一杉裕志
独立行政法人 産業技術総合研究所 脳神経情報研究部門
研究テーマ:計算論的神経科学 −脳の機能を再現するプログラム−
大脳皮質の神経回路モデル(BESOM モデル)をもとにして、
人間のような知能の高いロボットの実現を目指しています。
BESOM モデルは4つの機械学習技術
(自己組織化マップ、ベイジアンネット、独立成分分析、強化学習)を
エレガントに組み合わせたもので、
計算論的妥当性および神経科学的妥当性が高く、
計算機上での効率的実行にも適した有望なモデルであると考えています。
ブログ始めました。BESOMモデルに関連する、研究者向けの情報発信をしていきます。
脳の情報処理原理の理解に必要な知識の良質な情報源を、独断で選んで紹介します。
研究構想の説明資料および発表資料
- 解説:「脳とベイジアンネットFAQ」
[ brain-bayesnet-faq.html ]
- 一杉裕志、「大脳皮質のアルゴリズムBESOM Ver.1.0」
産業技術総合研究所テクニカルレポート AIST09-J00006, Sep 2009.
[ AIST09-J00006.pdf ]
- 解説:「ベイジアンネットとは」
[ 20090612MPE.pdf ]
- 所内ゼミ資料:「総説論文「注意の正規化モデル」の紹介」
[ 20090408norm.pdf ]
- 一杉裕志、「大脳皮質神経回路が行うベイジアンネット構造学習に関する考察」
人工知能学会 第72回 人工知能基本問題研究会 (SIG-FPAI), Nov 2008.
[ 20081023fpai.pdf ]
- 一杉裕志、「ベイジアンネット、SOM、ICA、強化学習を組み合わせた大脳皮質の神経回路モデル」
第22回人工知能学会全国大会, June 2008.
[ 100060.pdf ]
- 一杉裕志、「脳の情報処理原理の解明状況」
産業技術総合研究所テクニカルレポート AIST07-J00012, Mar 2008.
[ AIST07-J00012.pdf ]
- 研究構想説明資料:「運動細胞のモデルの構想」
[ 20071016motor-neuron.pdf ]
- 研究構想説明資料:「シャンデリア細胞とアンチヘブ則に関する仮説の構想」
[ 20071016anti-hebb.pdf ]
- 一杉裕志、「大脳皮質の主要な解剖学的特徴と一致する BESOM モデル」,
Neuro2007, Sep 2007.
- 一杉裕志、「大脳皮質の神経回路モデルを用いた脳の機能の計算機上での再現の構想」,
日本認知科学会第24回大会, Sep 2007.
[ 20070903P2-27.pdf ]
- 研究構想説明資料:「BESOMモデルへの時系列学習機構の追加の構想」
[ 20070724recurrent.pdf ]
- 研究構想説明資料:「視覚刺激の座標変換を行う神経回路を独立成分分析により自己組織化するモデルの構想」
[ 20070403coodinates.pdf ]
- 研究構想説明資料:「選択的注意の機構の計算機上での再現と、前部帯状回の計算論的モデルの構想」
[ 20060817attention.pdf ]
- 研究構想説明資料:「総積演算を実現する頑健な神経回路モデルと、覚醒度との関係に関する着想」
[ 20060818product.pdf ] 追記: [ 20070403product-ps.pdf ]
- 「階層的な生成モデルの自己組織化を目的とする神経回路による独立成分分析の一手法」、
ニューロコンピューティング研究会, Mar 2007. 発表スライド:
[ 20070316ica.pdf ]
- Yuuji ICHISUGI, "The cerebral cortex model that self-organizes conditional probability tables and executes belief propagation",
In proc. of International Joint Conference on Neural Networks (IJCNN2007), Aug 2007.
[ Paper ][ Slides ]
論文ストーリーメモ: [ 20070109besom.pdf ]
- 一杉裕志、「確率伝播法と条件付確率表の自己組織化を行う大脳皮質モデル」、
ニューロコンピューティング研究会, Oct 2006. 発表スライド:
[ 20061011besom.pdf ]
- 一杉裕志、「SOMのネットワークによる前頭葉の計算論的モデルの構想」、
日本神経回路学会 第16回全国大会, Sep 2006.
[ jnns2006.pdf ]
- 一杉裕志、「SOMのネットワークによる前頭葉の計算論的モデルの構想」、
脳と心のメカニズム第7回夏のワークショップ
ポスター: [ 20060824.pdf ]
研究の方法論
・ 人工知能研究で得られた知能に関する知見を踏まえ、機械学習の要素技術を駆使し、
・ 認知科学の成果の中から特徴的な脳の機能(外部仕様)を洗い出し、
・ 神経科学の成果からアーキテクチャ設計のヒントを得つつ、
・ ソフトウエア工学研究で得られたシステム構築の方法論にしたがって、
脳の機能を再現するプログラムを作ろうとしています。
研究内容を少し詳しく言うと、
・ 自己組織化マップとベイジアンネットと独立成分分析とを融合した、
クラスタリング・ベイズ推定・連想記憶・関数近似を行う機械学習器と、
階層型マルチエージェント強化学習の機構により、
・ 人間の脳が有するパターン認識、選択的注意、行動獲得、概念獲得、思考といった機能を再現させる、
・ 大脳皮質と大脳基底核を中心とした脳の計算論的モデルの構築と、
・ そのモデルの計算機上でのスケーラブルで大規模並列化が容易でリアルタイム処理も可能な効率的アルゴリズムによる実現を、
目指しています。
これまでの経緯
2005年度より、これまでのプログラミング言語関係の研究を中断し、
以前から興味を持っていた脳の研究を始めました。
「計算機の情報処理方法と脳の情報処理方法の間には深い谷がある」
というのは今日では神話にすぎないと思っています。
神経科学の最新の知見をざっと眺めてみたところでは、
脳はとても普通の情報処理装置に見えます。
最も端的な例は、 Schultz (1997) の 「大脳基底核のドーパミンニューロンが
TD誤差信号を出力している」という発見でしょう。
脳に関して確定的なことはほとんど分かっていませんが、
確定的でなくてよければ膨大なことが分かっています。
計算機科学のセンスのある人間が脳科学関連分野の基礎知識を一通り普通に勉強すれば、
別に大天才でなくても計算機と脳の間のギャップは埋められそうです。
人工知能、機械学習、認知科学、神経科学の基礎知識を勉強することで得た数多くの有望な着想を、
できるだけ早く世に出して行きたいと思います。
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