速報:三宅島7月14日の火山灰について
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14日午前中の火山灰 |
本質マグマか?
- Myk2000g -
マグマ水蒸気爆発の本質物の発泡形態を持ちます
今回の本質物質である疑いが強まりました
(2000.7.26 22:28改)
宮城磯治 地質調査所 2000.07.24
予知連00.07.21に提出した資料をもとに解説します
7月15日08時50分に川辺@地調氏が神着で採取した試料(14日午後の火山灰)を星
住@地調氏が水洗篩分け(0.25-0.149mm区間)したものを、宮城@地調が片面研磨
し、走査電子顕微鏡で観察しました。その結果、ある共通した特徴を持つマイク
ロスコリアが多数(観察した粒子の約半数)見つけました。以後、このスコリアを
Myk2000gと呼びます。(観察手法は有珠でUs-2000gを見つけた時と同様です)
Myk2000gは発泡形態から「マグマ水蒸気爆発の本質物」と断定してもよいと思っ
ています(2000.7.26 22:28改)が、もうしばらく検討を続けさせて下さい。
簡単に答えが出せない理由は、有珠山のUs-2000gを本質物質と断定したときと
同様に、これが過去の噴出物の破片である可能性をなかなか否定できないから
です。
もしこれが今回の本質物であれば、ガラス部分の含水量を局所分析する
ことにより破砕時の圧力(マグマ水蒸気爆発のおきた深さ)が推定できる可能性が
あります(#1; #2)。
マグマ水蒸気爆発の深さに関する情報は、三宅で現在起きている現象を理解する
うえで、きっと役に立つと思います。
※背景:
7月18日の火山噴火予知連絡会議(予知連)では、
噴出物の中に新しいマグマ起源物質は認められないという結論がなされ、
7月8日と7月14〜15日の三宅島山頂噴火は水蒸気爆発(マグマ無し)であった、
と発表されています。
以下に、Myk2000gの特徴をのべます。
Myk2000gはよく発泡している。気泡は非常に細かく(径10μm以下もある)数が多い。
[このことは、Myk2000gマグマが比較的急激な上昇(急減圧)と急冷(水冷など)を受けたこと示唆します]
Myk2000gには組成がほぼ一定の微斑晶斜長石(An=65)および輝石(Mg#=0.7)が含まれる。
[このことは、Myk2000gが一つのマグマ(溜り?)等に由来することを示唆します]
ガラス部分に10μm程度の斜長石および輝石が多数晶出している。
また、下の写真にはありませんが樹枝状の外形を呈する輝石もいくつか見られた。
[少なくとも2度(微斑晶と石基鉱物、の二回)の結晶晶出イベントを持ちます。
このうち後者にはバリエーションがあります]
[玄武岩質ガラスの存在は、マグマが最終的に急冷されたことを意味します]
Myk2000gには風化変質が認められません。
[このことは、Myk2000gが比較的最近の噴出物であることを意味します]
[今回のマグマだと言い切れません。最近の堆積物が破砕された可能性があるからです]
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走査電子顕微鏡を用いた反射電子像(BEI)。画面の一辺は500μm。
下の写真をクリックすると大きな画像がご覧になれます。
※BEIでは、その部分の平均原子番号が高い部分ほど輝度が高く表現されます。
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Isoji MIYAGI