三宅島ヘリ観察報告:2002年10月2日

by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST

噴火対応

筆者によるヘリ観測報告

三宅島top↑

2000年

10月10, 16, 19日, 12月27日;

2001年

1月15, 29日, 2月12日, 3月5, 26日, 4月9日, 5月14日, 7月20, 23, 27日, 11月21日;

2002年

1月23日; 3月13日; 7月12日; 8月29日; 10月2日; 11月13日;

2003年

2月25日; 4月23日; 9月16日; 10月30日;

2004年

1月14日; 4月8日; 7月27日; 10月14日;

2005年

8月19日;

(宣伝 ^_^);
火山研究解説集:


観察・報告: 宮城磯治 (産総研・国際部門 国際地質協力室)
同乗者:地震研の古屋さん,気象庁の尾台さんと飯野さん.
ヘリ:東京消防庁の「つばめ(SA365N; JA9980)」,クルー4名


画像のスライドショーはこちら→ Slide Show



目次

概要:

台風一過の好天で視程は良好.雄山山頂部には雲底1000m程度の雲があるが,火口観測に支障はなし.

噴煙:白色噴煙が山頂上約200mに上昇.その勢いは比較的安定している.観察中1度だけ(13:24頃)やや大きなプリュームを観察した.上空の風は南西,約10m/s.これにより噴煙は三池〜赤場暁方面に流れる.ガスの量は中〜やや少なめ.白煙は山麓に達した付近で消滅し,その風下には青白いガスが残る.

陥没カルデラ内:主火口群からの白煙は2002年9月25日と比較すると多いが,これは前夜の台風の影響かもしれない.主火口群北側のマウンド内には小さな三日月型の池(観察時既に乾いている可能性あり)がある模様.カルデラ底では,既存の池は面積が拡大している.カルデラのほぼ中央付近(火孔マウンドの下)には,池が出現した(この場所は新規か?).それらの色は,中央の池はやや赤く,周辺のそれらはやや緑色である.

※銀塩カメラによる写真あり.こちらです→三宅島ヘリ観察報告 (銀塩写真): 2002年10月02日


カルデラリム:特に大きな変化は認められない.すおう穴の下およびカルデラ縁の西部では,小規模な崩落が継続している模様.

池や水たまり:伊ヶ谷の貯水池,村営牧場のため池,山腹の水たまり,神着の南にある川田沢貯水池は,鮮かな青色(恐らく大久保浜の砂防ダムも同種の色).すおう穴はやや赤みがかった灰色.大路池は普通の陸水色(暗い青緑)を呈する.

沿岸:三宅島の沿岸の海水は各所で変色している(暗灰色〜明るい緑).大路池の西沿岸では,変色水の境界付近に赤茶色の浮遊物がみられた.


行程:

6:03 つくば発.

7:20 東京ヘリポート着.

9:12 東京ヘリポート離陸.

9:52 伊豆大島東方海上付近から,三宅島を目視.

10:10 三宅中学着/離陸.古屋さんおりる.火口観測開始.

10:32 火口観測を終了し,神津島へ.

10:43 神津島空港着陸.燃料補給&昼食.

12:43 神津島空港を離陸し,三宅島へ.

12:55 三宅中学ヘリポートに着陸(COSPEC機器設定).

13:00 三宅中学ヘリポート離陸.

13:07-13:37 COSPEC観測.

13:41 三宅中学ヘリポートに着/離陸.古屋さん乗る.

14:08 神津島空港に着陸し,燃料補給.

14:43 神津島空港を離陸.

15:34 東京ヘリポート着.

17時ごろ つくば着.


三宅島まで

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お世話になったヘリ [1]


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9時12分離陸.離陸直後の東京湾.視程は良好.昨晩の台風のため,湾内は泥水が目立った.

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伊豆大島を通過.洋上も視程は良好だが,南ほど悪くなる傾向あり. [5]


三宅島

噴煙と山頂部

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9時52分ごろには三宅島が目視できた.三宅島付近は南西の風が10m/s程度.山頂部には雲底1000m程度の雲がかかるが,火口観測には問題なし.噴煙は山頂から100-200m程度まで,ほぼコンスタントに上昇していた.


三宅島到着後すぐ三中ヘリポートに着陸し,重力測定データ回収のため地震研の古屋さんが降機.10時10分離陸.

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陥没カルデラの北外壁.大きな変化はなし.

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[11] [12]


陥没カルデラ内の視程は良好.火孔温度観測by気象庁の飯野さん.

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[13] [14]

村営牧場


10時32分,火口観測を終了.


神津島

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10時43分,神津島空港に着陸.燃料補給と昼食. [15]


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[16] [17]


COSPEC装置の調整をする気象庁の尾台さん,飯野さん.

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神津島空港の展望デッキ.昨晩の台風により,ガラスに砂が付着している. [18]


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[19] [20] [21]


展望デッキの床には,割れたばかりのガラスを含む砂が堆積していた.右の網入りガラスパネルが破損していた.

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神津島空港の駐車場では,クルマの窓ガラスが割れていた.


火山ガス観測

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12時43分神津島を離陸.三宅島付近でSO2(COSPEC)観測を行う. [24]


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午前中の火口観測時からCOSPEC前半まで,噴煙高度はほぼ安定しており,山頂から100-200mであった.

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[31] [32] [33]


噴煙高度は安定していたが,13時24分頃,やや大きなプリュームが発生した.

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13時24分頃プリュームが発生した後は,噴煙高度は再び安定した.

帰投

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13時37分,COSPEC観測終了.13時41分,山中ヘリポートに着陸.古屋さん搭乗.13時44分離陸.再び神津島空港に向かう. [37]


伊ケ谷付近の沿岸にみられた変色水は,泥水によると思われる.

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14時8分神津島空港に着陸.燃料補給後,14時43分に離陸. [38]


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東京に戻る途中,伊豆大島で自動車輸送船の座礁現場上空を通過. [39]


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[40] [41]


15時32分東京ヘリポートに着陸.おつかれさまでした.

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