三宅島ヘリ観察報告: 2004年07月27日

by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST

噴火対応

筆者によるヘリ観測報告

三宅島top↑

2000年

10月10, 16, 19日, 12月27日;

2001年

1月15, 29日, 2月12日, 3月5, 26日, 4月9日, 5月14日, 7月20, 23, 27日, 11月21日;

2002年

1月23日; 3月13日; 7月12日; 8月29日; 10月2日; 11月13日;

2003年

2月25日; 4月23日; 9月16日; 10月30日;

2004年

1月14日; 4月8日; 7月27日; 10月14日;

2005年

8月19日;

(宣伝 ^_^);
火山研究解説集:


観察・報告:宮城磯治 (産総研・深部地質環境研究センター)
同乗者:宮下さん&菊地さん(気象庁),森さん(東大)
ヘリ:警視庁ヘリ・おおとり5号


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目次

概要:

天候は晴れ.三宅島付近の上空約300mの風速は12ノット,風向は80度.

三宅島山頂部は雲底高度600m程度の雲に覆われていたが,雲の切れ目から

火孔および陥没カルデラの一部を目視できた.


噴煙について:

総量は2004年1月14日(観測=宮城)や4月1日(観測=川辺)と大差ない.

白色噴煙の到達高度は,島雲のため不明だが,島雲の高度(約1500m)よりは低い.

青白いガスが島の風下(阿古〜新澪池にかけて)山麓を流れ下り,その量は以前

と大差ない.COSPEC観測時にはやや強いH2S臭を感じた.


カルデラ内について:

断片的な観察であったが,カルデラ壁と火孔は,最近の観察と大きな変化はない.

4月1日と比較すると,発煙量はカルデラの南リムに近い大穴のほうが,

より内側の穴より多く見えるが,これは気象条件の違いと思われる.

カルデラ底は乾いており,水溜りは一つも確認できなかった.


山麓部について:

島の東側(風下)における植生の回復は,谷部を主体としており,

尾根部では地面や樹々が茶色である.大路池はやや濁った緑色を呈していた.


三宅島まで

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:午前8時の東京ヘリポート(集合時間は9時).東側の遊歩道より.[1]

観測当日の天候は,朝のうち曇り,のち晴れ.

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[2] [3]

左:お世話になったヘリ,おおとり5号(ベル412).

右:火山ガス観測機材の設置.

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[4] [5]

午前9時43分,東京ヘリポートを離陸.離陸直後,都内の視程はあまり良くない.

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[6] [7] [8]

左:伊豆大島(雲に覆われていない).

中:新島(雲に覆われていない).

右:神津島(雲に覆われている).

伊豆大島→新島→神津島と,南にゆくほど島雲が多くなる.


三宅島

山麓

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:神津島よりも南にある三宅島は,やはり,島雲にすっぽり覆われていた. [9]


これまでの観察では,卓越風の風下にあって火山ガスの直撃を受けていた坪田

(三宅島空港)〜三池にかけては,植生の回復の遅ればかりが目立っていた.

しかし今回の観察では,山麓部の窪地や谷地に鮮かな緑色が増加しているのが

印象的であった.但し山頂〜山腹部は茶色のままであり,浸食が進行している.

三宅島の山麓写真を反時計回りにならべる↓(実際の撮影順はこの逆).


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[10] [11] [12]

伊豆〜伊ヶ谷.

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[13] [14] [15]

伊ヶ谷〜阿古.

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[16] [17] [18]

阿古〜村営牧場.

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[19] [20] [21]

村営牧場〜坪田.

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[22] [23] [24]

坪田.

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[25] [26] [27]

坪田(三宅島空港)〜三池.

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[28] [29] [30]

三池〜赤場暁(火の山峠).

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[31] [32] [33]

島下〜伊豆(大久保浜).

火山ガス観測

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[34] [35]

COSPEC(※1)とDOAS(※2)観測を同時に実行.

山麓を流れ下る,青白い火山ガス.

※1:コスペック;Correlation SPECtrometer;紫外線相関スペクトロメター;SO2の紫外領域で光吸収を利用して,濃度積を測定する.

※2:ドアス;Differential Optical Absorption Spectroscopy;コスペックとほぼ同様の機能が,より小型軽量になっている.

新島

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[36] [37]

新島空港に着陸.

ヘリは給油,人間は昼食.

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[38] [39]

新島空港を離陸.

午前中に比べて,神津島(右写真の左の奥)にかかる島雲がやや少なくなった.

陥没カルデラ内

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[40] [41]

噴煙と島雲を慎重に避けながら,雲の切れ目を探す.

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[42] [43]

カルデラ底.水気がないように見える.

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カルデラ内壁. [44]


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[45] [46] [47]

主火口.カルデラ縁に近い,大穴からの煙量が多目に見えるが,島雲が巻き込んだものと思われる.

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火口観測終了.島雲がすっぽり覆っていた. [48] よく見えたものだと思う.


池の様子

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[49] [50] [51]

左:大路池(午前中に撮影).緑色に濁っている.

中:伊豆の貯水池(午後撮影).やや澄んだ青緑色である.

右:洗足池(東京都大田区;同日午後撮影).濃い緑色である.


帰投

観測終了は13時55分.

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[52] [53]

上陸(左).横浜上空(右)

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東京ヘリポートに到着. [54]

ヘリクルーの皆様,どうもありがとうございました.

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