Buckley&Sparks etal(2006)

by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST

Hornblende dehydration reactions during magma ascent at Soufriere Hills Volcano, Montserrat. Contributions to Mineralogy and Petrology. 151: 121-140. (my_id=1730)

目次

問題意識

上昇中のマグマの中でおきる角閃石の分解反応のマスバランスはどうなっているのか


したこと

スフリエールヒル火山の最近の噴出物を調べた.

角閃石の分解組織を観察し,分解前後で鉱物やガラスの量比と化学組成がどうなっているのかを調べた.

わかったこと

閉鎖系の化学反応では,分解生成物の量比を説明できない.

分解に際し,

  • 揮発性成分とTiO2とアルカリ元素(Na2OとK2O)は系から余り,
  • SiO2とFeOは系から不足する.


石基ガラス(間隙)の化学組成を分析すると,溶岩ドームの試料と降下軽石の試料とで違いがみられた.

  • 溶岩ドームの石基ガラスは比較的CaOが多い
  • 降下軽石の石基ガラスは比較的Na2OとK2Oが多い


(補足:溶岩ドームと降下軽石を比較する意味:)

  • 降下軽石の試料は,爆発的な噴火によってもたらされたものだから,マグマが十分急速に地下から上昇している.だからマグマの上昇にともなう角閃石の分解反応は進行しない.
  • 一方溶岩ドームの試料は,ゆっくりと脱ガスしながら上昇したものだから,角閃石の分解反応が進行しているはず.


解釈&結論

  • 降下軽石の石基ガラスがCaOに富んだ理由は,斜長石の結晶化によるもの.
  • 一方溶岩ドームの試料の石基ガラスがアルカリに富んだ理由は,角閃石が分解することによってもたらされたNa2OとK2Oのため.


というわけで,角閃石の分解反応は開放系の化学反応がおきている.

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