篠山地域には1989~1992年の期間、調査に訪れ、地質図幅は1993年に出版されました。主に前期白亜紀 (* 注) の篠山層群と、後期白亜紀の有馬層群の一部の調査を担当しました。
篠山は入所初年度、新人の年から3年間で担当することになった、思い出の地です。卒論しか経験のない野外地質初心者でしたので足でしか勝負できないと考え、無我夢中でとにかく歩き回りました。今から思うとやり残したことも多いですが、近年もこの地域の研究が進展しているのを見ると、やはりうれしいです。
- 篠山層群
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篠山層群は、今では「丹波竜」をはじめとする恐竜化石の産出層としてすっかり有名になりました。私も調査当時は各所の地層をくまなく調べ歩いたのですが、残念ながら化石を見つけることはなく、恐竜発見の手柄を逃すことになりました。
* 近年の研究の結果、篠山層群の年代論は大きく改訂されています。地質図では主に前期白亜紀に区分されていますが、現在ではちょうど前期から後期の境界に位置づけられています (林 慶一ほか, 2010)。
- 有馬層群
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有馬層群は、篠山層群を不整合に覆う後期白亜紀の珪長質火山岩類です。このような珪長質火山岩類は、近畿から中国地方にかけて広大な分布を示します。近年ではこれら珪長質火山岩類における層群単位の層序区分を行うことに疑問が投げかけられるようになり、定義の曖昧な有馬層群という呼び方はあまり使われない傾向にあります (例えば吉川ほか, 2005)。
- 写真集
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調査中に撮影した写真類です。
- 参考資料
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5万分の1「篠山」図幅のファイルダウンロードはこちらです。ぜひ次の研究に生かしてください。