時代の噴火推移の例(地調 東宮)
- 明治新山の噴火推移 (地調 金子(克))
有珠山の活動実績や研究紹介
噴火のシナリオ(有珠火山における過去の噴火経緯)
噴火のシナリオ(過去の実積),(地質調査所版)
- 有珠火山地質図 立体陰影図 (by 地質調査所)
- 有珠火山地質図 (地質調査所の 火山地質図 )
- 有珠火山−洞爺カラデラの歴史概説 (東宮@地調氏による)
- 有珠火山のページ (地質調査所 東宮昭彦氏 )
- 歴史時代の噴火推移の例(地調 東宮氏による) 歴史時代の噴火推移の例(地調 OB 曽屋氏による)
- 明治新山の 噴火推移 (地調 金子克哉氏によるまとめ)
- 昭和新山の 噴火推移 (地調 川辺氏によるまとめ)
過去の噴出物を見る
…堆積物の露頭に行く…
東宮・宮城の地質調査&試料採取 デジカメ画像
- 1977年降下軽石堆積物1769年明和,1822年文政,1863年嘉永の火砕流堆積物
- 1663年Us-b降下軽石堆積物を追いかけて…
→昭和新山から*約2km, → 約12km, → 約32km, →約34kmの地点
…火山体内と地下深くのマグマ…
- 有珠火山マグマ溜まりの進化モデル (東宮(1995)のエッセンスの紹介)
- 有珠火山マグマ溜まりの深さはどのぐらい? (宮城@地調のデータ)
※風景写真とともにみると深さを実感できます. - 電気伝導度で有珠の断面をみる(小川@地調 氏).
もと論文はこちら(PDF)
…文献など
- 有珠山に関する文献リスト (地質調査所の GEOLIS データを使用)
研究情報
噴火の映像
- 現在の画像 (閉鎖);
- 動画のバックナンバー (撮影by地調スタッフ)
- 有珠噴出物の酸素同位体比 (佐藤@地調)
- 自動EDM(光測距)による地殻変動観測結果
- 噴火開始後翌日の空撮写真 (東宮@地調)
- ヘリから撮影した4月14日噴火の写真 (by 地調 風早氏)
- 宇宙からみた有珠山噴火による降灰 (資源探査用将来型センサ(ASTER)による )
- 噴火開始後翌日の空撮写真 (東宮@地調)
- 有珠2000年噴火の写真 (by 上野@日大氏ほか)
- 3月31日噴火開始後1分毎の連続写真 (by 地調 風早氏)PDF
- サイロ展望台からみた3月31日噴火推移の画像 動画あり (by 川辺@地調)
- 4月 7日噴火の1秒毎の連続写真 と動画 (QuickTime 8MB; 4MB] (by 山元@地調)
- 4月14日噴火の写真 (by 地調 風早氏)
※PDF文書をみるには アクロバットリーダー が必要です.
※QuickTimeムービーをみるにはQuickTimeソフトウエア が必要です.
噴出物
- 3/31日には何が噴出したのか?
- 3/31日にはどのように噴出したのか?
- 3月31日に噴出した火山灰の写真 (by 北大)と特徴 (by 地調 and 北大).
- 3月31日に噴出した火山灰の降灰分布 と降灰量 (地調 北海道支所)
- 3月31日に噴出した火山灰の降灰分布 と 降灰量 (有珠山噴火火山灰合同調査斑)
- 3月31日に噴出した本質物質の写真 (by 地調)
噴火推移報告文書
by 地質グループ
- 有珠火山の2000年噴火 (萬年@神奈川県温地研)
地球物理観測
- 地下水観測結果 (地調)
- 主に地殻変動観測結果に基づいて,地調高田ほかは WPGM にて,有珠の噴火モデルに関する発表を行いました.
講演要旨(英語) - 自動EDM(光測距)による地殻変動観測結果
- セオドライト(精密経緯儀)による地殻変動観測結果 北麓, 南麓 (合同観測斑)
- 北大はプロトン磁力計を設置 した.
岩石学・地球化学
- 3月31日の噴出物に関して,地調東宮ほかは WPGM にて,発表を行いました. 講演要旨(英語)
- 3月31日噴火のマグマ破砕深度に関して,地調宮城ほかは 日本火山学会にて,有珠に関する発表を行いました. 講演要旨(日本語)
- 肉眼およびSEM画像観察結果 (星住@地調)
- 走査電子顕微鏡による3月31日火山灰の観察 (宮城@地調)
- 構成粒子および過去の噴出物のガラス化学組成 (宮城・金子(克)@地調)
- 磁鉄鉱鉱物化学組成 (宮城・金子(克)@地調)
- 石基ガラスと斑晶ガラス包有物の含水量 (by 宮城@地調)
- 2000年噴火の火山灰(嶋野@地震研)
- 約半分を占める火山ガラス(Us-2000g)の発泡形態 (宮城@地調)
- 磁鉄鉱鉱物の化学組成 とその背景 (by 東宮@地調)
- 他の噴出物との 酸素同位体比比較 (by 佐藤@地調)
- 他の噴出物の顔つきの比較画像( 宮城 東宮 久利 )
→洞爺火砕流,
→Us-b,文政,嘉永,明和,Us-1977 big I&III,倶多楽kt1,
→今回の噴出物 - 有珠山調査(2000年5月7-11日)日記 (by大場@東工大)
測量や試料観察&分析の手法
- レーザーアブレーション付き質量分析計による酸素同位体比測定 (佐藤@地調)
- 顕微鏡 (透過光,反射光,実体) (宮城@地調)
- EPMA用研磨片(ポリッシュ)の製作 (by 宮城@地調)
- 岩石薄片
- XRD
- EPMA
- SEM
- XRF
- カールフィッシャー法 (嶋野@地震研)
- SIMS(二次イオン質量分析計)を用いたガラスの揮発性成分分析 (by 宮城@地調)
- 光波測距儀(EDM)を用いた地殻変動観測 (撮影 宝田@地調)
- 光波測距儀(EDM)を用いた地殻変動観測 (撮影 宇都@地調)
- 空中写真解析 (斎藤[英]@地調)
- セオドライト(精密経緯儀)を用いた地殻変動観測 (撮影 宝田@地調)
- サイロ展望台からの噴煙観測 (地調 北海道支所)
火山やマグマの知識
おすすめ
- 火山災害の種類 (by USGS; アメリカの地質調査所)
- 火山ガス, 泥流・土石流, 熔岩流, 火砕流, 降下火砕物
※英語ですが,わかりやすい図と写真がたくさんあります - 沈み込み帯のマグマ学 (沈み込み帯のマグマについて興味をお持ちの方)
- 有珠山に関する易しい解説書紹介(小山@静大)
- 活火山に関する書籍紹介 (竹内普吾@東工大 氏による)
- 火山学者に聞いてみよう! (日本火山学会のサイトにある質問箱)
- リスクと付き合う (静岡大 小山氏による)
- 地質相談所 地質に関連する質問を受け付けています (地調)
その他有用なサイト
有珠山周辺の
空撮
ライブカメラ
リモートセンシング技術
- 衛星画像で有珠をみる (by 日本スペースイメージング)
- 衛星画像で有珠をみる (by 財: 資源・環境観測解析センター「ASTERプロジェクト」)
- 航空機SAR画像で有珠をみる (by 通信総合研究所)
有珠以外の火山
そ の た
- 研究打ち合わせ風景 (地調 セミナー室にて)
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