- 火山の研究例:斎藤ほか(2000)
- 段階熱消磁を用いた残留磁化の測定(成分数)
- 顕微鏡観察によって3段階の酸化度に分類
- 酸化度と残留磁化の成分の対応付け
- 段階熱消磁を用いた残留磁化の測定(成分数)
- 蛇紋岩化の研究例:
手前味噌ですみません!森尻・中川(2009)
- 蛇紋岩化の一般論:かんらん石+水→蛇紋石+マグネタイト+ほかの鉱物
- もとのかんらん石の成分によってできるマグネタイトの量が違う。(Toft et al.,1990)
- 蛇紋岩の原岩組成が同じ/近いサンプルを選んで考察することが大事。
- 同じかんらん岩であれば蛇紋岩化度と磁化率、密度は比例する。
- 同じかんらん岩でも反応する水の量が違うと磁化率は優位に違う。
- もとのかんらん石の成分によってできるマグネタイトの量が違う。(Toft et al.,1990)
- 蛇紋岩化の一般論:かんらん石+水→蛇紋石+マグネタイト+ほかの鉱物
- 火山岩頸 (牧野ほか,1997)、
森尻ほか(2008)
- 花崗岩に安山岩が貫入して、火山岩頸が残っている地質で地上磁気探査を行った結果、安山岩と花崗岩の境界部のごく狭いところで高磁化率ゾーンが見られた。
- 四国はマグネタイトをほとんど含まないイルメナイトシリーズの領家花崗岩類に属する(Ishihara, 1977)。
- サンプリング調査の結果、安山岩の火山岩頸の縁は中心部より磁化が強い。
安山岩マグマが花崗岩と接触して急冷したと考えられる部分もある。
- サンプリング調査の結果、熱接触を受けた花崗岩はきわめて強い磁化を示す。
- NRM の強い花崗岩の顕微鏡観察によれば,初生的に含まれる黒雲母がへき開に沿って細粒のマグネタイトと混合層粘土鉱物に置換されていることが観察された。
- 接触部以外の花崗岩に含まれる黒雲母にはこうした変質作用が認められなかった。
- 四国はマグネタイトをほとんど含まないイルメナイトシリーズの領家花崗岩類に属する(Ishihara, 1977)。
- 観察:川村・青木(2011)
- (川村・青木,2011より引用)
堆積物中には、磁場を感じる能力があるバクテリア(走磁性バクテリア)が棲息している。
この走磁性バクテリアは、細胞内に磁鉄鉱(マグネタイト;Fe3O4)や、グリグ鉱(グレイガイト;Fe3S4)を形成している。
この走磁性バクテリアは、微嫌気性生物であり、酸化還元環境に応じて体内の鉄や酸素、硫黄の量を調整している。
また地球磁場を感知することで、堆積物中の棲息しやすい環境に自らを留めていると考えられる(例えばBlakemore, 1975)
- (川村・青木,2011より引用)
- 環境岩石磁気学は、ほぼすべての堆積物に含まれている強磁性鉱物に対して、岩石磁気学的な手法を用いて、古海洋・古環境推定を行う。
- 海底堆積物に含まれる強磁性鉱物として、走磁性バクテリア起源のマグネタイト(東京大学山崎先生のページの図2)は、これまで考えられてきた以上に普遍的であり、量的にも重要であることがわかってきた。たとえば、走磁性バクテリア起源のマグネタイトが増加していれば、バクテリアが増える条件を推定することによって古環境を復元することが可能になる。
- 黄土層
- 黄土層の示すχの変動曲線が深海底堆積物の酸素同位体比の変動曲線とよく対比する。
- 黄土層の示すχを古降水量と関連付ける。
- 黄土層の示すχの変動曲線が深海底堆積物の酸素同位体比の変動曲線とよく対比する。
- 湖沼堆積物
- 年代対比が重要。
- 年代対比が重要。
- 深海底堆積物
- 過去数百万年の時間記録が得られる。
- NRMやχは、δ18Oと明らかな相関を示して変動する。
- χは、δ18Oと同様に北半球での氷床のproxyとして使える。→山崎(2005)
- 過去数百万年の時間記録が得られる。
- 汚染調査
- 鉄を含んだダストを広域的に調査する。
- 鉄を含んだダストを広域的に調査する。
- 一概には言えないが、磁性鉱物の種類によってその堆積物や岩石が経て来た環境が推定される。
- 代表的なものは以下(pmag01.htmlにも同じ記載あり)。
