地質調査所有珠火山噴火チーム速報

by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST

噴火対応

火山灰関連ページ

霧島山新燃岳噴火への対応


桜島の火山灰


三宅島2000年噴火


有珠山2000年噴火

(宣伝 ^_^);
火山研究解説集:



親ページ
有珠火山2000年噴火対応


目次

地質調査所有珠火山噴火チーム速報

(地質調査所 有珠火山噴火対応状況速報)


速報3/28-4/1

報告日時:20000407-20.15.15:

3月28日 [未明より地震活動活発化.火山観測情報,臨時火山情報発表]

気象庁火山観測情報,臨時火山情報を受け,職員3名派遣を決定

目的:

  • 前兆現象の把握(温泉水・地下水の採水・分析)
  • 観測地点の設置
  • 地元大学,自治体などの対応状況に対する情報収集

噴火予知連絡会に資料提出

  • 「有珠火山噴火−過去の推移の例」作成(ホームページに掲載)


3月29日 [地震活動さらに活発化.緊急火山情報第1号発表]

出張者3名を派遣

地震活動活発化により,自主避難勧告発令.このため温泉・地下水採水不可能.

現地で開催された噴火予知連拡大幹事会に3名出席.

  • 有珠火山の過去の噴火活動事例について説明
  • 火山地質図「有珠火山」を配布
  • 「有珠火山現地調査の安全確保について」を所内関係者に配布


3月30日 [地震活動活発化,地殻変動検出]

有珠火山観測地点を設置

(洞爺湖カルデラ縁上,道路沿いの遠望可能地点6点設置)


3月31日 [午後1時10分頃噴火開始.火山噴火予知連絡会に有珠部会設置]

  • 午前中 北海道大学火山観測所周辺の地割れ調査
    その後,カルデラ縁上の観測定点から遠望観察中に噴火発生.
  • 午後  同地点で観察を継続,および火山灰調査
    17:30 噴火予知連有珠部会(伊達市)に,出張者3名出席
  • 火山灰調査結果について報告

(第二陣調査班−3名−)つくば出発

  • 有珠火山関連情報ホームページ公開開始
    http://www.gsj.go.jp/~imiyagi/Works/Event/Usu2000(資料)
  • 企画室・環境地質部を中心とする有珠火山活動対応チームとの合同会議を開催.
  • 所長を総本部長,環境地質部長を本部長とする「地質調査所有珠火山噴火対策本部」を設置.


4月1日 [噴火継続.3/31噴火口の北東部の金比羅山西部に新たな火口開口]

  • 噴火予知連に現地調査結果を報告
    「有珠火山2000年3月31日噴火推移」
    「有珠火山2000年3月31日噴火,降灰域調査速報」
    「壮瞥温泉近傍のクラック群について」
  • 現地調査チーム
    亀裂調査,降灰調査,遠望観察を続行

地調ホームページを見ての問い合わせ複数

  • 北海道航測:噴煙柱上昇速度について
  • フジテレビ 目覚ましテレビ:明治43年噴火に関する資料提供依頼 等

 注;有珠火山関連ホームページ開設以来,アクセス総数15625回


速報4/4

報告日時:20000405-17.20.18


本日の有珠火山活動状況情報

  • 地殻変動は停滞中
    有珠山周辺GPS連続観測結果によると,3/29以来,虻田-壮瞥,虻田-伊達で見られた 地殻変動(収縮)は,4/3に入って停滞中.
  • 火口付近に高温域(42℃,38℃)
    4/3に実施した赤外映像装置による山体温度観測結果によると,金毘羅山西側山麓火口の最高温度は42℃,31℃の高温領域があり,西山西麓の火口周辺には,北北東-南南西に配列する高温領域群があり,最高温度は38℃.
  • 噴火活動は断続的に継続中
    噴火活動は西山西麓と金比羅山西側山麓の2つの火口群で断続的に継続中.金毘羅山 西側山麓火口からの噴煙は5時15分に1200mまで上昇した.
    17時ころ,西山西麓の火口群(3/31形成)より西山山頂側に,新しい噴煙(白煙)が観測された.
  • 井戸水噴出
    伊達市長和中学校の井戸水の自噴が生じた(1-2t/min).

地質調査所の調査
現地調査

  • 洞爺湖南岸及び道央道虻田IC東近くの断層群の調査
    虻田IC東の断層群は,1-2日中に形成されたものではないと思われるが,本日の調査の結果,現在も活動していることが判明.調査結果を火山噴火予知連絡会に報告.今後も継続して観測を行う方針.
  • 洞爺湖東湖畔における地殻変動観測
    洞爺湖東湖畔(定点No.2)において洞爺湖南岸の地殻変動を検出するために,セオドライト(測量機器)による観測を実施.

分析・解析

  • 火山噴出物分析
    火山灰中の発泡ガラスについては,ガラス及び含有鉱物の形態の観察,微少領域の成分分析を実施中.軽石は化学分析実施中.
    【参考】噴出物の形態・組成等を調べ,過去の噴出物などとの比較を行うことにより,活動に関与したマグマの特徴などを把握することが可能となる.


速報4/5

報告日時:20000406-20.32.17


本日の有珠火山活動状況情報

  • 地殻変動が活発化
    西山北西部の断層群は東西方向に伸び,断層の北側が最大10m隆起.道央道虻田IC近くのGPS観測点は4月2日から3日にかけて南西に約10cm移動.
  • 噴火活動は断続的に継続中
    金比羅山西側山麓の火口群(4/1に形成)からは小規模な火山泥流が発生.さらに,金比羅山の北東斜面に小規模な白煙が上がる(新たな噴火口か?).
  • 地下水位が上昇
    伊達市長和中学校校庭にある北海道通産局の観測井の水位は,28日昼から急上昇し,30日昼頃には溢れ出した.北海道支所からの情報によると,同様な現象は有珠山周辺各所で起きている.

地質調査所の調査
現地調査

  • 道央道虻田IC東近くの断層群の調査
    虻田IC東の断層群は,昨日の調査の結果,現在も活動していることが判明.現在,自動光波測距装置による連続観測の可能性を検討中.
  • 洞爺湖東湖畔における地殻変動観測
    洞爺湖温泉西部の地殻変動状況を観測するために,セオドライト(測量機器)による観測を実施.
  • 現地に職員2名をさらに派遣
    地下水水位測定,地殻変動(傾斜計),地震活動,地表表面温度観測の準備を進める.

分析・解析

  • 火山噴出物分析
    火山灰中の火山ガラス及び含有鉱物の形態の観察,微小領域の成分分析を実施中.軽石は化学分析実施中.微量成分分析の可能性を検討中.
    【参考】噴出物の形態・組成等を調べ,過去の噴出物などとの比較を行うことにより,活動に関与したマグマの特徴などを把握することが可能となる.
  • 降灰分布調査結果
    3月31日から4月2日の噴火の降灰分布の現地調査結果を火山噴火予知連絡会に送付した.
  • 衛星画像解析
    地球資源衛星「Terra」に搭載された資源探査用将来型センサ(ASTER)により,有珠火山周辺の4月3日時点の降灰分布が明瞭にわかる.この画像と現地調査結果を元に降灰分布の時間変化の解析を検討している.
    【参考】「資源探査用将来型センサ」は通商産業省により資源探査用に開発された光学センサで,米国航空宇宙局によって打ち上げられた地球資源衛星「Terra」に搭載されている.
  • 地下水調査
    伊達市長和中学校にある北海道通産局産業立地課の観測井の水位変動データを火山噴火予知連に送付した.


