AI(人工知能)は今や我々の生活に欠かすことのできないものとなっています。家電製品や家庭用ロボットなどにも搭載されており、聞いたことがない人はほとんどいないのではないでしょうか。
しかし、それらがどんなことをしているのか、どういう仕組みになっているのか実はあまり知らない人が多いかもしれません。ひとことに「AI(人工知能)」と言ってもその仕組みは様々で、簡単に説明することはとても難しいのですが、AI(人工知能)技術によって、過去のデータに基づいた将来の予測や、子どもの安全に貢献する大切な知識を生み出すことができます。
我々が「子どもの安全」に、こういったAI(人工知能)を活用したらどうか?と考えたのは、髙岡昂太の過去の経験がきっかけです。
以前髙岡は、児童相談所の虐待対策班で非常勤職員として勤務した経験があり、その中で、経験の豊富な職員と、まだ業務に慣れていない職員とでは、判断の質やポイントが違うことを感じていました。また、上司の判断が、よく似たケースであっても異なることがある、という点について不思議な感覚を持ちました。
「なぜ同じようなケースなのに、判断や対応の仕方が違うのだろう?」
「本当にこの判断がベストなのか?」
「今緊急ケースが同時に複数来た。でも動ける人は今2人しかいない・・・」
こういった疑問を抱いた時、ここに大きな社会課題があるのではないかと感じたのでした。
どんな仕事も、数をこなす・色々な経験をする・年齢を重ねるといった経験値を積むことで、一人一人の能力が高まり仕事の質が上がりますが、児童相談所では、経験の浅い職員でも、子どもの命に関わる事態に直面することが少なくありません。
その時の知識と経験を生かしてどんなに一生懸命対応をしても、少し判断を誤ると「子どもの命を守れない」ということに繋がりかねず、万が一そのような事態になった場合、どうしても児童相談所の対応や判断が問題視されてしまうのです。
もちろん、失敗から学ぶことは多くあります。しかし、子どもの命が失われたり、もしくは子どもに大きな障がいが残った場合、「仕方ない」では済まされないのが現実です。それは子どもにとってとても不幸なことですし、その時に対応した職員にも一生の心の傷を残すこととなります。
そんな過酷な現場を見てきた髙岡が、科学の力、AI(人工知能)の力で、子どもの命と、そこに関わる職員の皆さまをサポートすることができないか?と考えたことが、髙岡の研究の始まりであり、全ての原動力となっています。
髙岡の研究はこちらもちろん、AI(人工知能)は万能ではありません。100%正しいことを判断できるものでもありません。しかし、我々人間の知識や経験を補うものとして、我々が経験した成功事例の再現と、失敗事例からの学びを「仕組み化」して、人が変わってもノウハウを溜めていくことが可能になります。
つまり、過去の現場職員の皆さまが、汗をかき大変な思いをしながらもやりがいを感じた経験や、涙をこらえ悔しい思いをした経験を、データとして蓄積し、そこから色々なリスクや可能性を予測し、我々に教えてくれる道具となってくれるのです。
未来を支える希望の光である子どもたちを、私たち大人ができる限り守るために今ある科学を最大限に活用し、素晴らしい社会を創っていくためにぜひ少しでも、私たちの研究に興味を持ってくださると、とても嬉しいです。