三宅島ヘリ観察報告: 2004年10月14日
by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST
- 観察・報告:宮城磯治 (産総研・深部地質環境研究センター)
- 同乗者:気象庁の宮下さん&宮越さん
- ヘリ:警視庁ヘリ・おおぞら2号(スーパーピューマ)
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目次 |
概要:
観察時刻:午前11時と午後2時.
天候と雲:三宅島には高度約700mの雲がかかり,高度約1000mの風は
70度20ノット(午前中),高度410mでは90度8ノット(午後)であった.
この雲の隙間から短時間陥没カルデラ内を観察することができた.
噴煙:白色噴煙は標高約1400m(島の高さの約二倍)まで斜め上に上昇し,
拡散し,島を出る前に消滅していた.気象条件のためと思われるが,
白煙の量は以前(7/27, 8/10)の数倍はある.噴煙の脈動の確認は,観察
時間が短かかったために噴気孔の観察からはできなかった.しかし煙の
塊が2〜3個並んでいたことから,間隔は10-20分程度である模様.上昇
した白煙は島の外に出る前に消滅していた.青白い火山ガスは新澪池
方向に山腹を流れ下っていた.風下側海上で火山ガス測定中(COSPEC)
に感じた火山ガスは,普段のH2S臭に加えて,SO2臭も強く感じた.
火口内:多数の噴気孔を有するマウンドは,以下の点が以前(7/27, 8/10)
とは異なった.1,マウンドの中央に池ができており,2,この周囲にあっ
た黄色い物質(硫黄?)の大半が消失していた.3,白色噴煙の量が多いため
(数倍?),噴気孔が隠れがちであった.これらの点を除けば,マウンドに
は顕著な変化は認められなかった.
陥没カルデラ底には緑色〜赤褐色の池が多数出現していた.池の色は,
上記のマウンドに近いほど緑色で,遠いほど赤味が強くなる傾向があった.
カルデラ縁においては,新たな崖錐の生成や崩落は認められなかった.
三宅島まで
東京ヘリポート離陸直後の都内.
観測日は,秋雨の前線が退いた直後であった.
視程はまあまあ.
ヘリコプターは都内→横浜→川崎上空を通り,9時50分に洋上に出た.
人員輸送のため,伊豆大島に短時間着陸. [5]
新島までは,南下するにつれ天候が回復した. [6] しかし,三宅島周辺には高度約700mの雲があった.
三宅島
火山ガス観測
火山ガス観測(COSPEC)の準備.
南西(左写真)北東(右写真)とからみた三宅島.
雲はこの日の風上側である北東側に多く,島の南西側では消滅していることがわかる.
新島
給油・休憩・昼食のため,新島空港に着陸. [11]
お世話になったヘリ.新島空港にて. [12]
13時34分,新島を離陸. [13]
噴煙
北西上空から見下ろした,噴煙.[14]
モクモク上昇している.
北西からみた,噴煙. [15]
陥没カルデラ内
西方上空よりみた,陥没カルデラ.
カルデラ底の池のクローズアップ.
噴気孔(マウンド)のクローズアップ.
観測終了
村営牧場の溜め池.土砂が流入している. [22]
約30分の観測を終え,帰路についた.
東京ヘリポートにて.[23] ヘリクルーの皆様,どうもありがとうございました.
行程表
06時09分:つくばを出る
08時30分:東京ヘリポートに入る
09時37分:ヘリコプターが離陸
10時10分:伊豆大島に短時間着陸
10時29分:三宅島の上空に到達.ガス観測開始
11時25分:ガス観測終了
11時40分:新島空港に着陸
13時34分:ヘリコプターが離陸
13時40分:三宅島の上空に到達.目視観測開始
14時05分:目視観測終了
14時26-38分:伊豆大島に短時間着陸
15時13分:東京ヘリポートに着陸
17時00分:つくばに到着.写真の現像と,官用車の給油.