速報4/6

報告日時:20000406-21.00.57

本日の有珠火山活動状況情報

  • 西山西部で溶岩ドームの可能性
    4月5日に行われた火山噴火予知連絡会有珠部会において今後の火山活動について検討され,有珠山北西山麓での溶岩ドーム活動に移る可能性が高いとの見解が発表された.ドーム出現前には,爆発的噴火や火砕流が発生する恐れがある.
  • 地殻変動は進行中
    西山北西部の断層活動はさらに進行中(現地調査班情報).
  • 噴火活動は断続的に継続中
    金比羅山西側山麓の火口群(4/1に形成)から断続的に噴煙が上がっている(TV報道).

地質調査所の調査
現地調査

  • 洞爺湖東湖畔における地殻変動観測
    洞爺湖温泉西部の地殻変動状況を観測するために,セオドライト(測量機器)による観測を実施.
  • 火口調査
    噴火状況を上空から観察.
  • 自動光波測距装置による連続観測
    火山噴火予知連絡会有珠部会において,無人による地殻変動連続観測が検討された.地質調査所では自動光波測距装置による地殻変動観測を行うことを決定した.
    【参考】現在行われている地殻変動観測は手動であり,観測者が危険にさらされている.地質調査所が所有している自動光波測距装置は無人観測が可能である.

分析・解析

  • 火山噴出物分析
    3月31日に放出された火山灰試料(現在分析中)に加えて,4月2日に採取された火山灰中の分析を開始した.軽石は化学分析実施中.過去の噴出物試料も比較のために分析開始.
    【参考】噴出物の形態・組成等を調べ,過去の噴出物などとの比較を行うことにより,活動に関与したマグマの特徴などを把握することが可能となる.


速報4/7

報告日時:20000414-18.03.05


本日の有珠火山活動状況情報

  • 地殻変動は進行中
    有珠山の西山西側山麓と金比羅山北西側山麓の二つの火口群が延長約2キロの断層群でつながっていることが,4/6午後分かった.今後,この断層群に沿って新しい火口が増える可能性が高い.また,虻田IC北にも新たな断層が発見された.
  • 噴火活動は断続的に継続中
    活発に噴煙を上げている洞爺湖温泉に近い金比羅山の南の火口群の一つの直径が,前日のほぼ2倍の約100メートルに成長している.

地質調査所の調査
現地調査

  • 火山噴火予知連絡会に調査結果を報告
     3/31の噴火による降灰量調査結果を,火山噴火予知連絡会に報告した.
  • 洞爺湖東湖畔における地殻変動観測
    洞爺湖温泉周辺域の地殻変動状況を観測するために,セオドライト(測量機器)による観測を実施.
  • 火口調査
    火山噴火予知連絡会有珠部会総合観測班の一員として,噴火活動の状況を上空から観察.
  • 地下水位の観測
    有珠火山周辺の井戸の水位を北海道大学の調査班とともに観測.
  • 自動光波測距装置による連続観測
    現在移動中.今夕,現地に入る予定.

分析・解析

  • 火山噴出物分析
    3/31日の火山灰について組織の観察と分析作業を行い,2種類の火山ガラスが存在することが判明した.
    一つは火山灰中の含有量が1%以下で結晶のない発泡したガラスで,化学組成から洞爺カルデラ形成時(3万年以上前)の噴出物と推定される.
    もう一方は,今回の噴火により放出された火山灰の約5割を占めるもので,微結晶に富み,発泡度が多様な火山ガラスで,カリウムやチタンの量が洞爺カルデラ形成時に噴出されたものとは明らかに異なる.後者のガラスが,今回の火山活動を起こしているマグマの急冷物質であるのか,それとも1977年軽石の破片なのかは検討中である.
    【参考】噴出物の形態・組成等を調べ,過去の噴出物などとの比較を行うことにより,活動に関与したマグマの特徴などを把握することが可能となる.

特記

  • 衛星画像撮影
    地球資源衛星「Terra」に搭載された資源探査用将来型センサ(ASTER)により,有珠火山周辺について,11時に可視光撮影,21時に熱赤外映像撮影を行う.


速報4/8-10

報告日時:20000414-18.04.18


4/8-4/10の有珠火山活動状況情報

  • 噴火活動続く
    西山の火口群で新たな火口が形成され,成長している.金比羅山の火口群にも洞爺湖温泉街から200mの場所に新たな火口が形成された.噴火活動は従来からのマグマ水蒸気爆発が断続的に続いている.火山噴火予知連絡会有珠山部会は,4/9に開かれた記者会見で,短期的には爆発的な噴火など火山活動が急変する可能性は少ないとの判断を示した.
  • 熱泥流が発生
    金比羅山北西側山麓の火口付近から熱泥流が洞爺湖温泉街に向かって流れ出し,排水路を伝って洞爺湖に流れ込んだ.
    【参考】熱泥流:火山泥流の一種で,温度の高い(100℃以下)もの.例えば噴火直後の火山噴出物等が冷えきるまでに,火山泥流として流れ下った場合,熱を帯びた火山泥流となる.湯気を上げながら流れ下る火山泥流として,遠方からも確認することができる.

地質調査所の調査
現地調査

  • 洞爺湖東湖畔における地殻変動観測
    洞爺湖温泉西部の地殻変動状況を観測するために,セオドライト(測量機器)による観測を継続.観測結果を解析したところ,洞爺湖温泉西部の地殻変動(上昇・北部への移動)が継続していることが判明.
  • 地下水位の観測
    井戸の水位を北海道大学の調査班とともに観測.伊達市長和中学校の自噴井戸の水量測定を行った結果,流出量は約400リットル/分であった.
  • 自動光波測距装置による連続観測
    現地にて自動光波測距装置の設置場所,電源設備を検討.

分析・解析

  • 火山噴出物分析
    3/31に採取された軽石試料の組織の観察と局所化学分析を継続中.今回採取された軽石中の鉄鉱物(マグネタイト)の分析(現在実施中)によると,鉄鉱物の化学組成は1977年噴出物に含まれる鉄鉱物とは異なっていることが判明した.このことから,3/31に噴出した軽石試料は,今回の噴火活動に関与したマグマが地表に噴出したものであるという可能性が指摘できる.
    【参考】噴出物の形態・組成等を調べ,過去の噴出物などとの比較を行うことにより,活動に関与したマグマの特徴などを把握することが可能となる.
  • 衛星画像撮影
    地球資源衛星「Terra」に搭載された資源探査用将来型センサ(ASTER)により4/3に有珠火山周辺を撮影した画像を解析し,3/31から4/2までの降灰分布状況を検討した.この結果は,火山噴火予知連絡会に報告した.また,4/7に有珠火山周辺を撮影した画像についても解析したところ,4/3以降の噴火による降灰域が確認された.この火山灰は洞爺湖の北北西10kmまで伸びており,有珠山周辺の風向変化と遠望観察結果に基づき,4/4の噴火によるものと推定された.この降灰の存在については,これまであまり認識されていなかったので,急遽地表地質調査を開始した.


速報4/11

報告日時:20000414-18.05.33


4/11の有珠火山活動状況情報

  • 複数の火口から噴火活動が断続的的に継続
    噴火活動は西山西麓の火口群と金毘羅山西側山麓の火口群でマグマ水蒸気爆発が断続的に継続.水路から溢れ出した泥流により,橋梁・小学校・住宅が被災.

地質調査所の調査
現地調査

  • 洞爺湖東湖畔における地殻変動観測
    洞爺湖温泉西部の地殻変動状況を観測するために,セオドライト(測量機器)による観測を継続.4.5-4.10の観測結果を現地で解析した結果を噴火予知連絡会有珠山部会において報告.
  • 地下水位の観測
    井戸の観測を継続.
  • 自動光波測距装置による連続観測
    自動光波測距装置の設置を開始.本日はテント張りの機器観測点を設置.明日以降,プレハブ仮設観測小屋を建設する予定.

