ヘリコプターからみた2001年3月5日の三宅島
by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST
- 三宅島ヘリ観測報告
- 観察&撮影:宮城磯治@地調
- by 宮城@地調; 平成13年3月6日(火)
- 警視庁ヘリ(同乗者:大島@東大)
画像のスライドショーはこちら→ Slide Show
目次 |
お世話になったヘリ
東京ヘリポートより,警視庁航空隊の「おおとり8号(ベル412ヘリ)」に搭乗.[1]
ヘリ観測を支えて下さった皆様に感謝します.
三宅島まで
観測前日の雨天が冬型の晴れに転じました.都内の視程は良好.しかし風は強く,南下するにつれ雲が多くなりました.
左:富士山[2]
右:伊豆大島[3]
左:海面の様子.大島を通過した頃から白波が目立つようになりました.[4] さらに,白い糸を引いたような筋も見えました.いつもよりも風が格段に強いのです.ヘリによると,上空6000フィートは強い西風で,その風速は少なくとも50ノット(時速92km)以上でした.
右:雲に映ったヘリの影とハロー.[5]
三宅島上空に到達
噴煙の様子
島の南がわから見た噴煙.
非常に強い西風によって,噴煙は(画面左から右へ)三池方面に流されている.噴煙に下層部には,いつものように,「青い霧」が見える.
島の北がわから見た噴煙.
噴煙は画面右から左へ流れている.
島の西(風上)がわから見た噴煙
噴煙が高く上昇できない理由は,強い西風が陥没カルデラ内を攪拌するために,噴煙は冷たい空気とよく混ざって温度が低下するためかもしれない.
何故こんなに多量の火山ガスが長期間出続けるのか!?
参考:
- 三宅島2000年噴火-噴出物編- 三宅2000年噴火のマグマはどのように発見されたのか (宮城@地調 ほか)
- 三宅島2000年噴火と そこで活動したマグマ 噴出物の写真と,地質調査所の脱ガスモデル (宮城@地調 ほか)
- 三宅島2000年活動に関する見解 (地質調査所 2000年8月31日)
火口内の様子
火口内は白煙で満たされているため,中の様子は可視光では全く見えませんでした.このような状態でも赤外線なら,ある程度見ることが可能です(例:[12]2001年1月15日のヘリ観測 ).
今回は熱映像カメラを持参していました.ところが残念なことに,ヘリのドアが(風圧のため?)開かなかったため,赤外線による観察は断念しました(※窓ごしでは赤外線が透過しないため).
地上の様子
ビデオ画像で都道沿いを見る
注:[16]QuickTimeソフトウェアが必要です
大路池の西側の泥流被害
神着の様子
帰路につく
荒波にあらわれる式根島と新島.
東京ヘリポートに到着.
2001年3月5日のヘリ観測の行程メモ:
01/3/5 5:55 起床
01/3/5 6:16 出発(茨城県つくば市)
01/3/5 8:28 東京ヘリポートに到着
01/3/5 9:10 警視庁ヘリ離陸.Bell412,おおとり8号.8人搭乗.
01/3/5 9:30 海岸線を通過.
01/3/5 9:48 大島を通過.約2200フィートを巡航.
01/3/5 9:58 5000ftまで上昇.利島を通過.
01/3/5 10:01 新島を通過.
01/3/5 10:03 6000ftまで上昇.この高度では,50kt(1kt=1.85km/h)の西風.
01/3/5 10:06 三宅島上空に到着.周囲には上端高度6900ftの雲.6000ft以上は視程が良いが,それ以下は霞み勝ち.
01/3/5 10:40? 三宅島上空を離脱.
01/3/5 11:10? 神津島に着陸.
01/3/5 11:55 神津島を離陸.
01/3/5 12:14 伊豆大島を通過.
01/3/5 12:29 海岸線を通過.
01/3/5 12:50 東京ヘリポートに着陸.
01/3/5 12:58 気象庁に電話(大島先生)
01/3/5 13:47 気象庁に到着.
01/3/5 14:48 気象庁での観測結果報告を完了.
01/3/5 14:58 帰路につく.
01/3/5 16:15 地質調査所に到着.官用車の返却.