概要
関喜一は障害物知覚(obstacle perception, obstacle sense)という能力について研究しています。
障害物知覚は、音を発していない物体を聴覚により知覚する能力のことです。音の反射や遮音が障害物知覚の手がかりとなります。障害物知覚は、物体の存在と、それによって起る音の変化の関係を学習することにより獲得される能力です。(図1)
古来から障害物知覚は視覚障害者の重要な環境認知能力となってきました。障害物知覚のメカニズムを研究すれば、視覚障害者がこの能力をもっと有効に活用できる方法が見つかるかも知れません。
関喜一は現在、障害物知覚のメカニズムを調べるための音響実験装置を用いて、物体による音の変化を再現する実験を行っています。(図2)
実験により、物体による音の聞こえ方の変化のメカニズムが明らかになりました。(図3)
研究成果は、視覚障害教育/リハビリテーションにおける、障害物知覚の訓練方法の開発、及び能力補助技術の開発に応用されます。
詳細
現在の研究
- [3] 視覚障害者移動支援システムの開発
測位技術やクラウド技術を用いた視覚障害者のための総合的移動支援システムの開発のための研究です。
- [4] 聴覚空間認知訓練システム
障害物知覚、音源定位など、視覚障害者の生活・歩行に必要な聴覚空間認知の訓練を総合的に行うシステムの開発です。多くの大学・公的機関との共同研究です。
- [5] 就労支援の研究
視覚障害者のための就労支援の研究です。企業との共同研究です。
- [6] 嚥下音の研究
嚥下障害者のための嚥下音による嚥下機能の評価システムを開発するための研究です。
- [7] アクセシビリティ標準化
高齢者・障害者を含む多くの人が各種情報に自力でアクセスできるようにするためのアクセシビリティ技術に関する標準化活動です。ISOなどの国際標準機関に課題を提案しています。
過去の研究
- コミュニケーション定量化の研究
高齢者のためのコミュニケーション定量化による健康度の評価システムを開発するための研究です。
- 静音車の音の研究
視覚障害者に静音車の接近を知らせる音の研究です。
- 音案内標準化
高齢者・障害者を含む多くの人が公共空間において音案内を利用しやすくするための標準化研究です。
- 障害物知覚のメカニズムの研究
障害物知覚のメカニズムに関する研究成果を紹介します。
- 障害物知覚訓練用音響
障害物知覚訓練用の音響システムまたは音響データの開発のための研究です。
- 聴覚性運動の研究
障害物知覚を獲得した人に見られる「聴覚性運動」という現象を調べる研究です。
- 3次元音響による注意制御の研究
視覚障害や注意障害をもつ人のための3次元音響による情報コミュニケーション支援技術の研究です。
- その他の研究
上記以外の、視覚障害と聴覚のどちらとも関係のない研究を紹介します。