分析・解析

  • 火山噴出物分析
    3/31日に採取された軽石試料の組織の観察と局所化学分析を継続中.今回採取された軽石中の鉄鉱物(磁鉄鉱)の分析したところ,鉄鉱物の化学組成はおよび鉱物内の組成分布は1977年噴出物に含まれる鉄鉱物とは異なることが判明した.
    【参考】噴出物の形態・組成等を調べ,過去の噴出物などとの比較を行うことにより,活動に関与したマグマの特徴などを把握することが可能となる.


速報4/12

報告日時:20000414-18.06.47


4/12の有珠火山活動状況情報

  • 噴火活動続く
    噴火活動は西山西麓と金毘羅山西側山麓でマグマ水蒸気爆発が断続的に続いている.

地質調査所の調査
現地調査

  • 洞爺湖東湖畔における地殻変動観測
    洞爺湖温泉西部の地殻変動状況を観測するために,セオドライト(測量機器)による観測を継続.
  • 自動光波測距装置による連続観測
    自動光波測距装置を設置.

分析・解析

  • 昭和新山の噴火推移と発生した火砕流についてのまとめ
    昭和新山では,1943年12月から6ヶ月間の地震活動後,水蒸気爆発やマグマ水蒸気爆発が発生した.この爆発は1944年6月から始まり,その後も爆発継続時間や頻度は小さいものの1945年8月まで続いた.この噴火では小型の火砕流(1944年7月11日発生)が1回発生した.この火砕流は,噴煙が上空1km前後まで上昇したものの浮力が獲得できず,噴煙柱崩壊を引き起こしたために起きた.この火砕流は樹木の半面を焼いたようだが火砕流の温度について正確なデータはない.ドーム形成は地震発生時から始まり,約300m隆起し,1945年10月に終了した.
  • 4/7のASTER画像に関する解析結果をプレス発表
    4/7に撮影されたASTER画像の解析結果について,筑波記者クラブにプレス発表を行った.毎日新聞より問い合わせがあり,明日掲載予定.このほか,朝日新聞からも質問を受けた.


速報4/13

報告日時:20000414-18.08.16

4/13の有珠火山活動状況情報

  • 噴火活動続く
    西山西麓と金毘羅山西側山麓で断続的に噴煙が上がり,噴火活動が継続している.午前中,専門家が行った上空からの調査では噴火活動や地盤の変動に大きな変化はなかった.
    火山噴火予知連絡会が4/12に開催され,「当面は現状と同様の水蒸気爆発〜弱いマグマ水蒸気爆発が継続する.今後,地下水やマグマの状況が変化した場合,北西山麓でやや大きな爆発が発生する可能性があるので,当面は北西麓での噴火活動に対する警戒が最重要である.」との統一見解が発表された.

地質調査所の調査
現地調査

  • 有珠山北麓における地殻変動観測
    洞爺湖温泉町の地殻変動状況を観測するために,セオドライト(測量機器)による観測を継続.南北両方向からの有珠山山頂部の観測についても検討中.
  • 自動光波測距装置による連続観測
    プレハブ小屋に,自動光波測距装置を設置中.データの転送装置の設置はまだ完了していないが,観測は実施.

分析・解析

  • 火山噴出物分析
    3/31に採取された試料の内,細粒構成物(粒径2mm〜1/16mm)の火山灰に含まれる鉄鉱物(マグネタイト)を分析したところ,鉄鉱物の化学組成は3/31に採取された軽石試料中の鉄鉱物の化学組成と一致した.
    【参考】噴出物の形態・組成等を調べ,過去の噴出物などとの比較を行うことにより,活動に関与したマグマの特徴などを把握することが可能となる.


速報4/17

報告日時:20000424-15.49.57


4.15-4.17の有珠火山活動状況情報

  • 噴火活動は継続
    西山西麓と金毘羅山西側山麓で断続的に噴煙が上がり,噴火活動が継続.西山では2−3個の火口が活発に活動し,黒灰色の噴煙が上がっている.金毘羅山では2個の火口が活動し,火口内には湯だまりが形成されている.また,N火口群とK火口群の中間部分で隆起が進行している.

地質調査所の調査
現地調査

  • 有珠山北麓における地殻変動観測
    洞爺湖温泉町の地殻変動状況を観測するため,セオドライトによる観測を継続.噴火口周辺にも複数のターゲットを追加し観測開始.N火口群そばのターゲットが一日に約1m隆起している.
  • 自動光波測距装置による連続観測
    自動光波測距装置による観測を開始.
  • 地下水位の観測
    観測用井戸の水位観測を継続.虻田町の避難区域で自噴した井戸を発見し採水.
  • 上空からの噴火活動観測
    4.15-16には自衛隊のヘリコプターに乗り,噴火活動や火口状況を目視にて観測.N火口の噴火は,基本的にはコックステールジェットで出口での色は黒—灰色.K火口内には水がたまっており,洞爺湖温泉街の泥流はこの水が流れ出したためと思われる.


分析・解析

  • 火山噴出物分析
    3/31に採取された火山灰試料中のガラスに含まれる鉄鉱物(マグネタイト)を分析した結果,鉄鉱物の化学組成は,3/31の降下軽石に含まれる鉄鉱物の化学組成に一致した.さらに,西山火口周辺に堆積している1977年噴火噴出物を詳細に分析した結果,軽石およびガラスに含まれる鉄鉱物は1977年噴出物に含まれる鉄鉱物とは異なることが判明した.
    【参考】噴出物の形態・組成等を調べ,過去の噴出物などとの比較を行うことにより,活動に関与したマグマの特徴などを把握することが可能となる.


速報4/18

報告日時:20000424-15.50.28


本日の有珠火山活動状況情報

  • 噴火活動は継続
    西山西麓と金毘羅山西側山麓で断続的に噴煙が上がり,噴火活動が継続.西山西麓では2〜3個の火口が活発に活動し,黒灰色の噴煙が時折上がっている.金毘羅山では2個の火口が活動し,火口内には湯だまりが形成されている.

地質調査所の調査
現地調査

  • 有珠山北麓における地殻変動観測
    N火口群周辺北側および洞爺湖温泉町の地殻変動状況を観測するため,洞爺湖東湖畔からセオドライトによる観測を継続.西山西麓の火口群周辺の隆起は継続.
  • 有珠山南麓における地殻変動観測
    N火口群周辺南側の地殻変動状況を観測するため,虻田町からセオドライトによる観測を開始.西山西麓の火口群周辺の隆起は継続.
  • 自動光波測距装置による連続観測
    自動光波測距装置による観測を継続.道央道洞爺湖虻田IC近くの地殻変動は継続している.
  • 地下水位の観測
    観測用井戸の水位観測を継続.伊達市長和中学校にある観測用井戸(北海道通商産業局所有)について,噴火前の地震増加に伴う水位変動の詳細な観測データを伊達市役所から入手.今後,解析を行う.

分析・解析

  • 地下水位の観測
    現在,有珠火山周辺で合計25ヶ所の観測用井戸の水位観測を行っているが,4つの観測用井戸で顕著な水位変動が見られる.このうち自噴している3つについて水を採取.


速報4/21

報告日時:20000529-11.15.51


本日の有珠火山活動状況情報

  • 噴火活動は継続
    西山西麓と金毘羅山西側山麓で,噴火活動が継続.両地域では水蒸気を多く含んだ白い噴煙に加えて火山灰などを多く含んだ黒っぽい噴煙が上がっており,火山噴火予知連絡会有珠山部会は噴火口周辺の地下水が減少傾向にあると推定.
  • 噴火による泥塊の放出
    金比羅山火口から約2.5-3.5km離れた虻田町月浦地区で,同火口から放出された思われる泥塊(最大のものは長径30センチ,重さ約3キロのラグビーボール形)を複数確認.これらは,金比羅火口が拡大する際に,火口周辺の熱で固められた泥が放出されたものである,と有珠山部会は推定.
  • マグマからの二酸化硫黄を検出
    金比羅山の火口から大気中に放出されている火山ガスの観測が4/19に行われ,マグマに含まれている成分である二酸化硫黄の放出量が5トン/日であることが判明.マグマの活動を示すデータとして今後の放出量の推移に注目.
  • 隆起中心が移動
    有珠山周辺の地殻変動は継続.隆起の中心は,3/31-4/3では西山西麓と金毘羅西麓の火口群の中間付近であったが,4/13-4/16には西山西麓の火口群付近に変化.隆起の中心が南西方向に約500m移動していることが判明.
  • 地殻変動は以前継続
    有珠山周辺の地殻変動は,時間あたりの変動量が減少している場所もあるが,依然継続.

地質調査所の調査
現地調査

  • セオドライトによる地殻変動観測
    西山西麓の火口群周辺及び洞爺湖温泉地殻変動状況を観測するため,セオドライトによる観測を継続.
  • 自動光波測距装置による連続観測
    西山西麓の隆起中心付近の地殻変動状況を観測するために,自動光波測距装置による観測を継続.
  • 地下水位の観測
    井戸の調査を継続.
  • 火口および噴煙の目視観測
    火山噴火予知連合同観測班の一員として,ヘリコプターに搭乗し,火口,噴煙,地形変動を上空から観察.

分析・解析

  • 地下水観測
    通産局観測1号井(伊達市長和中学校内)の自噴量が減少傾向にある事を確認.4/4には自噴量は400リットル/分であったのが,本日までに約250リットル/分程度まで漸減.観測結果は,口頭で伊達市役所に連絡.自噴が終了した後の地下水位を観測するために水位計を設置する予定.
  • ASTERセンサによる熱短波長画像解析
    4/14 午後9時53分に撮影された,熱短波長画像を入手.解析中.西山の西麓に1カ所,金比羅山西麓に2カ所の高温域を確認.現在活動中の火口と推定.金比羅山西麓の火口から,洞爺湖温泉街に向かって周辺よりも若干高温の領域が筋状に伸びており,これは泥流流下域を捉えた可能性がある.有珠火山山頂火口周辺及び昭和新山山頂付近にも高温域が点在.噴火活動以前から確認されていた高温域の位置と,特に大きな違いは認められない.
  • 噴出物分析:3/31噴火はマグマが強く関与
    3/31の噴火による火山灰および軽石について現在まで得られている分析結果をまとめ,火山噴火予知連絡会に報告.他機関による同火山灰の分析ではガラス含有量が1%しかなかったと報告されていたため,水蒸気爆発〜わずかにマグマ物質が関与した弱いマグマ水蒸気爆発とされていたが,地質調査所による詳細な分析の結果,実際には火山灰の約半分は今回の噴火活動を起こしたマグマ物質であることが判明.詳しい分析結果は,地質調査所のホームページhttp://www.aist.go.jp/GSJ/~imiyagi/Works/Event/Usu2000/petrol/0331/sum/に掲載.

見解

  • 今回の噴火の噴火様式と火砕流発生の条件について
     3/31の噴火では,ガス成分に富むマグマの頭部が減圧による発泡・破砕の後,地下水と混合し噴火.この際は,マグマに対する地下水の混合比が小さかったため,噴煙密度が小さく,高度3000m以上に達する安定した噴煙柱が形成.
     これに対し,最近の噴火は,マグマに対する地下水の混合比が大きいため,浮力を獲得できず,噴煙高度の低い(高度500m以下),湿った噴煙が噴出.マグマに対する地下水の混合比が0.2-0.4の場合,形成される噴煙柱が不安定になり,噴煙柱崩壊による火砕流が発生する可能性がある.マグマと地下水との接触状況の指標として,噴煙温度の観測が重要.
  • 地殻変動観測
    地殻変動中心域の移動の検知に対し,地調のセオドライト観測が重要な観測データを提供したとして,現地合同観測班内で高い評価を受けている.
  • ASTERセンサによる熱短波長画像解析
    熱短波長画像は現在活動中の噴火口の位置と,既知の地熱地域を良く把握しており,火山地域の地熱異常地域の把握・監視に有効であることを示している.


速報4/28

報告日時:20000529-11.28.49

4/28の有珠火山活動状況情報

  • 噴火活動は継続
    西山西麓と金毘羅山西側山麓で各々複数の火口から白っぽい噴煙が上がり噴火活動が継続.金比羅山火口群には新たに直径50メートルを超える火口が形成.4/21-22には降雨があったが,4/23の上空からの観測によると,泥流の発生は確認されていない.
  • 地殻変動は鈍化傾向
    西山の火口群付近を中心とした地盤の隆起は,1日10cm程度に鈍化.洞爺湖温泉地区,虻田町などの周辺部の地殻変動も鈍化傾向.上空からの調査では二つの地域の火口の周辺やその間にできていた多数の断層が亀裂のように長く伸びていることが確認された.また,洞爺湖温泉街の西側に南北方向走る新たな断層が見つかった.
  • 観測井からのガス組成
    昭和新山北の観測井から沸き上がるガスのH2およびCO濃度は,4/4以降減少傾向.マグマ起源のガスの寄与が減少していると判断.

地質調査所の調査
現地調査

  • 自動光波測距装置による連続観測
    有珠山西側について自動光波測距装置による観測を継続.
  • セオドライトによる地殻変動観測
    西山西側の地殻変動状況を観測するため,セオドライトによる観測を継続.この周辺では,西山西の火口群の近傍の地溝状に断層群が発達した中心付近の隆起速度が最も大きく,4/13-4/26の間に約5m隆起している.隆起速度は最近やや減少してきている.詳しい観測結果は,地質調査所北海道支所のホームページ http://www.aist.go.jp/GSJ/bHOK/usu-HP/photo/theopic/theopic.html に掲載されている.
  • 噴煙の熱映像観測
    西山の火口から出ている噴煙の温度を測定するため,火口から1.4km地点において熱映像観測を実施.
  • 火山ガス観測
    有珠山山頂火口内の火山ガス調査(噴気孔分布および活動状況,ガス温度および地温測定,ガス組成分析のための試料採取)の実施を予定.

分析・解析

  • 噴出物分析
    3/31の噴火による火山灰中のガラスの含水量が約2.5 wt%であることが判明した.この結果から,3/31の噴火を起こしたマグマは,噴火直前に深さ1-1.5kmにおいて発泡・破砕していた可能性が高い.
    【参考】マグマへの水の溶解度はマグマが受けている圧力が減少するにつれ,低下する.そこで,マグマの急冷物であるガラスの含水量を測定することにより,噴火直前のマグマの深さを推定することができる.
  • 衛星画像(熱赤外画像)の地質学的解析
    通商産業省が開発したASTERセンサ(Terra衛星搭載)により,4/14に有珠火山周辺域の観測が行われた.熱赤外放射計での観測画像には,現在活発に噴火活動をしている複数の火口や泥流の痕跡が明瞭に捉えられている.今回の結果は,ASTERシステムを用いた熱赤外画像による繰り返し観測が,火山活動の推移を把握する上で有効な監視観測であることを示している.
     解析結果は,地質調査所「有珠火山関連情報」ホームページ http://www.aist.go.jp/GSJ/~imiyagi/Works/Event/Usu2000/HomePgge.html に掲載.
    ■参考:ASTERは,可視バンドから熱赤外バンドまでを観測することができる高性能光学センサ(可視近赤外放射計,短波長赤外放射計,熱赤外放射計などのセンサーから構成)で,NASA(米航空宇宙局)が打ち上げた人工衛星(Terra)に搭載されている.また,短波長赤外放射計,熱赤外放射計による観測では,地表の温度観測が可能である.

