降水量の変動と降雨時の風向きについて

by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST

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なかよし論文DB 日本の火山の位置岩石の破砕による色変化車のタイヤが青くなる様子水溜まりが赤くなった原因 CYMK-scale 富士五湖の湖水位変動降水量と風向きの変動河口湖の降水の時間変化雨と噴火の関連性についてヘリの機影をスケールに火山ガス観測プラットホーム

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火山研究解説集：薩摩硫黄島有珠火山デジカメで見た高温岩石なかよし論文DB …の例雲仙のビデオクリップ集世界の地質調査関係機関火山ライブラリ (火山の会)

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火山研究解説集：

火山ライブラリ (火山の会)

文責：宮城磯治 (産業技術総合研究所・地質情報研究部門・長期変動研究グループ
作成日：2003年6月21日土曜日
最終変更日：2008年5月8日
デザイン変更：2008年4月29日火曜日

日本各地における降水量に約10年の周期性があるか否かを確認するために，気象庁のデータ(http://www.data.kishou.go.jp/)を調べました．

わかったこと

結論から言うと，あまりよくわかりませんでした^^:．河口湖では降水量の「約10年周期のうねり」が明瞭でしたが，その他の観測点では必ずしもそうではありませんでした．筆者によるおおざっぱな印象では，約10年周期は1980年〜2000年ごろにかけてはやや明瞭だが，1980年以前は周期性が不明瞭になる傾向があるように思えます．約10年の周期が比較的明瞭な観測点とそうでない観測点とを何が分けているかはよくわかりませんでしたが，少なくとも，雨の降り方には局地的な条件が大きく作用しているようです．たとえば風向毎の降水量積算値を調べた結果，雨が降る時の風向きはきわめて偏っていることがわかりました(家の間取り設計などに生かせるかも)．

集計結果の画像をパラパラめくって見るためのスライドをこちらに置きます→ slide001.html

背景

この調査の同機は，富士山麓の西湖や本栖湖の水位富士山麓の西湖や本栖湖の水位が10年ぐらいの周期変動をしているようにみえたことです．

湖水位にみられた約10年周期の原因はよくわかりません．太陽黒点数増減のタイミングとよく合うように思えますが，太陽黒点から湖水位変化に到るまでの因果関係は大変複雑そうなので，ここではとりあげません．

一方，降水量が湖水位に影響を与えることはあきらかなので，富士山周辺の降水量が10年の周期で増減したことが予想されます．そこで，降水量データに時間変化があるかどうか確認するために，河口湖の1961年から2003年までの降水量データの変動を調べました．日降水量の生データを時系列でプロットしただけでは，10〜11年周期はおろか年周変動さえよく見えませんでしたが，過去n(730)日に降った雨を累積させたところ，明瞭な周期がでました．「河口湖」の降水量が10年ぐらいの周期で増減していたことが確認できました．

※過去n日に降った雨を累積させた理由は，湖水位の変動には過去に降った降水も含まれているはずだからです．積算方法は以下のとおりです．たとえばn日累積させるとき，当日の雨はn/n倍(つまり1倍)，1日前の雨は(n-1)/n倍，2日前の雨は(n-2)/n倍，m日前の雨は(n-m)/n倍して積算します(但し，m<=n)．n日より前の雨は累積させません(このような累積方法は要改良ですが，前に降った雨が直線的に減衰するという仮定はそう悪くないと思っています)．nが180日のグラフには年周変動がみえるようになりましたが，長期変動は明瞭でありませんでした．nを730日にした場合(以後，単に730日重みつき積算)は，湖水位の実測データに似た波形があらわれました．

「河口湖」でみられた降水量の周期的変化が果たして一般的なものか否かを確認するため，秋田，銚子，八丈島，彦根，河口湖，鹿児島，伊豆大島，前橋，水戸，松本，盛岡，那覇，根室，帯広，小名浜，仙台，高松，鳥取，雲仙，輪島，稚内の降水量の時間変化と，風向毎の降水量積算値を調べてみました．それらを以下に列挙します．