新しい地質図

産総研
last updated 2023.9.22
成果発信の変化

 野外地質学の最大の成果物である地質図。2011年の東日本大震災を契機として、その地質図が大きく変わりました。その要因は、大きく分けて次の3つです。

  • IT技術の進歩:データ通信速度や地図のウェブ配信技術が進化し、快適に利用できるようになりました。
  • オープンデータ:必要な時にいつでも使えるとともに、データを二次利用する動きが広がりました。
  • 社会的な要望の高まり:防災やツーリズムの面で、地質に対する社会的な関心が高くなってきました。

 これにより、ウェブで閲覧し、気に入ったもの・必要なものを印刷物やCD / DVDで購入するという地質図利用のパターンが定着しました。また、利用ガイドラインも改正され、ウェブサイトコンテンツは「政府標準利用規約(第2.0版)」に準拠しています。このため、二次利用をより手軽に行えるようになりました。以下には、各利用シーンに適したGSJのウェブサービスを順に記します。

地質図の閲覧

 出版された地質図をウェブで閲覧するのには、地質図Naviまたは地質図カタログをお使いください。いずれのサービスとも、出版・公開済みの全てのデータが利用可能です。

 地質図Naviは位置情報を基に地質図やデータを表示する機能をもつウェブGISと呼ばれるサービスです。下の図は地質図Naviで表示した1/5万地質図幅「生野」の例です。断面図とその断面線位置 (平面図上の青い太線) も表示されます (画像クリックで拡大表示)。

地質図Naviで表示した1/5万地質図幅「生野」の例。
地質図Naviで表示した1/5万地質図幅「生野」の例。出典:産総研地質調査総合センター1/5万地質図幅「生野」 (吉川ほか, 2005)

 地質図カタログはツリー形式のメニューやインデックスマップを使って見たい地質図の情報を表示したりダウンロードしたりできるサービスです。ラスターデータ (JPEG) と説明書 (PDF) はブラウザでそのままご覧いただけますので、印刷物の情報を手早く閲覧するのに便利です。

地質図カタログで表示した1/5万地質図幅の選択画面の例。
地質図カタログで表示した1/5万地質図幅の選択画面の例。出典:産総研地質調査総合センター地質図カタログ 5万分の1地質図幅
ダウンロード

 現在、地質調査総合センターのウェブサイトでは、ファイルの準備ができた地質図からダウンロードが可能になっています。利用できるファイルの種類は以下の通りです。

  • ラスターデータ (JPEG, GeoTIFF, KML / 200dpi)
  • ベクトルデータ (Shapefile, KML)
  • 説明書 (PDF)

 ラスターデータで採用されている200 dpiという解像度は、1/5万図郭の南北方向が2900 pixel以上になります。下の例でご確認ください (画像クリックで拡大)。また、ラスターデータ、ベクトルデータともkmzファイルが用意されていますので、Google Earthを使うと3D表示の地質図を見ることができます。

1/5万地質図幅「宇都宮」
1/5万地質図幅「宇都宮」の200 dpiのJPEGファイルの解像度。出典:産総研地質調査総合センター1/5万地質図幅「宇都宮」 (吉川ほか, 2010)

 地質図データのダウンロードは上記の地質図Navi、地質図カタログのほか、地質図類データダウンロードというデータベースからどうぞ。

地質図の購入

 気に入った地質図を手元に置いておきたい場合、委託販売先から購入することができます。在庫の状況や価格および購入の方法は下記でご確認ください。

配信サービス

 配信サービスは、ネットワーク環境が整っていれば端末のディスク容量を圧迫しないメリットがあります。また、データが随時更新されている地質図の場合は、ダウンロードよりも配信サービスを利用するのが便利です。地質調査総合センターの配信サービスは、以下のページで確認することができます。

アプリケーション

 地質調査総合センターでは、地質図表示用のビューアアプリケーションも公開しています。現在、「EasyWMSView」および「3D地質図ビューア」が利用できます。

  • ソフトウェア:GSJの地質情報配信サービスで開発・利用しているウェブアプリケーションです

 「EasyWMSView」は、WMSおよびWMTSビューワアプリケーションです。配信されているベクトルサービスをプレビューするために開発されました。透過度の変更や、属性情報の表示も可能です。GSJの公式サイトでは、本アプリですべての配信サービスを閲覧することができますので動作確認してみてください (画像クリックで拡大表示)。ブラウザでブックマークしたり、デスクトップにショートカットを作成したりしておけば、ベクトル地質図ブラウザとしてもお使いになれます。

EasyWMSViewの動作画面の例
EasyWMSViewの動作画面の例。出典:産総研地質調査総合センター地質情報総合センターのWMS配信サービス

 「3D地質図ビューア」はthree.jsというライブラリを使って、配信されている地質図を3D表示するためのビューアアプリケーションです。GSJの公式サイトでは、火山地質図のビューアに利用していますので、動作確認してみてください。

3D地質図ビューアの動作画面の例
3D地質図ビューアの動作画面の例。出典:産総研地質調査総合センター3D地質図:富士火山地質図(第2版)
  • 火山地質図:各火山の「3Dview」から3D地質図ビューアによる火山地質図がご覧いただけます
  • 3D地質図ビューア:3D地質図ビューアの説明とサンプルがあります

CC BY 4.0 国際