見解

  • 最近の地殻変動に対する議論のまとめ
     昭和新山の形成(1943-1944)の記録によると,地盤の隆起活動がいったん鈍化した後,その隆起によって形成された屋根山のほぼ平坦な頂部の一部が,一旦凹型になった.これは,局所的に隆起速度の遅い地点ができたためで,沈降活動が起こったのではない.結果的に,凹地のそのほぼ中心部から溶岩ドームが出現し,昭和新山となった.
     火口群周辺で最近観測されている隆起速度の低下が,今回の火山活動の沈静化を示すのか,それとも昭和新山の場合と同様に溶岩ドームが出現する前兆を示すのかはまだ明確ではない.


速報5/2

報告日時:20000529-11.32.57

4/29-5/1の有珠火山活動状況情報

  • 噴火活動は継続
    西山西麓で1つ,金毘羅山西側山麓で2つの火口から白っぽい噴煙が上がり噴火活動が継続.時折,土砂噴出が起きている.
  • 地殻変動は鈍化傾向
    西山の火口群付近を中心とした地盤の隆起は鈍化傾向,洞爺湖温泉地区,虻田町などの周辺部の地殻変動も鈍化.

地質調査所の調査
現地調査

  • 自動光波測距装置による連続観測
    有珠山西側について自動光波測距装置による観測を継続.
  • 火山ガス観測
    有珠山山頂火口内の火山ガス調査(噴気孔分布および活動状況,ガス温度およびガス流速測定,ガス組成分析のための試料採取)を実施.観測された火山ガスの最高温度(465℃)は昨年7月と同程度で,明瞭な変化は認められなかった.噴煙観測の基礎データを取得するために,気温・湿度の自動測定装置を山頂火口の南側に設置.
  • 山頂火口内の割れ目調査
    火山ガス観測の際に山頂外輪山南側および山頂火口内に多くの割れ目を発見.基本的にほぼ東西性の開口割れ目で,大部分は4/23以前に形成されたものと思われる.
  • 熱映像観測
    金毘羅山の火口および有珠山山頂火口の噴煙の温度を熱映像装置を用いて観測.
  • 地下水観測
    壮瞥町にある旧北大有珠火山観測所内の井戸に水位計を設置.
  • 現地常駐体制を一時解除
     地質調査所では噴火前の3/29より約1ヶ月間現地に複数の研究者が常駐し噴火活動観測を行ってきた.しかしながら,噴火活動が長期化したため出張旅費捻出の問題が浮上してきたことに加え,活動自体も大きな変化がみられなくなったため,観測体制について再検討した.その結果,現地での研究者の常駐体制を一時解除し,北大有珠火山観測所等にある車両,宿泊所等に蓄積していた調査機材については一時撤収することを決定し,3/30につくば市の本所及び北海道支所に移送した.とりあえず今後は,北海道支所から週2回程度現地に日帰り出張を行い,セオドライトによる地殻変動観測を継続する.なお,自動光波測距装置による地殻変動観測は継続して実施. また,本所では,火山活動および作業進行の現状を共通認識とするために,有珠火山噴火対応チームのブリーフィングを毎日行っていたが,現地の常駐体制が終了したことに呼応して,週1回程度にすることになった.


速報5/12

報告日時:20000529-11.35.47

5/12の有珠火山活動状況情報

  • 噴火活動は継続
    西山西麓と金毘羅山西側山麓の各々2つの火口から水蒸気主体の白煙を上げる火山活動を継続.時折,土砂噴出も発生.上空からの観察によれば,一時は最大で直径200mほどに成長した火口は,火口内壁から崩れ落ちた土砂により埋められ,火口径が縮小.また,土砂噴出の規模や頻度も減少傾向.
  • 地殻変動は鈍化傾向
    セオドライトなどの観測によると,西山の火口群付近を中心とした地盤の隆起は1日10-20cm程度で,鈍化傾向にあるが継続中.GPS観測によれば,4/21-5/4に有珠山頂南外輪山が1日0.5cm程度の速度で東側(現在活動中の噴火口から遠ざかる方向)へ移動していることが判明.

地質調査所の調査
現地調査

  • セオドライトによる地殻変動観測
    有珠山南西麓および北麓についての観測を継続.
  • 自動光波測距装置による連続観測
    有珠山西側について自動光波測距装置による観測を継続.
  • 地下水観測
    有珠山周辺の観測井(通産局1号および2号)について地下水位観測を継続.
  • 3/31噴火の概要を公表
    日本地質学会発行「地質学雑誌」最新号(2000年第4号)に有珠火山2000年3月31日噴火に関する速報(口絵2頁および解説記事)を公表.


速報5/19

報告日時:20000529-11.38.29

5/19の有珠火山活動状況情報

  • 噴火活動は継続
    西山西麓と金毘羅山西側山麓の複数の火口から水蒸気主体の白煙を上げる活動を継続.金毘羅山西側山麓の火口では,時折,土砂噴出も発生.
  • 地殻変動は鈍化傾向
    セオドライトなどの観測によると,西山の火口群付近を中心とした地盤の隆起は鈍化傾向にあるが継続中.
  • 地震活動他に変化なし
    地震や空振は回数は少ないが,継続.
  • 噴煙による放熱量は減少傾向
    西山西麓と金毘羅山西側山麓の両火口群からの噴煙による放熱量は,4月中旬から減少傾向.

地質調査所の調査
現地調査

  • セオドライトによる地殻変動観測
    有珠山南西麓および北麓についての観測を継続.
  • 自動光波測距装置による連続観測
    有珠山西側について自動光波測距装置による観測を継続.
  • 地下水観測
    有珠山周辺の観測井(通産局1号および2号)について地下水位観測を継続.


速報5/26

報告日時:20000529-11.42.01


5/26の有珠火山活動状況情報

  • 火山噴火予知連絡会で新たな統一見解
    5/22に気象庁で第85回の定例会が開催.有珠山の火山活動について,「マグマの活動は次第に低下しており,このままの傾向が続けば,噴火が終息に向かう可能性がある」とした統一見解を発表.
  • 噴火活動は継続
    西山西麓と金毘羅山西側山麓の複数の火口から水蒸気主体の白煙を上げる活動を継続.
  • 地殻変動は鈍化傾向
    セオドライトなどの観測によると,西山の火口群付近を中心とした地盤の隆起は鈍化傾向ながら継続中.
  • 地震活動他に変化なし
    地震や空振は回数は少ないが,継続.
  • 有珠山部会は週1回に変更
    隔日で行われていた現地での有珠山部会が週1回の開催に変更.次回は5/26を予定.

地質調査所の調査
現地調査

  • セオドライトによる地殻変動観測
    有珠山南西麓および北麓についての観測を継続.
  • 自動光波測距装置による連続観測
    有珠山西側について自動光波測距装置による観測を継続.
  • 地下水観測
    有珠山周辺の観測井(通産局1号および2号)について地下水位観測を継続.所員1名現地に出張し,地下水位の連続観測機器設置のための工事監督等を実施.1号井の抗口工事終了.2号井の地下水位連続観測データの転送システム調整中.
  • 火山噴火予知連絡会に資料提出
    地質調査所によって得られている観測結果を,5/22の火山噴火予知連絡会定例会に提出.


速報6/5

報告日時:20000606-08.38.30

6/5の有珠火山活動状況情報

  • 噴火活動は継続
    西山西麓と金毘羅山西麓の複数の火口から水蒸気主体の白煙を上げる活動を継続.金毘羅山のK-A火口では小規模なジェットの噴出ととも に,噴石を放出する噴火(炸裂型噴火)が間欠的に発生しており,K-B火口では頻繁 に噴石を放出する炸裂型が起こっています
  • 地殻変動は鈍化傾向
    セオドライトなどの観測によると,西山の火口群付近を中心とした地盤の隆起は鈍化傾向ながら継続中.
  • 地震活動他に変化なし
    地震や空振は回数は少ないが,引き続き起きている.

