フィンランド出張報告: 2003.03.22

by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST
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フィンランド出張報告2003

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写真・文:宮城磯治 (産総研・国際部門・国際地質協力室)※
出張者:笹田政克&宮城磯治
作成日:平成15年4月22日(火)
修正日:平成16年6月16日(水)
デザイン変更:2008年2月4日月曜日


※産業技術総合研究所→活断層・火山研究部門→マグマ活動研究グループ:主任研究員

6日目 休日


概要

3月22日 土

AM/PM 休日なのでヘルシンキ市内を見物.

  • シベリウス公園
  • 民族博物館
  • 国会議事堂

得られた資料

  • リニヤカルタン
    ※ヘルシンキ近郊の交通路線図である.


うろうろ

8:30 起床

9:00 ごろ 食堂で笹田氏と一緒に朝食.ホテルの朝食内容は毎日ほぼ同じだが,いまのところ飽きることがない.それらはパン(4〜5種類ある),バター,オートミール(暖かい,麦のおかゆで,ジャムを乗せてたべる),海産物(蒸した小さな海老,味付けして万能ネギのかかった生魚),オリーブの実,穴のあいたチーズ(スライス),レタス,ハム(二種類),ヨーグルト(シリアルをかける),オレンジジュース,コーヒー(と紅茶).

非常に充実した毎日が続いたので,笹田氏は午前中は部屋で休息をとりたいとのこと.そこで昼に待ちあわせることにした.

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9:55 ホテルを出る.フロントでMista voin saada linyakartan (バス/トラムの路線図はどこにいったら入手できますか?)と聞いたら,フロントにあった分をすぐ出してくれた.Kiitos palijon!(どうもありがとう!).

とりあえず,うろうろ,,,.

木材の活用

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ヘルシンキ市街地の建築現場.作業足場にふんだんに木材をつかう.郊外の高速道路工事現場でも木材を多用しているのを見ている.

トラム(路面電車)

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トラム,内部と,料金表

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左:トラムのポイント.右:トラムの車庫

ホテルから東に2〜3百メートルのところに,トラムの10番の軌道がある.また,西に同じくらいゆくと3番の軌道がある.とりあえずトラム10番に乗る.どこでキップを買うのかわからないので,適当に運転手にKakusi Euroa (2ユーロの)というと,すぐ発券してくれた.乗ったあと,車内の説明よくみると,これは1時間有効で,その間なら何度でも乗換えできるらしいことがわかった(乗ったのは大体10時で,チケットにはVoimassa 22.03.03 10:58とあり,Voinはable toの意味だから,多分このチケットの有効期限がこの時刻という意味だろう).10番のトラムはヘルシンキ市内を北西にすすむ.この方角にはシベリウス公園がある.トラムを降りて徒歩で公園へ.

特殊車両

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ヘルシンキの街でみかけた特殊車両.

左:救急車

右:道路清掃車

暖かい人々

バス/路線図(リニヤカルタン)は比較的詳細で,地図としても十分使える.地図をみながらたちどまっていたら,信号待ちしていた人が,強い巻舌の英語で話しかけてきた?.Where do you wanna go? Perhaps you are looking for Sibelius park? (何処にゆきたいんだ?シベリウス公園だろ?)というので,そうだと答えると,すぐ近くだ,これを右にいってまっすぐ云々とのこと.彼のが待っていた信号は既に青になっていた.私がKiitos!と答えるやいなや,彼はそそくさと道路をわたっていってしまった.それにしても,フィンランドの人はみな親切なので,驚きだ.

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シベリウス公園近くの学校(小学校?).

極寒のシベリウス公園

シベリウス公園は,正直いって大したことなかった.ただ,公園の中ほどに,シベリウスの顔と,パイプオルガンのようなオブジェが置いてあるだけだ.しかしこの場所が観光スポットとしてこれだけ有名なのは,やはりシベリウスがそれだけ偉大だからだろう.

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シベリウス公園.寒々(本当に寒い)としている.

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パイプを束ねたオブジェと,シベリウスの像.


この時点で気温は氷点下4〜5度あるいはそれ以下と感じた.非常に寒く,顎の運動能力が低下し頭が痛くなってきたので退避した.

フーデッドクロー

ところでフィンランドの「カラス」は真っ黒ではない.

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フィンランドのカラス.シベリウス公園で撮影.135mmの望遠レンズ/一眼レフを使用.体長は目測で40cm位.レンズを向けたためかもしれないが,日本のカラスよりも警戒心は強く,これ以上接近できず.

