Papale(2005)
by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST
Papale, P. (2005). "Determination of total H2O and CO2 budgets in evolving magmas from melt inclusion data." Journal of Geophysical Research 110(B03208, doi:10.1029/2004JB003033,): 1-13.
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問題意識
噴火直前のマグマに含まれる揮発性成分の「量」は火山の噴火様式に重大な影響を与える.しかし,
マグマの揮発性成分量 = 気泡中のガス量 + メルト溶存ガス量
のうち気泡のかたちで存在するガス成分の量は,ごく一部の例を除けばほとんどわかっていない.
斑晶ガラス包有物の分析結果は「溶存ガス」の部分だけしか見ていないし, 古典的な手法(相平衡や斑晶組み合わせ)でもガスの総量はわからない.
マグマ揮発成分のうちCO2は特に,気泡中のガス量がみつもれない事による影響が重大. ∵メルトへの溶解度が小さいので.
したこと
マスバランス計算にもとづく理論的なフレームワークをつくった. H2O, CO2, 結晶を含むマグマについて,考察した.
総揮発性成分量線(TV line: total volatile line)というコンセプトを提唱.
ガス開放系/閉鎖系,結晶化あり/なしの系について, TVラインの応用例を示した.
わかったこと
TVラインという考えを導入することにより:
斑晶ガラス包有物がガス開放/閉鎖系で生成したか否かの区別が可能になる ガス開放系のマグマについて,脱ガス過程に制限を与える ガス閉鎖系のマグマについて,総揮発性成分量の計算を可能にする
応用
CO2のマグマ総量を計算したところ, いくつかの例(実際のデータを使用)では, 斑晶ガラス包有物の値より1〜2桁も多くなった.