地質調査所の調査
現地調査

  • セオドライトによる地殻変動観測
    有珠山西麓および北麓についての観測を継続.
  • 自動光波測距装置による連続観測
    有珠山西側について自動光波測距装置による観測を継続.隆起活動が継続している西山火口群付近の地殻変動の自動連続観測を可能にするため,所員2名が6/3-6に現地に出張し,新たに観測目標点を設置する作業を行っている.
  • 地下水観測
    有珠山周辺の観測井(通産局1号および2号)について地下水位観測を継続.観測2号井についての水位記録のホームページによる公開を始めた(アドレスは http://gxwell.aist.go.jp/ ).所員1名が6/5-8に現地に出張し,地下水位の連続観測機器の設置作業を行っている.
  • 空中物理探査
    空中物理探査の1回目を6月中に行う予定.


噴火の推移 (by 地質グループ)

有珠山2000年3月31日噴火推移

地質グループ(地質調査所,北海道大学,道立地質研究所,北海道教育大)

有珠山で31日午後噴火が起きました.

噴火開始から有珠山の北約9kmのサイロ展望台から観察したこの噴火の推移を速報として報告します.

時刻は当日午前にラジオの時報にて時刻合わせ済み.誤差は±5秒以内.

(観察者;川辺,広瀬,風早,宝田,吉本)

31日

13時 7分すぎ
 噴火開始.噴火位置は西山潜在円頂丘の西,国道230号が洞爺湖温泉から虻田町に抜ける峠の向こう側.有珠山山頂を観察していたため,噴火の瞬間は目視していないが,噴火開始後数十秒以内に確認.ビデオでの噴火撮影時刻は13時7分59秒.噴煙はゆっくりと上昇し,初め白く,次第に黒くなる.噴煙は北東に流される.
13時21分
 カリフラワー状の黒い噴煙.噴煙の上昇高度はあまり高くない.
13時25分
 噴火弱まり白い噴煙が多くなる.山頂部が見えるが特に変化なし.
13時29分
 再び黒い噴煙が上昇開始.コックステイルジェット,落下する噴石が見える.
13時42分
 噴煙弱まる.
13時45分
 黒い噴煙再び上昇.
13時50分
 上昇早い黒い噴煙.これより前の噴煙より勢い強い.噴煙高度2000m以上.時々火山雷.一部は上昇せず落下.
14時16分
 噴煙白くなり勢い弱まる.
14時19分
 再び黒い噴煙上昇開始.勢い強い.噴煙の根元に水平に西に流れる噴煙も見られる.
14時52分
 黒噴煙止まる.火口には白い噴煙のみ.消長を繰り返す.
15時27分
 再び黒い噴煙.5分ほど継続.以降白煙.
15時40分ごろ
 コックステイルが顕著に観察される.
15時47分
 黒煙顕著.以降白煙とコックステイルジェットの活動を17時過ぎまで繰り返す.
17時15分
 サイロ展望台より撤収.

有珠山2000年4月1日噴火推移

by 地質グループ(道立地質研究所,地質調査所,北海道大学理学部地球惑星科学教室,北海道教育大)


(観察者;広瀬,田近,和田,櫻井)


有珠山では,4月1日昼に,洞爺湖温泉から1kmの位置に新たな火口が形成され,31日および1日早朝に形成された有珠山西側の火口とともに活発な噴火活動が継続している.

ここでは,噴火開始約20分後から有珠山の北約10kmの洞爺病院および北約9kmのサイロ展望台から観察した噴火の推移を速報として報告する.ビデオ時刻は前日午前にラジオの時報にて時刻合わせ済み.誤差は±5秒以内.それ以外の時刻は広瀬の腕時計による.ラジオ時報より20秒遅れている.


1日

11時 30分すぎ(正確な開始時刻不明)
噴火開始.噴火位置は金毘羅山の西山腹.噴火は自動車で移動中に開始されていたため,観測は噴火開始の約20分後に開始した.
11時50分
 白い噴煙が100〜500m前後上昇している.
12時10分
 白い噴煙が高度1000mに達する.
12時15分
 31日火口付近から,白い噴煙が上昇する.
12時18分
 31日火口からの噴煙は停止する.

サイロ展望台へ移動

12時30分
 31日火口から白い噴煙が上昇開始する.
12時45分
 31日火口から黒い噴煙が勢い良く上昇する.噴煙上部は白く,噴煙高度1500m.勢い良くコックステイルジェットが活動する.金毘羅山の新火口からも黒い噴煙が上昇する.
13時00分
 金毘羅山の新火口のやや北西から白い噴煙が上がる..
13時03分
 31日火口から黒い噴煙が非常に高速で上昇.噴煙高1000〜1500m.金毘羅山の火口の噴煙は弱まる.
13時14分
 金毘羅山の火口から再び白い噴煙が上昇し始める.31日火口の噴煙は白くなる
13時23分
 ビデオスタート.
13時29分
 金毘羅山の火口から黒い噴煙が勢い良く上昇開始.8分程度継続した後白煙に変わる.
13時30分
 31日火口からも黒い噴煙が上昇開始する.56分までコックステイルジェットが頻繁に観察されされた後に弱まる.
13時54分
 金毘羅山の火口でコックステイルが顕著に観察されはじめる.
14時09分
 金毘羅山の火口で著しく勢い良く黒煙が上昇.黒煙の高さは1000mに達する.
14時12分
 31日火口から高さ500mのコックステイルが観察される.白い噴煙がそれに続き13分には高さ1000mに達する.その後も18分前後まで高さ200〜800mの黒煙が頻繁に上昇し,南東に多量の降灰をもたらす.
14時22分
 金毘羅山の噴煙は弱まる.
14時25分
 金毘羅山の白い噴煙が再び強くなり,コックステイルジェットを頻繁に交える.
14時31分
 金毘羅山の噴煙は弱まる.
14時34分
 31日火口から高さ200m前後のコックステイルが上昇.42分まで断続的に白煙とコックステイルが活動する.
14時48分
 視界不良のため,観測を中止する.

有珠山2000年4月2日噴火推移(速報)

by 地質グループ(北海道立地質研究所,地質調査所,北海道大学理学部地球惑星科学教室,北海道教育大)

観察者;広瀬 亘,田近 淳(北海道立地質研究所)


有珠山では現在,有珠山西方の国道230号線の洞爺湖温泉・虻田町の間の峠付近と,洞爺湖温泉から南西へ約1kmの金毘羅山西山腹で,噴煙高が最大で2000m前後に達する噴火を繰り返している.ここでは,4月2日13時11分から有珠山の北約9kmに位置するサイロ展望台から観察した噴火の推移を速報として報告する.ビデオ時刻は前々日午前にラジオの時報にて時刻合わせ済み.誤差は±5秒以内.

なお,文中の火口名は暫定的な呼称であり,今後の詳細な検討により変更される可能性が有る.

