三宅島ヘリ観察報告: 2003.02.25
by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST
- 観察・報告:宮城磯治 (産総研・国際部門・国際地質協力室)
- 同乗者:東大・大島先生,気象庁・中堀&池田さん,地震研・孫さん
- ヘリ:警視庁・おおぞら2号(スーパーピューマ)
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目次 |
概要:
- 天候:
前日に本州の南岸を低気圧が通過し,冬型になりつつあった.
三宅島上空2500フィートの風は北北東,14kt(1kt=1.852km/h).
- 噴煙:
白色で,高度は山頂カルデラリムから2-300m(午前);700m(午後).気温が低いためか,白煙が多く見える.噴煙の下に青白いミストがはっきり確認できたことから,少なくとも前回(2002年11月13日)よりは二酸化硫黄多い模様.
- 陥没カルデラ内
カルデラ内の視程は良好.前回(2002年11月13日)に比べ,主火孔の噴煙量が多く,周辺の割れ目等からの白煙量は相対的に少なくみえた(気象条件のためか).
- 火山ガス:
COSPECは風向がわるいために欠測した.上空は西風で低空は北〜東風.しかし目測では前回(11月3日)より明らかにガスが多く,風下側の沿岸を高度約100mで飛行中も,強いH2S臭を感じた.
- 山麓周辺部
特に変化なし.
- 行程:
05:30 起床.
06:00 車の霜取り.
06:15 つくばを出発.
07:15 東京ヘリポートに到着.
07:25 気象庁に電話.観測決行を確認.
08:50 警視庁ヘリに搭乗.
09:05 東京ヘリポートを離陸.
09:25 逗子上空から洋上に出る.
09:32 雲勝ちになる.高度は900m以下.∵標高935mのヘリより低い.
09:59 三宅島空港に着陸.重力観測の孫さんと,災対関係者が降りる.
10:07 三宅島空港を離陸.火口観測開始.
10:27 火口観測終了.三宅島上空を離脱し,新島に向かう.
10:40 新島空港に着陸.給油,昼食,休憩.
12:45 ヘリ搭乗.
12:55 新島空港を離陸.
13:10 COSPEC観測開始.
13:15〜18 噴煙の風下.におう
13:31〜35 噴煙の風下.におう.H2Sと,鉄サビ(?)のにおい.
13:45 COSPEC観測終了.
13:50 三宅島空港に着陸.重力観測の孫さんと,災対関係者が乗る.
13:55 三宅島空港を離陸.
15:15 伊豆大島の東海上を通過.
14:56 東京ヘリポートに着陸.
17:00頃 つくばに戻る.
三宅島まで
[1] 前日は本州の南岸を低気圧が通過.車の窓ガラスは,みぞれが転じた厚い氷で覆われ,削り取る(ミニDVのプラケースで)のに一苦労.
[2] 東京ヘリポート,警視庁航空隊の玄関前にて.気象庁による,COSPECの調整.
お世話になったヘリ.警視庁 おおぞら2号 AS332L1型.
[4]
離陸直後の都内.視程は良好.
逗子付近の煙突.地上付近の風は北東の弱風であり,冬型になりきっていない.
本州の陸地は雲が少なかったが,洋上は低い雲がかかる.[7]
その高度は900m以下.∵ 雲は標高935mを時速230km/hで飛行するヘリより下に見える.
三宅島
左→中:三宅島上空に到達.時計まわりに島を回り,三宅島空港に着陸.重力班の孫さんと,災対関係者数名が降りる.
右:これから火口観測に向かう.ドアを開けて飛ぶため,安全確保のベルトを装着.
陥没カルデラ内
陥没カルデラ内の概観
主火孔のクローズアップ
陥没カルデラ内,各部のクローズアップ.
山麓と,池の様子
島の北斜面.
陥没カルデラから立ち登る噴煙.(南斜面を東から見た)
陥没カルデラから立ちのぼる噴煙.(西斜面を北から見た)
南山麓[38]
左:西山麓の村営牧場の貯水池.
[39]
右:北山麓の貯水池. [40]
新島
新島空港で給油,昼食,休憩.
左:新島空港のロビー. [43]
右:朝日航洋のヘリ.三宅島の植生観察のため,関東森林局の方たちが搭乗. [44]
COSPEC
左:COSPECをセットして,離陸.
[45]
中:離陸直後の新島(手前)と式根島(奥). [46]
右:三宅島遠望. [47]
COSPEC観測開始. [48]
COSPEC観測中.三宅島の南西〜南海上を通過中,やや強いH2S臭あり.
噴煙は,下のほうが南西,上のほうが東に流れている.
左:東からみた噴煙.根元は奥に,それより上は手前に流れる. [51]
中:南西からみた噴煙.根元は手前に,上は奥に流れる. [52]
右:北東からみた噴煙.根元は山の向こうに,上は左手前に流れる. [53]
三宅島をぐるっと回って観測したが,風が上層と下層で異なる方向に流れていたため,その場所でもSO2の吸光がおき,SO2放出量の計測ができなかった.
13時45分ごろCOSPEC観測を切り上げ,三宅島空港に着陸. [54]
重力班の孫さんと,災対関係者が乗る.
帰路につく
左:油壷上空. [55]
右:横須賀上空. [56]
14時56分,東京ヘリポートに着陸.
[57]
ヘリクルーの皆様,ありがとうございました.