last update 2017.09.27
巷には英語科学論文の書き方なるものがあふれかえっております。また、英文手紙の書き方や英文eメールのhow-to本が出ているのは非常に心強いものです。ある程度決まり切った表現を使い回せば何とかなる論文作成に比べ、研究者個人の英語力がまともに出てしまうのが査読ではないかと思います。私はこれまで、辞書などにない(見つかりにくい)英語表現を自分でまとめ、電子辞書用の個人辞書として活用してきましたが、こと査読表現については、色々と苦戦し、言いたいことが書けず、投稿者にもエディターにも迷惑をかけてきました。そこで、1つは自分が今後査読をする際の参考にするため、もう1つは同じ悩みを抱えている研究者のために、ささやかではありますが、ここ10年くらいの間に自分が受けた査読結果を中心に、英語論文を査読するときに役に立つ表現集を作ることにしました。自分のアホさ加減をさらけ出すので、かなり恥ずかしいのですが、少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。下記の注意点を熟読の上、ご利用ください。
私の研究分野での査読は次のように、査読原稿情報、General comments、Specific comments の3部から構成されます(もちろん、全員この形式を取るわけではありません)。表現集はGeneral comments編とSpecific comments編それぞれについて作成しています。
ある意味枕詞のようなもので、査読者の感想を続けて述べる場合が多い。この部分を省略して、論文の感想をいきなり述べる場合も少なくない。
好意的なコメントはともかく、否定的なコメントを述べる場合は(大まかでよい)その根拠も述べる方が良い。細かな問題点はspecific commentsで述べればよい。
審査の基準は、学術的重要性、テーマの新規性・革新性、手法の妥当性、議論の論理的正しさなどについて、第三者が読んでも納得できるよう根拠を示して行う(つまり客観性が求められる)。個人的な意見ではあるが、reviewerは投稿された論文をより良くするための協力者である(べき)。論文の内容に問題点が多い場合は遠慮無く却下すべきだが、その場合でもどのようにすれば良い論文になるのかを具体的に指摘することが大切。
個別の問題点を列挙する。ひたすら指摘事項を列挙する人もいるが、「1,2,3, ・・・」、「a, b, c, ・・・」などと箇条書きにした方が読みやすい。かつて、コメントの多くを原稿に直接書き込む事が多かった。しかし、最近は on lineでの査読スタイルが主流であるため、紙媒体の原稿にコメントを直接書き込みにくくなった。そのため、次の様な方法がとられる。
査読表現は基本的に現在形を使う。再査読の場合に、前回内容からの改善点などを述べる場合には現在完了を用いる。