4月2日

13時11分
 金毘羅山の西山腹上方の火口(以下,金毘羅山a火口)の西端付近から,高さ最大300mの黒色のコックステイルジェットとともに高さ1500mにおよぶ白色の噴煙が上昇する.13分には金毘羅山西山腹の下方の火口(以下,金毘羅山b火口)からも白色の噴煙が上昇し始める.噴煙は東〜南東に流れる.
13時14分
 有珠山西方の国道230号線の峠付近の火口群(以下,西火口)から,高さ数十mの噴煙が上昇するが,非常に上昇力が弱い.金毘羅山b火口からは断続的に灰混じりの噴煙が数十m程度まで上昇する.金毘羅山a火口ではコックステイルジェットが次第に減少,火口から高さ200mまでは灰混じりの濃い灰色,それより上部では白色の噴煙が高さ1000mまで上昇する.濃い灰色の噴煙は勢いが良いが,高さ200mまで上昇したところで上昇力をなくし,落下している.その後,13時52分まで噴煙は消長を繰り返す.
13時53分
 金毘羅山a火口の西端から,やや東側に倒れたコックステイルジェット(高さ200m)を伴う,勢いの良い白色の噴煙が立ち上がる.噴煙高は1500mに達する.
13時59分
 金毘羅山a火口から,カリフラワー状の真っ黒な噴煙が非常に勢いよく立ち上がり,高さ1500mに達する.噴煙は東へ流れるが,一部はやがてうずを巻くように北方へも流れ始め,14時23分にはサイロ展望台へ到達する.
14時04分
 金毘羅山b火口からも灰混じりの白色〜灰色噴煙が立ち上がる.高さ200m前後のコックステイルジェットを無数に噴出しながら,a火口とつながっていくように見える.
14時09分
 西火口から高さ100mの灰色の噴煙が立ち上がり,数分で白色の噴煙のみとなる.この後,観測終了まで西火口では高さ最大300m程度の白色の噴煙が間欠的に上昇する.
14時10分
 金毘羅山a,b火口からの噴煙はほぼなくなる.
14時23分
 金毘羅山a火口からの噴煙がふたたび強くなる.高さ数十mのコックステイルジェットと勢いの良い灰混じりの濃い灰色噴煙をともなう白色噴煙が噴出し,高さ700mに達する.数分で白色の噴煙のみとなり,7分後に停止する.この後,高さ100〜300mのコックステイルジェットを伴う白色噴煙→白色噴煙→噴煙停止(継続時間4〜7分)を,数分の休止期をはさみ,間欠的にくりかえす.
15時37分
 観測終了.サイロ展望台から撤収する.



有珠山2000年4月3日噴火推移(速報)

by 地質グループ(道立地質研究所,地質調査所,北海道大学理学部地球惑星科学教室,北海道教育大)

観察者:遠藤 祐司,野呂田 晋(北海道立地質研究所)

加筆 :広瀬 亘(ビデオ画像に基づく)


有珠山では4/3現在,有珠山西方の国道230号線の洞爺湖温泉・虻田町の間の峠付近と,洞爺湖温泉から南西へ約1kmの金毘羅山西山腹で,噴煙高が最大で800m前後に達する噴火を繰り返しているが,観測中は2日以前に比べ,比較的静穏な状況が続いた.

ここでは,4月3日9時48分から有珠山の北約9kmに位置するサイロ展望台から観察した噴火の推移を速報として報告する.

なお,文中の”金毘羅0403火口”は暫定的な呼称であり,今後の詳細な検討により変更される可能性が有る.

4月3日 噴火経緯

9時48分
 金毘羅山K2火口(以下,K2火口)から,黒色・白色噴煙上がる.
10時03分
 録画スタート.金毘羅山火口から間欠的に白色の噴煙が上がる.噴煙高は最大で500m.西山西麓の火口群(以下,西火口群)からは高さ数十mの白い噴煙が定常的に上がっている.
10時15分
 K2火口から黒色の噴煙(高さ100m前後)を伴って,白色の噴煙(高さ800m)がゆっくりと上がる.31-34分,45-47分にも同様の噴煙が立ち上がる.
11時02分
 K2火口から,高さ300mのコックステイルジェットが立ち上がり,次いで,高さ1000m近い黒色(上部は白色)噴煙が立ち上がる.03分まで継続し,停止する.
11時40分
 K2火口からわずかな黒色の噴煙(高さ100m前後)を伴って,白色の噴煙が上昇する.高さは500m程度.49分まで継続し停止.
12時12分
 K2火口とK2火口より尾根ひとつ隔てて南側の沢の火口(標高はK2火口とほぼ同じ,以下,”金毘羅0403火口”)からほぼ同時に,高さ数十〜100mのコックステイルを伴う白色の噴煙が上がる.
12時29分
 K2火口より200m前後山頂側で白色の噴煙が上昇し始める.30分には”金毘羅0403火口”から激しいコックステイルジェットを伴う白色噴煙が高さ800mに達する.
12時35分
 K2火口から高さ300mのコックステイルジェットを伴う白色噴煙が勢いよく立ち上がる.K2火口内の小火口(わずかに北寄り)からも,小規模なコックステイル上昇.41分まで継続したのち白色噴煙のみとなり,44分に停止.この後,K2火口と”金毘羅0403火口”からは,断続的に同様の噴火を繰り返す.
13時13分
 ”金毘羅0403火口”から,はじめに勢いの良いコックステイルジェットを伴う,白色噴煙が勢いよく噴出する.14時25分まで継続した後は,数分〜10分程度続いて数分の休止期をはさむ,というサイクルをくりかえす.
15時20分
 ”金毘羅0403火口”から,下部に黒色の噴煙を伴う白煙が,高さ100mまでは勢いよく,100〜400mまでゆっくりと上昇する.
15時34分
 ”金毘羅0403火口”付近の数箇所から,白色の噴煙が断続的に上昇する.
16時18分
 ”金毘羅0403火口”と西火口群の噴気,極めて弱まる.
16時54分
 ”金毘羅0403火口”から,黒色の噴煙を伴った白色の噴煙がゆっくりと立ち上がる(高さ500m).
17時04分
 観測終了.サイロ展望台を撤収.

有珠山2000年4月4日〜7日 噴火推移(速報)

by 総合観測班地質グループ(道立地質研究所,地質調査所,北海道大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻,北海道教育大)


観察者:垣原康之(北海道立地質研究所)


有珠山では現在,有珠山西方の国道230号線の洞爺湖温泉・虻田町の間の峠から,洞爺湖温泉から南西へ約1kmの金毘羅山西山腹にかけて噴火を繰り返している.ここでは,有珠山の北約9kmに位置するサイロ展望台から観察した噴火の推移を速報として報告する.

なお,文中の火口名は暫定的な呼称であり,今後の詳細な検討により変更される可能性が有る.

なお,下記の報告は速報であり,今後ビデオ画像と照合の上,火口の位置の再検討を含めて,より詳細な報告を行う予定である.


注1

K0403火口(遠藤・野呂田・広瀬)とKok火口の関係は,手前と奥の関係になるため詳細は不明.ただし,「K0403の噴火口はみることができない(遠藤・野呂田)」に対し,「Kokの噴火口は確認できた(垣原)」ことから,両者が異なった位置にあると考えられる.しかし,一つの大きな火口になっている可能性もあり,今後,ビデオで確認したい.


注2

Ktopは,金比羅頂上付近から白煙をあげていましたが,その火口はサイロ展望台からは確認できなかった.大まかにいって金比羅山の南側斜面にあると考えられるが,位置は非常に曖昧である.



4日


15:10
 金比羅山の上に白煙が見える.白煙は火口付近で2本,上で1本になっているように見える.大有珠の高さまで白煙が到達している.
15:15
 手前の2つの火口(K2とK3)が白煙を噴くのをやめ,上の火口(Kok)に移っている.若干,黒い煙が混ざっているように見える.全体的には白い煙がほとんど.双眼鏡で確認した結果,ほぼ白い白煙がほぼ垂直か,ややこちらに向かって上昇しているように見える.
15:17
 今のところ,全部,白煙が上がっている.ほぼ垂直(に上昇),上空にでてやや北(北東の間違い)へ流れる.
15:18
 山腹に一つ新たな火口(Ksの発生).
15:18
 今までのとは別,今まで2つと別,さらに,2つのところから白い煙があがっている.
15:22
 金比羅山山腹より煙が出始めた.非常に小さいながら薄い黒い煙が,自噴井戸のようにでている.基本的に白い煙.
15:23
 2つできたうちの,下の方(Ks)が活発になってきた.(噴煙中の下の方で)黒い煙が噴水のように噴いているのが確認できる.
15:24
 今まで一番大きな穴のあいている火口(K2)の煙が出始めた.
15:27
 黒い煙がで始めた,手前の火口(K2)からどんどん,黒い煙が噴出.
15:28
 黒い噴煙が出ているが,上の方では白い煙.巻き上げられた火山灰が舞っている.

