一杉裕志

産業技術総合研究所 人工知能研究センター 脳型人工知能研究チーム
2015-11-12 更新) [English]

研究テーマ: 脳を模倣した脳型人工知能の研究開発

人間のような知能を持つロボットを実現する最も確実な方法は、脳の動作原理を解明し、それを模倣することです。 私は計算論的神経科学の分野で知られている大脳皮質に関する知見をヒントにした BESOM と呼ぶ 機械学習アルゴリズムを開発しています。 BESOM は複数の機械学習技術 (自己組織化マップ、ベイジアンネット、独立成分分析など)を組み合わせたもので、 計算機上での効率的実行に適した有望な技術になると考えています。

解説等

研究構想の説明資料、発表資料、解説など

研究の方法論

人工知能研究で得られた知能に関する知見を踏まえ、機械学習の要素技術を駆使し、
認知科学の成果の中から特徴的な脳の機能(外部仕様)を洗い出し、
神経科学の成果からアーキテクチャ設計のヒントを得つつ、
ソフトウエア工学研究で得られたシステム構築の方法論にしたがって、
脳の機能を再現するプログラムを作ろうとしています。

研究内容を少し詳しく言うと、
自己組織化マップとベイジアンネットと独立成分分析とを融合した、 クラスタリング・ベイズ推定・連想記憶・関数近似を行う機械学習器と、 階層型マルチエージェント強化学習の機構により
人間の脳が有するパターン認識、選択的注意、行動獲得、概念獲得、思考といった機能を再現させる
・ 大脳皮質と大脳基底核を中心とした脳の計算論的モデルの構築と
・ そのモデルの計算機上でのスケーラブルで大規模並列化が容易でリアルタイム処理も可能な効率的アルゴリズムによる実現を、
目指しています。

これまでの経緯

2005年度より、これまでのプログラミング言語関係の研究を中断し、 以前から興味を持っていた脳の研究を始めました。

「計算機の情報処理方法と脳の情報処理方法の間には深い谷がある」 というのは今日では神話にすぎないと思っています。 神経科学の最新の知見をざっと眺めてみたところでは、 脳はとても普通の情報処理装置に見えます。 最も端的な例は、 Schultz (1997) の 「大脳基底核のドーパミンニューロンが TD誤差信号を出力している」という発見でしょう。

脳に関して確定的なことはほとんど分かっていませんが、 確定的でなくてよければ膨大なことが分かっています。 計算機科学のセンスのある人間が脳科学関連分野の基礎知識を一通り普通に勉強すれば、 別に大天才でなくても計算機と脳の間のギャップは埋められそうです。

人工知能、機械学習、認知科学、神経科学の基礎知識を勉強することで得た数多くの有望な着想を、 できるだけ早く世に出して行きたいと思います。

過去のプロジェクト(プログラミング言語関係)

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