ヘリコプターからみた2001年1月15日の三宅島

by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST

噴火対応

筆者によるヘリ観測報告

三宅島top↑

2000年

10月10, 16, 19日, 12月27日;

2001年

1月15, 29日, 2月12日, 3月5, 26日, 4月9日, 5月14日, 7月20, 23, 27日, 11月21日;

2002年

1月23日; 3月13日; 7月12日; 8月29日; 10月2日; 11月13日;

2003年

2月25日; 4月23日; 9月16日; 10月30日;

2004年

1月14日; 4月8日; 7月27日; 10月14日;

2005年

8月19日;

(宣伝 ^_^);
火山研究解説集:



三宅島ヘリ観測報告
観察&撮影:宮城磯治@地調
警視庁ヘリ(同乗者:大島@東大)


  • 熱映像装置を用いた温度測定を行いました.
  • 三宅島に雪が積っていました.


画像のスライドショーはこちら→Slide Show


目次

お世話になったヘリとクルーの皆様

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左:東京ヘリポート〜三宅島〜神津島まで乗った「おおとり1号(警視庁ベル412ヘリ)」. [1]

右:神津島〜東京ヘリポートまで乗った「おおとり5号」. [2]


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左:クルーの皆様(の,うしろ姿). [3]

右:全行程を通じて視界は非常に良好. 三宅島に向う途中.富士山がよく見えました. [4]


雪景色の三宅島

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[5] [6]


一連のヘリ観測のなかで積雪が見られたのは今回が初めてです(大島先生 談).

観測開始時も上空は雪が降っていました.上空の気温は−8℃でした.熱赤外観測のためドアを全開しすると,あっというまに体が冷え切って指の動きが悪くなってしまいました.熱映像装置(地質調査所地殻熱部の松島氏からお借りしたもの)は500万円ぐらいするそうなので,落としたら大変です,,.

三宅島の噴煙

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相変わらず多量の噴煙が出ていますが,2000年12月27日と比較すると,それほど活発ではありません.

噴煙は白色で,その下には青白いミストがみえました. 噴煙の上端高度は4000フィート(ヘリの高度計による)で, 西よりの風によって三池方向に流れていました. 降灰は認められませんでした.

左:三宅島の北東上空から山頂部を見る. 噴煙中の二酸化硫黄によって青っぽい光が散乱されたため, 海面に反射した日光は赤っぽく見える.[7]


右:三宅島の南東上空から山頂部を見る. 噴煙が充満しているため, 陥没カルデラの内部は肉眼ではまったく見えない.[8]


※参考[9]12月27日の火口内の様子 (ヘリ観測 by 宮城@地調)

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[10] [11] [12]

北側から見た陥没カルデラの様子(パノラマ写真).

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[13] [14] [15]

南側から見た陥没カルデラの様子(パノラマ写真). たなびく噴煙の下には青白い霧「硫酸ミスト」があり, 西の風に吹かれて,三宅島空港から三池にかけての方向に流されていました.

なぜこんなにガスが出るのか!?

※参考[16]三宅島2000年活動に関する見解 (地下のマグマから盛んに脱ガスが起きるモデル;地質調査所)

※参考[17]9月以降の三宅島脱ガス活動の推移について (地質調査所)

※参考[18]COSPECを用いた三宅島の二酸化硫黄放出量の測定 (地調,気象庁,東工大)

※参考[19]ヘリ塔載のガス濃度計を用いた三宅島噴煙の二酸化炭素・二酸化硫黄・硫化水素測定 (地調)

※参考三宅島2000年噴出物の構成粒子について(宮城@地調)

熱映像装置による噴気孔の温度測定

今回の測定で観測された最高温度は,約314℃でした.

カルデラ内が噴煙で満されているので,赤外線による温度測定を行なう条件としては非常に悪いものでした.というのは,仮に測定対象(この場合噴気孔)が高温だったとしても,観測者と熱源との間に濃い噴煙たちこめている場合,測定される温度は噴気孔の温度(数百度)ではなく,噴煙の温度(数十度)になってしまうからです.

したがって,以下の測定値は最低見積もり(実際はもっと温度が高い)ことにご注意ください.

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[20]

赤印付近を覗き込む.

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[21]

(高画質,8.2M)

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[22]

(低画質,1.6M)

熱映像動画クリックすると動画(QuickTimeMovie)がダウンロードされます.


画面表示の解説

HT:いま映っている画素の最高温度.

P1:1番の十字線の温度.

P2:2番の十字線の温度.

P3:3番の十字線の温度(十字線が右のメニューに隠れている).

時刻:表示された時刻は実際より2分10秒早いことを確認しています.

※参考:[23]2000年9月19日の噴気温度(by 気象庁 and 地質調査所)



※QuickTimeMovieを見るには[24]QuickTimeソフトウェア が必要です.

陥没カルデラ周辺の地割れ

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[25] [26] [27]


陥没カルデラ縁の西〜南.

中野氏が[28]12月25日 の観測の際に報告した,カルデラリム南部のひび割れを確認できました.ひび割れ自体は広がった様子はないが,内側がかなり欠損している.崩落したものと思われます.



2001年1月15日のヘリ観測の行程メモ:

05:00 起床.

05:30 自宅(茨城県つくば市)を車で出る.

07:00 東京ヘリポート到着.早すぎた,,.

07:12 気象庁より,飛行決行の連絡を受ける.

08:39 ヘリ離陸.Bell 412, おおとり1号

08:50 機内にて,落下防止帯(モンキーベルト)を装着.

09:00 洋上に出る.

09:10 伊豆大島通過.

09:28 利島通過.

09:29 遠くに三宅島が見えた.

09:30 新島通過

09:35 三宅島上空に到着.観測開始.

10:18 三宅島離脱.観測終了.機内でデジカメとVTR検討.

10:34 神津島に着陸.

11:27 神津島を離陸.Bell 412(?), おおとり5号.

11:54 伊豆大島通過.

12:10 本土海岸線にさしかかる.

12:24 東京工業大学地球惑星科学科高橋研究室の真上を通過(東宮・宮城 出).

12:37 ヘリ着陸.車で気象庁に移動.

13:16 気象庁に到着.庁の食堂で昼食をとる.観測結果報告.宮城撮影のビデオをダビング.

14:46 帰路につく(気象庁を車で出発).

16:00 地質調査所(茨城県つくば市)に到着.庁用車を返却.報告作成(文書,デジカメ,ビデオキャプチャー).

18:00 報告作成途中だが,,,娘からの帰れコールのため,帰宅.

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