音の到来方向とカラーレーションの関係

研究概要と参考文献の紹介があります。

研究概要

カラーレーション(coloration)とは、直接音と反射音が干渉して音色が変化する現象であり、障害物知覚の小さな要因の1つです。

従来の研究では、頭部に対する直接音・反射音の到来方向と、聴取者が知覚するカラーレーションとの関係はよく調べられていませんでした。

関喜一は、音の到来方向の組み合わせをいろいろ変えて、両者の関係を調べてみました。その結果、音の到来方向によって、カラーレーションが知覚される割合が異なることが分かりました。(図1

図1は、反射音の減衰量とカラーレーションが知覚される割合の関係を表わしています。音の到来方向によって両者の関係が異なっています。次の行は図のタイトルです。
図1 反射音の減衰量とカラーレーションが知覚される割合の関係(FBは前後、RLは左右方向)
Copyright © 2004 Yoshikazu Seki.

音の到来方向によってカラーレーションが知覚される割合が異なる理由について、関喜一は、音の到来方向によるスペクトル上の変化の大きさ(櫛形構造の面積)の違いに関係があると考えました。櫛形構造の面積とカラーレーションが知覚される割合の関係をグラフにプロットしてみた結果、1対1の関係があることが分かりました。(図2

図2は、櫛形構造の面積とカラーレーションが知覚される割合が1対1となることを表わしています。次の行は図のタイトルです。
図2 櫛形構造の面積とカラーレーションが知覚される割合の関係
Copyright© 2004 Yoshikazu Seki.

この研究結果により、音の到来方向とカラーレーションの関係が明らかとなったばかりではなく、カラーレーションが知覚される割合を数式で説明できるようになりました。

※ このページの図1, 2は、関喜一がこのWebページ用にあらためて作成したものであり、下記の参考文献からのコピーではありません。これらの図の著作権は関喜一に帰属します。

参考文献

  • Yoshikazu SEKI, Kiyohide ITO, Coloration Perception depending on Sound Direction, IEEE Transactions on Speech & Audio Processing 11 (6), 817-825 (2003).