Mineral Formura Js(Am2/kg) Tc(℃) Tv(K) Density(103kg/m3) Volume
κ(SI)Mass
χ(10-3m3/kg)マグネタイト(Magnetite) Fe3O4 90-92 580 120 5.18 1.0-5.7 0.2-1.1 ヘマタイト(Hematite) α-Fe2O3 0.4 675 ~260 5.26 0.0005-0.04 0.0001-0.0076 マグヘマイト(Maghemite) γ-Fe2O3 70-80 590-675 - 4.90 2.0-2.5 0.4-0.5 ゲーサイト(Goethite) α-FeOOH <1 120 - 4.27 0.0011-0.012 0.00026-0.0028 ピロータイト(Pyrrhotite) Fe7S8 20 320 34 4.62 3.2 0.69 グレイガイト(Greigite) Fe3S4 ~25 - - - - - チタノマグネタイト(titanomagnetite) Fe3-xTixO4 - ※ ? 4.98(x=0.6) 0.13-0.62(x=0.6) 0.025-0.12(x=0.6)
- コアスクールのテキストがとてもツボを得て良くまとまっているが抜粋する。
- ルーチン的に測定されるデータ
- 自然残留磁化(NRM)の強度や安定性
- 初磁化率(low-field magnetic susceptibility)
- 非履歴性残留磁化(ARM: Anhysteretic Remanent Magnetization)
- 等温残留磁化(IRM: Isothermal Remanent Magnetization)
- 自然残留磁化(NRM)の強度や安定性
- 高温の相変態(キュリー点Tc)を熱磁気分析で見る(磁気天秤や振動型磁力計で少量のサンプルを測定する)
磁性鉱物は変質していることも多くキュリー点だけで鉱物を決めるのは難しい。1種類のデータからだけ決められるほど,簡単なことでなはい。
- マグネタイト 580℃
- チタノマグネタイト
下図(コアスクールテキストより)はチタノマグネタイト系列とチタノヘマタイト系列のキュリー点。
縦軸はキュリー点。横軸はチタノマグネタイト系列におけるウルボスピネルのモル比と,チタノヘマタイト系列におけるイルメナイトのモル比を示す。
- さらに,様々の実験条件,加熱を空気中で行うのか(酸化的),真空もしくは不活性ガス中で行うのか(非酸化的)で,加熱に伴う化学変化の様子が大きく変わる。熱磁気分析は,単にキュリー点を決めるためだけの測定ではなく,加熱曲線と冷却曲線の差(非可逆性)から,加熱によって試料にどのような化学変化が起こったのかも推定できる。
磁化温度曲線カタログも参照
- マグネタイト 580℃
- MPMS(Magnetic Property Measurement System)による測定
- 低温の相変態(フェルベー点Tv、モーリン点)をみる
- フェルベー点 マグネタイト 120K、ピロータイト34K
- モーリン点 ヘマタイト -20℃
- フェルベー点 マグネタイト 120K、ピロータイト34K
- 低温の相変態(フェルベー点Tv、モーリン点)をみる
- IRM獲得曲線の解析
- 3軸直交IRM
Lowrie (1990)より
- 交流消磁が済んだ通常のNRM測定用の試料を用意。1つの試料のx方向に1.0 TのIRMを付ける。
- 続いてy方向に0.4 T程度のIRMを付ける。このとき,x方向には1.0 Tから0.4 Tの間の保磁力に対応したIRM(hard)が残される。
- さらに,z方向に0.1 TのIRMをつける。
- y方向には0.4 Tから0.1 Tの保磁力に対応したIRM(medium)が残され,z方向には0.1 T以下の保磁力のIRM(soft)が残る。
- これを測定してx,y,zの3軸の磁化を求める。
- さらに,この試料を段階熱消磁すると,3つの保磁力成分の熱消磁が1つの試料で同時にできる。
pmag02.htmlのこちら参照
- ルーチン的に測定されるデータ