トピックス
High-Tc Cuprates
高温超伝導の相図

高温超伝導体は銅-酸素二次元面をもつ典型的なペロブスカイト構造をした物質です。"高温超伝導の理論"は数多く提出されていますが、超伝導のメカニズムはまだ解明されていないと考えられており、引力のメカニズムを明らかにする必要があります。
銅酸化物の高温超伝導体は非常に二次元性の強い物質であり、超伝導の起源は銅と酸素より構成される二次元面にあると考えるのが自然です。超伝導ギャップの対称性がd波であることから、クーロン相互作用を起源とする超伝導が高温超伝導の有力候補です。すなわち、モデルとしては銅-酸素を考えた三バンドのハバードモデル(d-pモデル)、あるいはより簡略化した一バンドのハバードモデルを考えることになり、いずれにしてもハバードモデルで高温超伝導の高いTcを含めた異常な現象を説明できればいいことになります。

クーパー対
銅酸化物の高温超伝導体もフェルミ面近傍の逆向きスピンを持った電子対に引力が働いて超伝導が起きていることは、通常のBCS超伝導体と同じです。
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ハバードモデルに対する凝縮エネルギーのサイス依存性。上の二本は一バンドのハバードモデルに対するもので、下の二本は三バンドのモデル(d-pモデル)に対するものです。実験値(紫色)に近い数値が得られます。青の実線はストライプと共存した超伝導状態に対するものです。この状態では電荷密度が振動し、電荷密度の大きいところで超伝導ギャップが大きくなることにより安定化しています。低ドープ域でも超伝導が存在しているのはストライプと超伝導が共存しているからだと考えられます。
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低温でLTTと言われる図のような構造をとり、この相ではストライプ、すなわち非一様なスピン-電荷状態がより安定になります。その非一様状態と超伝導が共存します。