三宅島ヘリ観察報告: 2003年10月30日

by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST

噴火対応

筆者によるヘリ観測報告

三宅島top↑

2000年

10月10, 16, 19日, 12月27日;

2001年

1月15, 29日, 2月12日, 3月5, 26日, 4月9日, 5月14日, 7月20, 23, 27日, 11月21日;

2002年

1月23日; 3月13日; 7月12日; 8月29日; 10月2日; 11月13日;

2003年

2月25日; 4月23日; 9月16日; 10月30日;

2004年

1月14日; 4月8日; 7月27日; 10月14日;

2005年

8月19日;

(宣伝 ^_^);
火山研究解説集:


観察・報告:宮城磯治 (産総研・深部地質環境研究センター)
同乗者:中堀さん・宮下さん(気象庁),嶋野さん(東大)
ヘリ:海上保安庁・MH-805わかわし1号;クルー5名



画像のスライドショーはこちら→ Slide Show



目次

概要:

天候:三宅島上空は殆んど雲のない晴天.風は北東(2500ft上空にて45度,16ノット).

噴煙:白色噴煙.高さは,山頂から200-300m程度.噴煙は上昇しながら南西に流され,島を出る前に白色部分は消滅し,青白いガス(ようやく目視できる程度の量)が残る.脈動がみられるものの,噴煙はほぼコンスタントに上昇していた.

陥没カルデラ内:カルデラ内は青白いガスが停滞しがちだが,比較的良く見えた.スオウ穴直下では,崖錐の成長が継続している模様.カルデラ底の池は,面積を前回(2003.9.16)より稍拡大.それらの色は,中央部(マウンドに近いもの)がやや青白いのを除けば,みな赤褐色を主体とする.それ以外,大きな変化は認められなかった.気象庁の熱赤外映像装置による火孔内最高温度は150℃以上(測定レンジオーバー).

火山ガス:三宅島の南〜西海上約3マイルと5マイルにおいて,COSPEC観測を実施.COSPEC観測時,噴煙の風下を飛行中に感じる火山ガス臭は,普段はは硫化水素臭であった(前回2003.9.16も同様).これに対し今回は,硫化水素の臭いは弱く,亜硫酸ガスや塩化水素臭をやや強く感じた.

山麓部:特に大きな変化はなし.



三宅島まで

20031030094704.jpg 20031030095726.jpg

お世話になったヘリ.

左:海上保安庁,わかわし1号(エアロスパシアルAS332L1,スーパーピューマ). [1]

右:離陸直前の機内. [2]


20031030101132.jpg 20031030101559.jpg

[3] [4]

離陸直後の都内

左:離陸地点をふりかえる.

右:横浜上空.遠くに富士山が見えた.

20031030102427.jpg 20031030103400.jpg


[5] [6]

高度約800mを時速260kmで巡航.

左:10時25分ごろ,洋上に出る.本日は視程が良好で,洋上に出てすぐに伊豆大島が目視できた.

右:10時34分ごろ,伊豆大島沖を通過.

三宅島

噴煙

20031030104945.jpg 20031030105246.jpg 20031030105339.jpg 20031030105428.jpg


[7] [8] [9] [10]

島と噴煙の全体像.10時40分ごろ,三宅島上空に到達.高度約900mにて,島から約20マイルほど離れた場所から撮影.

噴煙は白色で,到達高度は,山頂から200〜300m程度である.小さな塊が連続して上昇し,観察中は途絶えることはなかった.白色噴煙は風(上空2500ftは45度16ノットの風)により南西に流されるが,島を出る前に消滅する.

20031030120026.jpg 20031030120327.jpg 20031030120506.jpg


[11] [12] [13]

南東に流される噴煙.白煙は島内で消滅するが,そのあとに青白いガスが残る.

左:北西(横)から.

中:北東(風上)から.

右:東(ななめ風上)から.

ガス観測

20031030110342.jpg 20031030110732.jpg


[14] [15]

噴煙とともに放出される二酸化硫黄の量を測定するため,紫外線相関スペクトロメータ(COSPEC)を準備する.今回は整合性の確認のため,2台同時に測定.

20031030111443.jpg

COSPEC観測作業中.機外に見えるのは三本岳. [16]

山頂カルデラ内

20031030121036.jpg 20031030121046.jpg


[17] [18]

山頂のカルデラ内の様子.内壁が継続的に崩壊している.水たまりは赤褐色を呈する.その他,特に変化は認められず.

20031030121056.jpg 20031030121110.jpg 20031030121123.jpg

[19] [20] [21]

陥没カルデラ内

山麓の様子

20031030121412.jpg 20031030121436.jpg 20031030121452.jpg

[22] [23] [24]

山麓の様子


20031030120716.jpg 20031030120748.jpg


[25] [26]

上空からみた神着(左)と伊豆(右).比較的緑が多い.これは噴煙の風下になりやすい三池とは対照的である.

12時12分に火口観測を終了し,帰路につく.

帰路

20031030125552.jpg

12時55分横浜上空を通過. [27]

20031030131945.jpg

13時04分,羽田空港に着陸.直後,エンジンの洗浄をおこない,13時16分降機. [28]


ヘリクルーの皆様,ありがとうございました.



行程:

0550 起床

0625 常磐自動車道に入る

0755 羽田空港に到着

0820 保安庁の建物に入る

0935 機体に移動

1010 羽田空港を離陸1025 洋上に出る.すぐ伊豆大島を目視

1034 伊豆大島の東海上を通過

1043 新島の東海上を通過

1050 三宅島の上空に到達

1109 COSPEC観測開始

〜11401150 火口観測開始

〜12101212 三宅島上空を離脱

1255 横浜上空に到達

1304 羽田空港に着陸.エンジン洗浄

1316 機体を降りる

1400 昼食後,つくばに出発

1630 ガソリン補給後,庁舎に到着

About this page: