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本質マグマか? - Myk2000g -


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三宅島 7月14日 の火山灰の反射電子像

宮城磯治 地質調査所 2000.07.24


以下は、基本的に予知連00.07.21に提出した写真(7月14日午後の火山灰)と同様
の写真です。ただし、撮影対象は14日午前中の火山灰です。

7月15日に川辺@地調氏が三七山で採取した試料(14日午前の火山灰)を星住@地
調氏が水洗篩分け(0.25-0.149mm区間)したものを、宮城@地調が片面研磨し、走
査電子顕微鏡で観察しました。午後に降下したものと同様、ある共通した特徴を
持つマイクロスコリアが多数(観察した粒子の約半数)見つけました。

※このスコリアを Myk2000gと呼んでいます。
(観察手法は有珠でUs-2000gを見つけた時と同様です)
Myk2000gが今回の本質マグマに由来する物質であるかどうかは検討中です。

※背景:
7月18日の火山噴火予知連絡会議(予知連)では、
噴出物の中に新しいマグマ起源物質は認められないという結論がなされ、
7月8日と7月14〜15日の三宅島山頂噴火は水蒸気爆発(マグマ無し)であった、
と発表されています。

※宮城は個人的にはMyk2000gは「いかにも本質物っぽい」という印象をもっ
ています。仮にもしこれが本質物であれば、ガラス部分の含水量を局所分析する
ことにより破砕時の圧力(マグマ水蒸気爆発のおきた深さ)が推定できる可能性が
あります(#1; #2)。


以下に、Myk2000g(2000.7.14 A.M.)の特徴をのべます。

Myk2000gはよく発泡している。気泡は非常に細かく(径10μm以下もある)数が多い。
[このことは、Myk2000gマグマが比較的急激な上昇(急減圧)と急冷(水冷など)を受けたこと示唆します]

Myk2000gには組成がほぼ一定の微斑晶斜長石(An=65)および輝石(Mg#=0.7)が含まれる。
[このことは、Myk2000gが一つのマグマ(溜り?)等に由来することを示唆します]

ガラス部分に10μm程度の斜長石および輝石が多数晶出している。
また、下の写真にはありませんが樹枝状の外形を呈する輝石もいくつか見られた。
[少なくとも2度(微斑晶と石基鉱物、の二回)の結晶晶出イベントを持ちます。
このうち後者にはバリエーションがあります]
[玄武岩質ガラスの存在は、マグマが最終的に急冷されたことを意味します]

Myk2000gには風化変質が認められません。

[このことは、Myk2000gが比較的最近の噴出物であることを意味します]
[今回のマグマだと言い切れません。最近の堆積物が破砕された可能性があるからです]


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走査電子顕微鏡を用いた反射電子像(BEI)。画面の一辺は1000μm(つまり1mm)。
下の写真をクリックすると大きな画像がご覧になれます。
 - 続く
 - 続く
 - 続く


※BEIでは、その部分の平均原子番号が高い部分ほど輝度が高く表現されます。



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