第4回 物理選別プロセスの基本的な流れ
1つの装置にかけるだけでなく、決められた順番で幾つかの装置にかけてゆくことをプロセスといいますが、今後の話を理解しやすくするため、まずは、物理選別プロセスの基本的な流れを、簡単なイメージ図で示します。
図の中でA,B,C,Dは、例えばAは鉄、Bはアルミというように、種類の異なる金属と思ってください。「捨てられた製品」は、多くの種類の金属が組み合わさってできていることを模式的に描いています。このままでは、金属種類ごとに選別することができないので、解体や粉砕によってバラバラにしていきます。このとき、1つの粒子が1つの成分(金属種)になるように、バラバラにすることを「単体分離」するといいます。実際には、完全に単体分離させることは非常に難しいのですが、細かく砕いていけば、次第にその状態に近づいていきます。「砕かれた製品」は、さまざまな大きさの物が混ざった状態になりますが、選別工程では粒子の大きさによって選別の方法が変わるため、ふるいで大きさごとに分けます。図では2種類に分けていますが、もう少し多くの種類に分けた方が精度良く選別することができます。ふるい分けされた粒子のうち、およそ1mm以上の粗い粒子は、粒子が乾いた状態(空気中)で選別することができます。しかし、およそ1mm以下の細かい粒子は、乾いた状態ではうまく選別することができないため、水の中で選別を行います。粗い粒子は乾いた状態でも、それ自身の性質に基づいて動くことができますが、細かい粒子は舞ってしまうため、水の中に閉じ込めて選別した方がうまくいくためです。金属の種類ごとに選別された粒子は、それぞれに化学プロセスの原料とされ、「各種の資源」として利用されます。図のように完璧に選別できなくとも資源として利用できますが、化学プロセスにかけられる最低限の濃度以上になっている必要があります。
以上が物理選別プロセスの一般的な流れになります。以後の説明を理解する上で、まずは、この流れを頭に入れておいてください。なお、これらの「選別」を分別(ぶんべつ)と呼ぶ人がいますが、これは間違った呼び方です。「分別」は国語的には「ふんべつ」であり、本来、分けることを意味していません。市民がごみを種類別に分けて出すことを、「分別ごみ」と呼んだことによる造語です。市民があらかじめごみを分けておく行為は「分別」と呼んでかまいませんが、混ざった状態の粒子を、人の意志(希望)に基づいて選り分ける操作は、すべて「選別」です。「選別」は工業的に行われるのでその技術を「選別技術(物理選別技術)」と言いますが、「分別」は市民の行為であるため、「分別技術」というものはそもそも存在しませんので、気を付けてください。