「岡潔文庫」(奈良女子大学)補遺


奈良女子大学「岡潔文庫」には岡博士の発表、未発表論文が公開されています。フランス語の論文は日本語に訳されています。
いくつかの誤植もありますので、補足をしたいと思います。

1. 論文II(仏文)に受理年月日の誤植があります。修正版 原論文II-PDF

2. 論文VIの和訳に誤植があります。 論文VIにおいて有限単葉な領域における擬凸性が研究されHartogsの逆問題が解決されました。 2ページ目に、"x=x1+x2であり、i は虚数単位である"とありますが、 "x=x1+ix2"の誤植ですね。
修正版 論文VI和訳-PDF

3. 論文VIIは仏文、和訳のPDF共に誤植があります。和訳に受理年月日の誤植があります。 また、和訳5ページの6行目と9行目の式に、f '- (a1F1+ … + a2F2) 等とありますが、f '- (a1F1+ … + apFp) の誤植ですね。 この部分は原論文のPDFにおいても同様に誤植があります(岡博士オリジナル版(岩波書店版)及びCartan修正版ともに) (自明な誤りですが)。 11行目に f ≡ ψ ' ≡ f ' とありますが、最初の合同は二つは等しいので等号=で良いです(原論文による)。
修正版 論文VII和訳PDF
修正版 論文VIIオリジナルPDF

4. 岡博士の京都大学における講演録「多変数解析函数について」において、Cousinの論文の出版年について 2ページ目に1985年とありますが、1895年の誤植ですね。修正させていただきました。 修正版 講演PDF

5. 高木貞治先生宛の手紙大学宛は、6ページのみ文字の大きさが変わっていますので、修正しました。 この6頁目には多変数解析関数論と周辺分野の関係が図で示されており(研究提案でよく書くような図です)興味深いです。
修正版 高木先生宛手紙(大学宛)

6. 高木貞治先生宛手紙 1において、細かいことですが1頁の下から4行目に Überlargerungsbereich とありますが Überlagerungsbereich の誤植です。「岡潔博士遺稿集」をみますと同じ綴りですので岡博士にしては珍しいスペルミスかと思い、 ウェブページに公開されている自筆の原稿のコピーを見てみますと、正しくÜberlagerungsbereich と綴られていました。 bereich は領域でÜber は上にと言うことですので、これは被覆領域を表しています。岡博士は倍域と訳されています。
修正版 高木先生宛手紙1

7. 高木貞治先生宛の手紙 2 は、3ページのみ文字の大きさが変わっていますので、修正しました。
修正版 高木先生宛手紙2



 










 
 
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