三宅島ヘリ観察記録:2003年09月16日

by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST

噴火対応

筆者によるヘリ観測報告

三宅島top↑

2000年

10月10, 16, 19日, 12月27日;

2001年

1月15, 29日, 2月12日, 3月5, 26日, 4月9日, 5月14日, 7月20, 23, 27日, 11月21日;

2002年

1月23日; 3月13日; 7月12日; 8月29日; 10月2日; 11月13日;

2003年

2月25日; 4月23日; 9月16日; 10月30日;

2004年

1月14日; 4月8日; 7月27日; 10月14日;

2005年

8月19日;

(宣伝 ^_^);
火山研究解説集:


観察・報告: 宮城磯治 (産総研・深部地質環境研究 センター/ 地質調査総合センター)
同乗者:飯野さん,宮下さん,大野さん
ヘリ: 警視庁「おおとり3号」ベル412


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目次

概要:

天候:晴れ/曇り.南ほど曇りがちで,三宅島山頂部は雲底500mの雲に覆われる.風は北北東23ノット(標高300フィート, 10時46分),北東16ノット(標高3000フィート,11時20分).

噴煙:白色噴煙.高さは,山頂部にかかる雲のため不明.山頂部にかかる雲の最高高度は約1400m(目測で島の高さの2倍程度).噴煙は南西に流される.青白いガスは,島の西南西(錆ケ浜方面)〜西(阿古方面やや北より)で確認できた.

陥没カルデラ内:山頂部にかかる雲の切れめから,短時間よく見えた.スオウ穴直下では崖錐の成長が継続している模様.カルデラ底の池の色は,赤褐色を主体とする.池の面積は以前よりやや縮小か.主火孔の西がわにある噴気孔周辺には,黄色い(硫黄)昇華物が確認できた.その他,主火孔周辺に大きな変化は認められず.気象庁の熱赤外映像装置による火孔内最高温度は190℃(測定条件が悪いので,明らかに過小評価と思われる).

火山ガス:三宅島の西〜北海上においてCOSPEC観測を,5マイルの距離から2度,3マイルから1度,おこなった.

山麓部:特に大きな変化はなし.火山ガスの影響を強く受けたとおもわれる山頂付近と東山麓では,植生の回復が遅れている.とくに東側山腹の一部は,植物の緑をまったく確認できなかった.

--

行程:

0605 つくば出発

0750 東京ヘリポート到着

0932 東京ヘリポート離陸

0948 洋上に出る

1002 大島通過

1010 利島通過

1019 式根島ヘリポート着陸 (警視庁施設課の4名降りる)

1021 式根島ヘリポート離陸

1031 三宅島上空に到達 山頂部は目視できず

1040 COSPEC観測開始

1115 COSPEC観測終了

1131 新島に着陸

1330 新島を離陸

1341 三宅島 火口観測開始

1400 火口観測終了

1419 式根島ヘリポート着陸 (警視庁施設課の4名乗る)

1421 式根島ヘリポート離陸

1438 大島通過

1458 陸地に入る

1518 東京ヘリポート着陸

1655 つくば到着


三宅島まで

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警視庁航空隊の「おおとり3号」.[1] 火山観測者4名,警視庁施設課4名,ヘリクルー3名が搭乗.


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[2] [3]

東京ヘリポート離陸直後の都内.離陸後,ヘリは反時計まわりに旋回し,都内上空を通過.視程は中〜やや悪い.

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9時48分ごろ,洋上に出る. [4]

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左:10時2分ごろ,伊豆大島を通過.[5] 視程が良好なら,この付近から三宅島が目視できることがある.しかし今回はまったく見えず.

右:10時5分ごろ.[6] 伊豆大島と利島の間の洋上を走る,水中翼船.

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[7] [8] [9]

10時20分ごろ.式根島のヘリポートで施設課の4名がおりる.ヘリはすぐ離陸し,三宅島に向かう.

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風は弱く,海上の白波は少ない. [10]

三宅島

山腹の様子

山腹の写真を反時計回り,島の南東(坪田)→東(三池)→北東(下馬野尾)→北(神着)の順にならべる.

※撮影逆の順.

ここから→

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[11] [12] [13]

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[14] [15] [16]

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[17] [18] [19]

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[20] [21] [22]

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[23] [24] [25]

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[26] [27] [28]

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[29] [30]

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[31] [32]

← ここまで

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三宅島空港. [33]

火山ガス放出量の測定

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左:COSPEC観測をする気象庁スタッフ,飯野さん.[34]

右:海面に映る機影.[35] COSPEC観測では,ヘリは海抜100メートルの低空を等速直線(あるいは円弧)運動し,噴煙の下をくぐりぬける.この間にCOSPEC装置が青空の紫外線強度を測定し,噴煙中のSO2による紫外線吸光度と風速から,SO2の放出量を換算する.

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左:東から見た三宅島の噴煙 [36]

中:南から見た三宅島の噴煙 [37]

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左:西から見た三宅島の噴煙 [38]

右:北西から見た三宅島の噴煙 [39]

新島に向かう

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昼食と休憩のため新島に向かった. [40]

COSPEC観測直後,三宅島西方海上の雲をみおろす.この雲のために,山頂部が目視できなかった.GPSの高度計によれば,この雲の標高は約500mであった.

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[41] [42] [43]

新島空港に着陸.

三宅島の火口観測

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13時30分,新島空港を離陸. [44]

山頂付近の写真を反時計回り,島の北西(伊豆)→西(伊ヶ谷)→南(大路池)の順にならべる.

※撮影順の逆

ここから→

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[45] [46] [47]

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[48] [49] [50]

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[51] [52]

←ここまで


陥没カルデラ内

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[53] [54] [55]

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[56] [57] [58]

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[59] [60] [61]

陥没カルデラ内部が,山頂部にかかる雲の切れ目から,短時間見えた.

スオウ穴直下の崖錐は,継続的に成長している模様.カルデラ底の池の色調は,赤褐色を主体とする(比較:5月27日の観測 ).

噴煙は主火口群のうちカルデラ中央寄りの浅い火孔から主に出ており,壁ぞいの深い火孔からの放出量は少なくみえた.

噴気の盛んな火孔の周囲,特に西がわにおいて,黄色い(硫黄の)昇華物が確認できた.

その他,主火口周辺に大きな変化は認められず.

気象庁の熱赤外映像による火口内温度測定の最大値は190℃であった.測定条件の悪さを考慮すると,この値はあきらかに過小評価と思われる.

山腹の池

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[62] [63]


観測終了/帰路につく

観測終了後,神津島上空を経由して,式根島のヘリポートに着陸.施設課の4名が乗り,帰路についた.

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[64] [65]

神津島

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左:利島 [66]

右:伊豆大島 [67]

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[68] [69] [70]

14時57分ごろ本土上陸(左).東京工業大学(中)と東京タワー(右)の上空を経由し,新木場の東京ヘリポートに向かう.

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東京ヘリポートにアプローチ.手前は新木場のゴミ処理場. [71]

ヘリクルーの皆様,ありがとうございました.

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