3月31日降下火砕物に含まれる本質岩片の特徴


by Yoshihisa Kawanabe, GSJ Tsukuba,


4月2日に3月31日火口から東北東3.7kmの地点で、降下火砕堆積物に含まれる本質
岩片を採取した.本質岩片の最大粒径は約1cmで、鋭利な破断面を持つ発泡した
灰色の岩片からなる.一部の岩片には黒色ガラス質の急冷縁を持つものもあり
(写真1)、今回の噴火の本質物であると判断される.

3月31日降下火砕物の主軸が通る洞爺湖の南東岸には、陸上の降下火砕堆積物に
含まれる本質岩片と類似する径2cm以下の発泡した灰色の岩片(軽石)が漂着し
ている(写真2).漂着岩片の粒径は火口から遠ざかる方向に減少し、湖に降下
した火砕物のうち水よりも軽いものだけが漂着したものと判断される.

3月31日の噴火は、火山灰中の発泡した火山ガラス片の存在からマグマ水蒸気爆
発であることが既に明らかにされている.今回の発泡した本質岩片(軽石)の発
見は、これを裏づけるものである.

写真1 (左右):黒色の急冷縁を持つ本質岩片. 写真2:湖岸に漂着していた本質岩片. (いずれもサイズはmm単位の付いた数字が正しい)