さて,複雑な確率分布を近似するためのものとして,平均場近似 (MFA = Mean field approximation)[13,10]に 基づく手法がある. 目的の確率分布が マルコフランダム場 (MRF = Markov random field) あるいは ベイジアンネットワーク (BN = Bayesian network) といったグラフィカル モデルによって記述されているとしよう. 自体がその形をしている場合もあるし,EDA のように問題構造を獲得する ためのモデルとして利用することもできる.
グラフィカルモデルではよく知られているように単連結なグラフ (singly-connected graph) では確率値計算が容易で,最大値や期待値の計算も 動的計画法による再帰計算が可能である (Viterbi アルゴリズムなどが それにあたる). しかしながら,ループのあるグラフ (loopy-graph) では,なんらかの近似が 必要となる.
確率変数が という 個の成分を持つとしよう. 最も単純なナイーブ平均場近似は,確率分布 を
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ナイーブ平均場近似よりも精度を上げた近似としてベーテ (Bethe) 近似 というものがあるが,これは単連結グラフの場合に用いられる確率伝播法 (Belief-propagation) をループのあるグラフに局所的に適用したものに 一致している. このアルゴリズムを に対して適用すると, の最大値(つまり の最小値) を探索するアルゴリズムに 用いることができる. がある条件を満たせばループのある グラフであっても最大値を見つけられることがわかっている[18].