このカラスは,鳴き声,動作,大きさは日本でみかけるカラスにそっくりだが,胴(胸)の部分に暖かそうな灰色の羽毛があり,せめて名前だけでも知りたいと思った.googleで「カラス 北欧 灰色 胸 図鑑」等を探したが適当な画像にヒットせず.日本野鳥の会茨城支部の幹事の片山氏に色々教えていただいた(感謝; ホームページは[1]こちら と[/http://www1.accsnet.ne.jp/~northfox/]こちら ).同氏によれば,この鳥はCarrion Crow(ハシボソガラス)とHooded Crowの雑種の可能性が高い,とのこと.Hooded Crowはハシボソガラスの亜種で和名は無い模様.ハシボソガラスはヨーロッパの南と西に分布し,Hooded Crowは北と東に分布という具合に棲息地域が分れている.色の似たイエガラスというのもいるが,生息域がスエズ運河の周辺であり,咽の下の黒い部分もないとのこと.

参考文献:※
  • The handbook of bird identification for Europa and the western Paleartic.by M.Beaman and S.Madge, Princeton University Press 1998.
  • Hiroaki Sakagawa氏によるエジプトの鳥の紹介.白いカラスは こちら

... 羽毛をもたない宮城は,寒くてどうかなりそうだった.これ以上歩くのは危険.トラムの24番が公園のすぐ前の道路をが走っているはずなのだが,どういうわけか道路に線路がない.仕方なく大通りまで歩くことにした.大通りでトラム7番にのり,トラム10番にのりかえ.路線図をよく見ると,24番はトラムではなくバスの路線だった.だから線路がなくて当然だった.そもそもトラムは10番までしかない.

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11:25 やっとの思いでホテルに戻る.戻ったらすぐ笹田さんとでかける約束だったが,あまりの寒さで体調が狂ってしまった.復活するまで待ってもらうことにした.その間部屋で電子メイルを日本とやりとり.宮城はフィンランドの後,タイで国際会議に出席予定だったのだが,イラク戦争の影響で出張を中止する可能性があるのだ.

シベリウス公園(再)

12:30 笹田さんと一緒にホテルを出る.マクドナルドで昼食.その内容は,イソバーガー,イソコーク,イソポテイトー(ビッグマック,コーラ大,フライドポテトの大)であった.物価の高いフィンランドだが,マクドナルドの値段は日本とほぼ同じ.

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マクドナルドのケチャップサーバー.

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トラム10番にのって,ふたたびシベリウス公園に.

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少し元気が出てきたので,シベリウス像周辺を撮影しておいた.シベリウスの像の土台は立派な露頭であり,脈が入っていた.※帰国後シベリウスについてサーチエンジンで調べたところ(キーワードは「シベリウス + 症」),作曲家シベリウスはもともとはバイオリンの名手であり,極端なあがり症,赤面症のために,演奏家よりも作曲家として有名になったらしい.そう思ってシベリウス像の写真をみると,金属でできた彼の頬は土台の花崗岩の色を反射して,ほのかにピンク色に染まっているような気さえする.

あたたかい煙突

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あ〜,あたたかい.

ヘルシンキ大学のJuhani Suksi氏によれば,フィンランドでは「温水」の配管が道路の地下に通っていて,熱交換器を通して住居(セントラルヒーティング用)にひきこむ.熱交換器の真上に煙突があるという.この温水は,電力会社が発電にともなう「廃熱」を提供しているものである.後日ポシバ社で聞いた話によれば,この温水の販売価格は,一般的な大きさの住宅の場合,20ユーロ/月とのこと.

民族博物館

トラム4番で市街地方向へむかう.

14:00 途中下車.Kansallismuseo(Kansa=people, Kansallis=national, museo=musium; 民族博物館)を見学.

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外観

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ひと味ちがうデザイン

氷河期がおわってから現在までの,フィンランドの歴史がみてとれる.入館料は5ユーロで,シールを胸にはる.氷河期のおわりとともにフィンランドの大地が露出する.当時のフィンランドは日本と同様,海岸線が内陸まではいりこんでいた.石器時代のヤジリには,日本では火山ガラスが使われていたと思うが,ここでは石英をたたいて作っていた.石器から青銅器まで,生活用品や装飾器具のデザインは日本とは一味違っていた.

国会議事堂

15:30 頃,博物館隣りのEduskuntataro (Edus=represent, kunta=commune, taro=house;国会議事堂)にゆく.建物の中には入れそうになかったので周囲をうろうろ.トラム10番にのり,ホテルにもどる.

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国会議事堂

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クローズアップ

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おまけ.ヘルシンキ中央駅(トラムから撮影)

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