火山灰の色から火山弾の温度を推定する方法:三宅島2000年8月18日のカリフラワー状火山弾
by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST
- 宮城磯治・東宮昭彦
- 於:2001年地球惑星関連学会合同大会(2001年6月8日 10時00分〜15分)
- 文責:宮城
- デザイン変更:2008年4月27日(日曜日)
- ★何が問題か★
三宅島2000年の活動は6月に開始しましたが,三宅島の地下で何が起きているのかに関する意見は難々まとまらず,大きく分けて二つの見かた(モデル)がありました.
- 1つめは,三宅島の地下にマグマはなく,噴火は熱水の沸騰によって起きたとするものです.
- 2つめは,一連の噴火にはマグマが直接関与している,という考えです.この場合,三宅島の地下にマグマが供給されていることになります.
マグマは火山噴火の主役であり,この有無を判断することは,その活動を理解するための基礎中の基礎といえるでしょう. にもかかわらず,この重要な判断ができなかった理由は, 2000年の噴火(特に7月の噴火)では高温のマグマが我々の前にはっきりとした形(溶岩噴泉等)で姿を現さなかったからです.
その転機(高温のマグマが我々の目の前に出た)の日が8月18日です.この日は「カリフラワー状火山弾」が島内に落下しました.産状より,この火山弾は落下時に高温だったと考えてよさそうでしたが,またしても,これが高温かどうかに関しては異論がでてきました.このような物質が高温だったかどうかを判定する一般的な方法は,磁化方向を測定することです.高温であれば,それが冷える際に地磁気の方向に磁化を獲得するので,それが証拠になります.しかし当時磁化方向の測定値はありませんでした.
- ★したこと★
そこで本研究では,新しく考案した手法を用いて,火山弾が高温だった(マグマ物質であること)証拠を示しました. 今回は温度見積り手法について,学会で発表&討論することにしました.
以下は,本講演で使用したOHPと,簡単な解説です.OHPはクリックすると大きくなります.
※なお,この手法の説明や実験風景は9月25日のNHKニュース10で, 「赤い火山灰で探る三宅島の地下」 というタイトルで放映されました.