Ichihara&Brodsky(2006)
by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST
G1677
Ichihara, M. and E. E. Brodsky (2006). "A limit on the effect of rectified diffusion in volcanic systems." Geophysical Research Letters 33(doi:10.1029/2005GL024753): 1-5.
発泡した液体に振動をあたえると,「Rectified diffusion」と呼ばれる現象によって,溶存していたガスが気泡に押し出される.このため気泡は成長する.たとえば,遠地地震の振動がマグマ溜まりの気泡を成長させるか,あるいは気泡の圧力を上昇させれば,噴火にむすびつくかもしれない.
これまでRectified diffusionがマグマ溜まりに与える影響については,マグマ溜まりを密閉容器と仮定したモデルで見積られ.Rectified diffusionによって気泡の圧力が上昇することが知られていた.
何が問題か
マグマと水の系は,水とガスの系とはかなり異なるので,工学分野(水とガス)のモデルをそのまま応用してはいけない.特に,マグマ揮発性成分の溶解度が圧力とともに連続的に増加してゆく特性について考慮する必要がある.
したこと
溶解度が圧力とともに連続的に増加してゆく特性を取り入れたモデルで,Rectified diffusionがマグマと水の系に与える影響を評価した.
わかったこと
その結果,これまで言われていたよりRectified diffusionの効果はずっと小さいことがわかった.
- Rectified diffusion とは?
振動によって気泡が拡張させられた時,溶液中の気泡の溶解度が減少するため,ガス成分はは気泡へと移動する.収縮するときはこの逆の現象が起きる.この際,収縮するときよりも拡張するときのほうが,移動するガス成分の量が多い.その理由は:
- 拡張時のほうが気液界面の面積が大きいから
- 拡張時には気液界面付が引き延されるため,拡散層が薄くなって拡散が促進されるから.