Bachmann&Dungan(2002)
by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST
G1711
Bachmann, O. and M. A. Dungan (2002). "Temperature-induced Al-zoning in hornblendes of the Fish Canyon magma, Colorado." American Mineralogist 87: 1062-1076.
したこと
- 角閃石斑晶を沢山分析した(2146分析;コア〜リムを10μm以下のステップで線状に分析)
わかったこと
- P-T-fH2Oの時間変化がわかった(噴火直前まで追えた)
- 角閃石を用いた温度・圧力計の検証ができた
→ BH1990(Blundy and Holland, 1990)
→ HB1994TA, HB1994TB (Holland and Blundy 1994の温度計AとB)
- フィッシュキャニオンの角閃石の組成に,HB1994TBによる換算式を適用すると,コアは温度が715℃で圧力が2〜2.5kbarとなり,リムは温度が760℃(で圧力は同じ?)になった.
- この↑ことは,Bachmann et al., 2002のモデルと合う(ソリダス付近のクリスタルマッシュにマフィックマグマが注入したために再溶融が起きたとするモデル).
※肘折のケース(コアにアルミが多く,リムに少ない)とは逆である.
背景・原理
- 角閃石は主要元素濃度の幅が広い
→5〜9 wt% Al2O3
→44〜50 wt% SiO2
- 角閃石のこれらの元素をコントロールするしているのは,温度に敏感な2つの交換反応である.
→ エデナイト交換:テトラサイトのケイ素 + Aサイトの空き ⇔ テトラサイトのアルミ + Aサイトの(Na+K)
→チタンチェルマック交換:テトラサイトのケイ素 + M1〜M3サイトのマンガン ⇔ テトラサイトのアルミ + M1〜M3サイトのチタン - これら2つの交換反応とは対照的に,アルミチェルマック置換は,角閃石のアルミやケイ素の濃度に影響しない
→ テトラサイトのケイ素 + M1〜M3サイトのマグネシウム ⇔ テトラサイトのアルミニウム + M1〜M3サイトのアルミニウム