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日本物理学会誌 54 (1999) 621-628.
関連する論文はホームページ (http://staff.aist.go.jp/t.nakanishi/)をご覧下さい.


カーボンナノチューブの電気伝導
Electronic Transport in Carbon Nanotubes


中西 毅, 安藤 恒也$^1$


理化学研究所
〒351-0198 埼玉県 和光市 広沢 2-1


$^1$東京大学 物性研究所
〒106-8666 東京都 港区 六本木 7-22-1


カーボンナノチューブ(以下, 「ナノチューブ」)は1991年にNECの飯島によって発見された天然の量子細線である. 最近高品質な単一壁ナノチューブが大量に生産されるようになり, 実験的に電気伝導も調べられるようになった. この系は, 独特な構造と電子状態を持つため, 多様な物性の出現が期待される. 実際, 有効質量近似を用いると, グラファイトの電子の運動はニュートリノの Weyl 方程式で記述される. その結果, 長距離ポテンシャルによる電子の後方散乱がおこらないためコンダクタンスが量子化されるなど, さまざまな興味深い現象が起きる. 本解説では, ナノチューブの電気伝導について, 最近理論的に解明された基本的な物性を中心に解説する.






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T. Nakanishi 平成16年3月19日