
第48回
選別工程決定の段取り ③
~整粒工程の役割~
整粒工程の役割
破砕された粒子の単体分離評価によって、目的の純度・回収率を得ることが十分に可能であると判断された後には、具体的な選別の操作に入る。破砕産物の粒度分布が極めて狭い「単分散」となることはあまりないので、選別操作の最初には少なからず整粒工程を必要とする。整粒工程の3つの目的は、それぞれ過去のコラムで述べているが、ここでまとめると以下のようである。
➀ 選別機ごとの適応粒度に合わせる(第23回、第24回)
➁ 外形(サイズ・形状)に基づく選別阻害因子を排除(緩和)する (第28回)
➂ 材料種ごとのサイズ依存性があれば、選別工程の一部を担う(第28回)
上記の目的に合うようサイズ等を選択して、整粒を実施する。ただし、筆者の知る限り、破砕機や選別機に比べると、選択肢はそれほど多くない。まずはふるい分けによって、粒度を整える方法。振動の与え方の違いや、スクリーンの種類による違いはあるが、基本的な原理はいずれもほぼ同じある。経験的に0.1mm以上は乾式法でも整粒できるが、0.1mm以下になると水を用いて湿式法で整粒する方が、短時間に精度よく整粒できる。とはいえ、サイズが小さくなるほど処理速度が遅くなり、目詰まりなどに対応する頻度も高くなる。このような細粒子に対しては、他産業ではサイクロンを用いることもあるが、精度良く整粒できるのは、同一形状の同一素材粒子に対して実施した場合である。サイクロンの原理は比重選別と同じであるので、比重、形状が揃っていないと、サイズで精度よく選別できない。多くの技術分野で利用されていることから整理された用語ではないが、ふるいで精度よくサイズ分けすることを整粒、サイクロンなどでサイズ分けすることを分級と、使い分けるケースも見られる。リサイクルでは、多種素材が混合している場合がほとんどなので、サイクロンを整粒目的で使用すると、細粒産物は、小粒径の高比重粒子と、それより粒径の大きな低比重粒子が混在することになる。ただし、細粒でも速やかな整粒ができるので、精度は悪いものの、例えば、選別に適さない概ね10μm以下の粒子群を事前に除去したい場合や、整粒後に比重選別以外の選別機を利用する前処理として利用されることはある。
一方、形状については、ふるいにも一定の形状整粒効果はあるが、第44回で述べたように確率的な整粒となるため、明確な効果は期待できない。専用の装置としては、球形粒子を傾斜により転がす形状選別機や、針状粒子を長方形の隙間から落下させるグリズリスクリーンなどがある。筆者は、前者について、球形だけでなくアルミ電解コンデンサのような円筒形粒子も落下させる形状選別機を「傾斜弱磁力磁選機」(形状選別機と弱磁力選別機のハイブリッド機,図7.3.1(A))として開発・製品化している。また、後者については、グリズリスクリーン上に旋回流を発現させ、フィルム状粒子と針状粒子の整粒精度を上げた「多元旋回流選別機」(図7.3.1(B))を開発・製品化している。ただし、そもそも各種の選別を阻害する形状がどのようなものか?についても明確に解明されていないため、それを目的とした選別機も未開発といってよい。現状では、上記の装置で整粒可能な形状の粒子が、明らかに選別精度を低下させると判断された場合に利用するに留まる。
図7.3.1 筆者が製品化した形状選別機の例
整粒工程の3つの目的の内、①で適応粒度に合わせたり、②で選別工程の阻害要因を緩和させることは、効果の大小はあるが、どんな場合でも選別工程に影響することを認識していただきたい。一方、③は幸運にも対象物にサイズ依存性があれば、積極的に行うべきであるが、対象物依存なのでいつも有効な訳ではない。このように整粒工程は、後段の選別工程の精度に少なからず影響を与えるが、意外にも軽視される傾向がある。実際、リサイクルで多用されるcmサイズ以上の粗粒域では、その影響はそれほど大きくないことも多いが、粒子サイズが細かくなるほど、整粒工程の意義は高まると認識していただきたい。


