3.1節などいろいろなところで述べたように, 最適化アルゴリズムの設計において,解くべき問題の構造を反映させることは パフォーマンス向上に有効である. 事前知識が十分に得られない場合は,最適化の段階で適応的に問題の構造を 獲得しながら,それに基づいて最適化を行うことになり,学習・適応といった 研究分野との関連性が深くなってくる. 近年,このような観点から,遺伝的アルゴリズムを中心とした分野において EDA (Estimation of Distribution Algorithm) と呼ばれる手法が活発に研究されるようになってきた. EDA については本オーガナイズドセッションの残りの講演で詳しい解説が あるので,本稿では EDA については最小限にとどめ,関連すると思われる 研究について「構造獲得と最適化」という観点から考察する.
はじめに注意しておくと,あくまで効率的に最適化をすることが目的なので, 問題の構造を学習するための計算コストはそれほど大きくできないことがある. あまり凝った学習法をやって時間をかけているうちに,単純な手法に負けると いった事態になりかねない.