場の量子論の教科書と参考書
       
 
『Fields and Particles』(K. Nishijima, W.A. Benjamin)

個人的には非常に気に入っている本です。この本を読むと摂動論の計算が できるようになる、ように書かれています。 日本語で新しいバージョンが出ています。

『場の理論』(西島和彦著、紀伊国屋書店)

SU(2)xU(1)の自発的対称性の破れについては、KibbleがWeinbergやSalamより先に計算をしていましたが、 Kibbleは実験を説明できるような質量スペクトルを導きませんでした。西島先生が場の理論の講義の際に、 「Kibbleは計算を間違えたために正しい答えを得ることができなかった。そのため、大魚を逃した」と言われたのが印象に残っています。 そのことをちょうどその日の講義の一番最後に言われましたので、「この一言を言うために今日の講義をされたのかな」と言いあったものでした。

『An Introduction to Quantum Field Theory』(M. E. Peskin and D. V. Schroeder, Westview Press)

最近の場の量子論の教科書となると、この本になるようです。


『Quantum Field Theory』(Itzykson and Zuber, McGraw-Hill)

その前はこの本です。最近はpapaer backも出ています。Weinbergによる次の本もあります。 『Gravitation and Cosmology』と同様に非常に詳しく書かれています。

『The Theory of Quantized Fields I,II,III』(S. Weinberg, Cambridge)


『Relativistic Quantum Mechanics』(Bjorken and Drell)
『Relativistic Quantum Fields』(Bjorken and Drell)

Itzykson-Zuberの前というとこの本です。これらの本も名著でしょう。

『An Introduction to Relativistic Field Theory』 (S. Schweber)

更にその前というとこの本です。

『Introduction to the Theory of Quantized Fields』 (Bogoliubov and Shirkov)

この本はネーターの定理など対称性に関することもしっかり書かれています。くりこみ群に関するところは面白く、ここだけでも読む価値があり ます。

『Methods of Quantum Field Theory in Statistical Physics』 (Abrikosov, Gorkov and Dzyaloshinski)

多体理論の教科書というとこれです。物理がにじみ出て来るような本です。フェルミ液体についての章は勉強になります。 Andersonは『Basic Notions of Condensed Matter Physics』の中で、多体問題の教科書の中では一番気に入っているとしています。

『Quantum Theory of Many-Particle Systems』 (A.L. Fetter and J.D. Walecka, McGraw-Hill)

数学的な取扱が詳しくかかれています。

『The Quantum Mechanis of Many-Body Systems』 (D.J. Thouless, Academic)

Brueckner-Goldstone流の取扱いやJastrow関数などの変分理論に関しても記述があるのが 特色です。

『Statistical Field Theory』(Itzykson and Drouffe)
『Statistical Field Theory』(G. Parisi)
統計(力学)的場の理論と銘うった本が出版されたことは、場の量子論が大きく 変貌したことを意味しています。くりこみ理論によりQEDが完成し、QCDなどで摂動的 な計算がなされていた第一期の時代から、くりこみ群の理論を中心とした第二期の 場の量子論に移ったと理解できます。場の量子論=素粒子論という図式よりも、場の量 子論は物理の言語になってきたと考えられます。現在、場の理論は次の段階に 入っており、共形場の理論等に代表される可積分系の研究、ストリング理論に おけるSeiberg-Wittenの理論などを経て、AdS/CFT対応などが面白くなっています。
ほかに、個人的に気に入っている本として

『Gauge Fields and Strings』(A. M. Polyakov, Harwood Academic Publishers)

これは、Polyakovが自分で切り開いてきた道を自分で語ったと言える本です。座右の書です。

『Relativistic Quantum Fields』(C. Nash, Academic Press)

次元正則化による発散の取り扱いなど計算が非常に詳しいです。誤植も結構あります。

『Advanced Quantum Mechanics』(J. J. Sakurai, Addison Wesley)

『Methods in Field Theory』(Les Houches 1975, eidted by R. Balian and J. Zinn-Justin)

Les Houches summer schoolの講義録です。面白い講義が並んでいます。個人的な座右の書です。

『Field Theory: A Modern Primer』(P. Ramond, Westview Press)

これも気に入っている本です。

『The Theory of Photons and Electrons』(J. M. Jauch, E. Rohlich, Springer)

高橋康氏はJauchのポスドクをされている時にWard identityを一般化した式(Ward-Takahashi identity)を見つけられたとのことです。 そのJauchによるQEDの教科書です。

『物性研究者のための場の量子論 I, II』(高橋康、培風館)

Ward-Takahashi identityの提唱者による場の理論の教科書です。宮沢先生が場の理論の講義で参考書を紹介する時に 「何々のためにとあると、たいていそうでない人が読むものだ」と言われたのが印象に残っています。 「物性研究者のための場の量子論」とは非相対論的場の量子論のことです。この世の粒子にボソンとフェルミオンの区別があるのは、 相対論の要請とエネルギーの正値性から来ています。フェルミオンが存在しなければ、物質が安定に存在することもありませんので、 この世界が存在するためにも相対性理論は実に偉大です。その相対論的な要請を考えない場の理論は、非常に自由さのある場の理論であると言えます。

『Aspects of Symmetry』(S. Coleman, Cambridge University Press)

 
 
 
  Condensed Matter Physics: Electronics and Photonics Research Institute