めっき加工テンプレート

めっき加工テンプレートについて

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めっき加工分野を例にして、技能・技術・ノウハウを自社内で蓄積し、継承・共有化を可能とするめっきITツール(めっき加工テンプレート)の開発を行っています。

その際に、数学や統計学、品質工学をツール化しており、それらをコーティング分野に対応した蓄積・分析法として組み合わせてソフト化することで、より効果が発揮するものと考えています。

めっき欠陥要因テンプレート


図1. めっき欠陥要因テンプレート画面

めっきの優れた技能者は、様々なめっき関連項目から、影響度が高い項目をすぐに思い浮かべることができます。これは属人的なもので、他人が共有できるものではありません。どの部分が発生した欠陥に対して重要な影響因子であるのかは、対象とする製品やめっき材料、めっき条件などによって異なり、各企業でも異なります。

このような仮説に基づき、ここでは、特性要因図を用いて、発生した特性(めっき欠陥)に対して、あらかじめ用意した要因に対しての欠陥発生数をカウントし、特性要因図に数値とともに表示する、めっき欠陥要因提示テンプレートを開発しました(図1)。

これによって、欠陥の発生頻度で要因の順位付けを行うことと等価となり、技能者の頭の中にある欠陥マップが構築できます。 その結果、相関最優先項目(ポイント)や解決順序への足がかりが得られ、欠陥対策計画が立てやすくなるとともに、欠陥対策方針に対する社内コンセンサスが得られやすくなります。めっき欠陥要因提示テンプレートを利用することで、前述しためっき技能者の有する優れた能力を自社内で継承可能にできると考えています。

めっき欠陥対策テンプレート


図2. めっき欠陥対策テンプレート画面

トラブル対策で培った経験やノウハウを蓄積・共有できるようにするため、トラブル対策やクレーム処理に関する事例としてデータベース化し、検索機能を活用して事例データを写真などとともに提示できる仕組みを、めっき欠陥対策テンプレートとして作成しました。

また、トラブル対策の過程で複数の対策を行った際に、どの要因に対して対策を行い、それが他の対策に対してどのぐらい効果があったのかを階層分析法(AHP)を用いて分析する機能により、トラブルの対策時における技能者の経験を反映した重みと順位付けができます(図2)。

トラブルなどの対策や工程修正の履歴を保存することが可能となるため、ノウハウ共有、経験した知識や考え方が履歴ある技術情報として確保できると考えます。

めっき欠陥判別テンプレート


図3. めっき欠陥判別テンプレート画面

めっき製品は表面が光沢(ピカピカ)の場合が多く、写真を撮ろうとすると、焦点が合わず製品に撮影者が映りこんでしまいます。また、製品の「大きさ」や「形」は様々で、計測パラメータの設定も困難です。

そのため、欠陥を計測し(角度、ズーム、ピントなど測定を工夫)、正しく写真を撮ることを可能にした上で、欠陥画像情報を計測ノウハウとともに蓄積できれば、後で比較検証しやすく、発生した欠陥の判別に役立つのではと考えました。

「めっき欠陥判別テンプレート」では、まず、タイトル(欠陥種)、めっき欠陥を入力し、めっき欠陥写真を登録します。次に、素材などの情報とともに計測パラメータと欠陥の説明を入力し、データベースにデータ事例として登録できます。登録された事例データはカタログデータとして閲覧でき、新規登録した欠陥画像との比較検証が画面上で可能となります。

めっき作業習熟テンプレート


図4. めっき作業習熟テンプレート画面

めっきでは、筆めっきやカゴめっき、ひっかけめっきなど、作業者が腕の動作を駆使して、品質の良いめっき品の作製を日常的に行っていますが、このような熟練者の作業軌跡を蓄積し、素人でも容易に習熟できるソフトウェアを構築しています。

プルダウンメニューの筆めっき、カゴめっき、ひっかけめっきの中からツールを選択し、あらかじめ、力覚デバイスの入力先に同じめっき法の模型ツールをセットします。次いで、熟練者の作業軌跡を蓄積するために、エキスパートモードを選択することで、熟練者の動きを3次元空間位置、速度、時間で蓄積することができます。

ここで、3つのモードのうち、ティーチングモードでは、力覚デバイスが自動的に軌跡をなぞることが可能で、強制的な力覚デバイスの制御動作により、蓄積した熟練者の軌跡がそのまま提示されます。そして、ラーニングモードを選択することで、作業を進めてよい方向だけに進み、進んでいけないところには壁のように進めない力覚モデルを組み込んであり、熟練者の作業軌跡を半強制的に習熟することができます。最後のチャレンジモードでは、フリーの状態で熟練者の軌跡を真似てみることを行います。

これらの4つのモードは、すべて3次元位置、速度、時系列データとして蓄積し、必要なときにデータを読み出すことができます。必要に応じて立体視による画面の提示も可能です。

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