フィンランド出張報告: 2003.03.23
- 写真・文:宮城磯治 (産総研・国際部門・国際地質協力室)※
- 出張者:笹田政克&宮城磯治
- 作成日:平成15年4月22日(火)
- 修正日:平成16年6月16日(水)
- デザイン変更:2008年2月5日火曜日
※産業技術総合研究所→活断層・火山研究部門→マグマ活動研究グループ:主任研究員
- 7日目 フィンランド南部の地質巡検
概要:
3月23日 日 AM/PM
- フィンランド南部の地質巡検(GTK職員の好意による).
得られた資料
- Nuuksion Ja:rviyla:nko:/ Geological outdoor map, by GTK, 2001, -.
※ GTK発行,"Nuuksio lake upland"の1:25,000地質図(解説書つき). ISBN 951-690-796-2. フィンランド語,スゥエーデン語,英語. - Nuuksio nationalpark, by Servicepunkten Tikankontti, 2002, -.
※フィンランド語.ナショナルパークのパンフレット. - Ulkoilukartta/ Pa;a:kaupunkiseutu (Outdoor map/ Helsinki Metropolitan Area), by ??, 2002, -.
※ヘルシンキ周辺の地図.1:35,000と1:40,000. 中身はフィンランド語とスゥエーデン語.発行所不明. 昼飯のレストランで無料で配布.
スタート
10:25 ホテルにPaavo Vuorela氏とVeikko Hakkarainen氏がきた.馬力のありそうなプジョー(406だった)をHakkarainen氏が運転.
GTK発行の地質図を広げ,巡検の場所を説明をするハッカライネン氏とヴオレア氏.道中の雑多な話題,Q フィンランド語ではWはカクソイスヴェーという発音するが,「BMW」はどう発音するのか(答え(by Paavo)は,Wはもともとフィンランドになかったので,Vがふたつ(2=カクシ; V=ヴェー ∴W=カクソイスヴェー)と読んでいる.でもBMWはベェーエムヴェーと発音している).
フィンランドの郊外は農村になっている.その風景は,部分的には茨城県中〜南部とよく似ていたが,植生は全く異なる.
乗馬練習中の少女と母親をみかける.
Nuuksion湖
11:30頃.Nuuksion湖に到着.
Nuuksion湖をみおろす.
凍結したNuuksion湖の上を1/4幅ほど渡ったところで,360度写真を撮影.Nuuksionは千波湖(水戸市)ほどの幅.地元の人もクロスカントリースキーで歩いている.氷は十分厚いので,割れることはないだろう.しかしPaavoによれば,こういう湖でスケートやスキーをするときは,襟もとにスパイクを二本用意しておくのが安全だとのこと.万が一氷が割れたら,そのスパイクを使う.さもないとすべって履い上れない(氷が斜になるから)そうだ.滑って転ばないように慎重に歩く.足から伝わる氷の感蝕は,浅い水溜りにできるpureな氷よりも軟らかく,平らに踏み固められた雪よりは硬い.
足元の氷は数ミリぐらいの気泡が沢山入っている.歩いた感蝕の違いは,この気泡に関係あるかもしれない.
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Nuuksionから車で数分にある,スキー場.
Nuuksio 国立公園
Nuuksio 国立公園に到着.
日曜とあって,駐車場は満杯だった.ハッカライネン氏はこの付近に山小屋を所有していて,夏になるとマウンテンバイクでこの辺を頻繁に散歩するが,冬に来るのは初めてとのこと.
上段中央:凍った池の上で記念撮影.夏に,同じアングルで撮影してくれるよう頼んだ.
※これです→[1]写真 (撮影:ハッカライネン氏) .同氏によれば,池のにうかんでいる植物(睡蓮)は「ULPUKKA;英語名=Yellow waterlily」というもので,フィンランドではごく一般的.
下段:さらに奥の池にも進んだ.家族ずれが沢山きていた.Paavoと笹田氏さんは湖岸の花崗岩をみながら話にふけっていた.宮城とHakkarainen氏は池の「上」で,暫く歓談.フィンランド語のこと,サウナの入りかた,地価,気候,などなど.Hakkarainenは時々英語の単語が出なくなるので,持参していたフィンランド⇔英語辞書が活躍.気がついたら13時を過ぎていた.
伝統的な家屋
Kattilaという所にある,ラップランド人の伝統的な家屋(kammi)である.半分土に埋まった構造.
左:外観,中:入口から奥(暖炉)を撮影,右:暖炉の前から入口を撮影.
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14:58 ラパキビ花崗岩をみるために,雪の中をすすむが,雪で露頭がかくれていて,断念.そろそろ腹がすいてきた.
15:32 破砕帯の露頭を観察.破砕帯のはずだが,もまれた形跡がわからず.腹がすいてくたびれて,眠くなってきた.宮城は,居眠りのため車の後部座席で数回意識を失う.
昼食と露頭観察
15:40 Bellinma:ki(Bellin=名; ma:ki=岡)という場所にある,1737以来の歴史をもつ建物に入る.これが「Bembo:le Kaffestuga」という名前のレストランになっている.
左:Bembo:le Kaffestuga外観.右:二重窓には,苔が飾ってあった.
レストランの玄関前にある露頭.
その飲食店から百メートルほど歩いたTollinma:kiというところで,高速道路沿いの崖を見た.泥質岩起源の変成岩に,その構造と調和的に,花崗岩が染み込んでいた.外にでて,大きな石臼をみた.
床屋.この建物は,上記の1737年のレストランよりも更に歴史が長いという.
「鍛冶屋村」の露頭
17:30 本日最後の露頭.
場所はSepa:nkyla:(seppa:は鍛冶屋のことで,Kyla:は村の意味).さきほどの高速道路ぞいと露頭とほぼ同じ顔付きだが,横に追ってゆくと途中で構造の走向傾斜が変化する.
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18:00 ホテルに到着.