遺伝的アルゴリズムは基本的には, 個の集団に対して, 以下の3つの操作を施すことによって定義される確率過程である.
さて,まず「選択」については,前節で見たリサンプリング法と同様の 手続きである. ただし, にしたものになっているので,現在の集団が に従うものであったとすると, でリサンプリングすることによって得られる集団の分布は
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次に「突然変異」については MCMC 法の中で提案分布に従って候補を生成する ステップとみなせる. 候補の採択・不採択はないが, 分布への収束は 「選択」におけるリサンプリングで行うということである.
最後の「交差」は遺伝的アルゴリズムに特有のステップである. 4 節において,1 変数 MCMC から多変数 MCMC への拡張 について言及したがそれを具体化したものと言える. 二つの個体を使っているという点ではパラレルテンパリング法と同じだが, パラレルテンパリング法では交換のみを行っていた7. ただし,実際に採択率の高い「交差」の確率過程がどんなものになるかは 与えられた問題の性質に大きく依存するはずであり,その辺りの議論が 必要となるであろう.