5日


この日の噴煙は,「強い」と記載されているものでも有珠山の高さ程度.金比羅山西側の山腹(KsとK2)と金比羅山山頂より白煙をあげる.午前中はKsとK2の区別をしていない.撮影ビデオで確認の上,火口位置の特定を行わなければならない.


9:06
 西山の方がやや強い白煙.
9:07
 金比羅山からやや強い黒煙.
9:25
 金比羅山・西山ともに白煙,いったん落ち着く.
9:29
 西山に大きな白煙があがる.金比羅山弱い白煙があがる.
10:05
 金比羅山の白煙が灰煙に変化.
10:06
 西山の噴煙が停止.
10:29
 洞爺湖温泉付近に火山灰のもやがかかる.灰の堆積が起こっている?
10:43
 西山では弱まっているが,継続.金比羅山では灰煙が混じる.
11:07
 金比羅山では黒煙の割合が多くなる? 湖面に灰が降っているのが認められる.
11:11
 金比羅山で灰煙がまじった噴煙停止.
11:13
 金比羅山の3カ所から白煙.手前1つが収束するものの,向こう側2つから力強い白煙.
11:18
 金比羅山山頂(Ktop)より白煙.西山は停止.
11:41
 金比羅山山腹に,沢沿いに白い流れ(温泉泥流).
11:42
 西山で噴火.非常に高くまで,噴煙.
12:19
 サイロ展望台に細粒砂サイズの灰が降灰.
12:22
 比較的落ち着いた噴火.金比羅山斜面火口より.西山と金比羅頂上は白煙なし.サイロ展望台では降灰あり.
12:26
 サイロ展望台の降灰は終了.
13:09
 噴気停止.Ktop,Ksとも噴火なし.泥流の水蒸気だけが観察される.
13:26
 Ksの白煙の活動が続く.噴煙柱の下が黒くなることがあるが,周囲の堆積物(火山灰)を巻き上げている.
13:30
 今まで静かな蒸気の頭しか出ていなかった泥流沢右岸の火口(K2)から活発な白煙.
14:20
 全火口の噴気が停止.
15:05
 西山より白煙が上がる.かなり西側から(西山w).
15:07
 Ksも少し強い白煙.すぐに西山の2箇所からも白煙.
15:16
 Ksおよび西山の二箇所から白煙.その後,一番西の白煙は停止.以後,数分間ビデオ撮影.

6日


<この日は西風が強く噴煙は西側に流され,有珠山より高い噴煙はごくわずか>

<強い白煙:有珠山の高さ程度まで到達するもの.弱い白煙:それ以下のもの>


10:18
 基本的にKとNから白煙をあげている.昨日のような断続的な噴火ではなく連続的な噴火.
10:36
 昨日より上流の沢より泥流.
11:23
 霧がかかって有珠山がよく見えなくなる.
12:05
 KsとKokより白煙(ビデオ再開).比較的,激しい噴火で,上空で白煙.噴煙の根本で灰まじり.
12:58
 金比羅山および西山ともに噴煙は停止中.
13:02
 霧がかかり,うっすらと火口付近が見える程度.
13:25
 Kokより白煙.一部,黒煙が認められる.
13:28
 比較的落ち着いた状態(火口だけを蒸気が埋めている状態.以下,この状態を以下「FillPod」と記載).
13:46
 Kok,Ks,K2の三カ所から噴煙.西山では噴火の気配なし.
13:53
 Kokが黒煙を噴く.
13:57
 Kokが強く(有珠の高さまで)黒鉛を噴く.Ksは白煙を噴いている.
14:20
 黒煙停止.
14:28
 13:57の黒煙による降灰による「もや」は,有珠山北側斜面を回り込むようにして昭和新山方面へ流れる.洞爺温泉にはこの「もや」がかかっていないように見える.
14:29
 Kokの白煙が強まる.西山の方は何の活動もなし.
14:31
 Kokで噴火.やや黒い.噴石は認められない.
14:32
 Kokでの噴火は白煙に戻る.噴煙の高さは有珠山の2倍程度.
14:34
 Kokで黒煙が混じり始める.
14:57
 Kokが白煙に変わる.Ks火口よりも黒煙.
15:00
 西山も白煙を開始.
15:01
 Kokより黒煙が噴出.16:02に停止.
15:15
 Kokの黒煙の勢いはかなり強い.強い東風により火口上空では有珠山より低く,そのまま東に流されている.
15:18
 Kokよりも奥に火口?白煙らしきものが見える?
15:37
 Kokより黒煙.KoとKsは停止.西山より強い白煙.
16:02
 Kokは白煙になった後,停止.西山より白煙.
16:22
 西山の白煙の停止.
16:22
 金比羅山周辺火口の噴出の停止.FillPod状態.
16:23
 金比羅山・西山ともに停止.Kokより奥(南側)に火口?.
16:32
 Ksより黒煙まじり.西山は停止中.
16:48
 全火口の噴煙停止.



7日


8:39
 KsおよびKokより白煙.沢には熱泥流.
8:46
 Ksより白煙.有珠より高い.
8:47
 西山より白煙.有珠と同じ程度の高さ.
8:49
 西山より白煙(有珠と同じ程度の高さ→有珠の2倍程度).
8:52
 KsとKokの噴煙の根本で,うっすらと黒煙がまじる.有珠の2倍程度の高さ.
8:57
 西山より噴火.昨日よりかなり西側の位置(昨日と今日の位置関係は4月5日のビデオの最後で両方が噴出しているので確認できる).
9:11
 西山の白煙の高さが有珠の2倍程度.
9:31
 西山の白煙が有珠程度の高さまで成長.
9:32
 Ksより白煙(→最終的に有珠より高い程度まで成長).
9:34
 西山wの噴煙停止.
9:42
 西山wの白煙が有珠程度の高さまで成長.
9:43
 西山wの停止.Ksより白煙.Ksの白煙は有珠程度の高さまで成長.
9:55
 西山より噴火(白煙).全部,白煙.
10:20
 Ksは弱まり,FillPod状態となる.西山から白煙(有珠の半分程度の高さ).
10:23
 サイロ展望台に硫黄臭.
10:37
 Ksは弱い白煙を継続.西山wの白煙の成長.
10:39
 西山wの噴煙は有珠程度の高さまで成長.その後比較的活発.
10:43
 西山wの噴煙は有珠の3倍?程度の高さまで成長.
10:45
 Ksより弱い白煙.西山wの噴煙は洞爺湖上空で広がる.
10:50
 西山wは急激弱まる.Ksの白煙が徐々に成長.
11:14
 西山w停止.
11:25
 熱泥流は今朝の観測開始からとぎれない.
12:28
 Ksより黒煙混じりの白煙(有珠の高さ程度まで成長).西山wは停止.
12:38
 泥流の沢,下流に新たな噴気孔(Kl)の形成? 白煙がみえる.(注:Klは,K2と泥流の沢との間)
12:49
 KsとKokの噴気が弱まる(止まった訳ではない).新噴気孔(Kl)はやや強い.
13:01
 金比羅山火口周辺にもやのように薄く火山灰.巻き上げ?
13:11
 Ksより強い白煙.

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