Zimanowski&Wohletz etal(2003)
by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST
The volcanic ash problem. Journal of Volcanology and Geothermal Research. 122: 1-5. (my_id=G1475)
問題意識
- 火山灰はどのように造られるか.
火山灰はマグマや母岩が細かく破砕されてできる.どうやって破砕するか.
したこと
- レビュー
マグマや母岩を細かく砕いて火山灰を生成するためのエネルギーは,ほぼすべてマグマの熱に由来する.細かく砕くには,単位時間あたりのエネルギーを増すことが必要.そのためには,マグマの熱エネルギーを短時間で作動ガス(水蒸気)に伝達する必要がある.
既存のマグマ破砕モデル
おおきくわけて2つに分類できる.
- hydrodynamic fragmentation 流体としてふるまうマグマのしぶきができる.その特徴は,破砕の起きる場所がメルトとfluid/gas界面付近に限られること(そうは思えないが).粘性と表面張力が低く,メルトとfluid/gasの密度差が小さい場合に効率的に起きる.
- brittle fragmentation 脆性的にふるまうマグマが砕かれる.1番と比較して,粒径が小さいほど必要エネルギーが指数関数的に増大する.
モデル1はほぼ確立されているが,モデル2は広く受け入れられたモデルが存在しない.
モデル1において,火道の中をガスによって加速されながらマグマが移動するときの火砕物の粒度は,Rayleigh - Taylor unstableの式で記述できる.
最小火砕物直径 = (2/3)^(3/2)・π (表面張力/(加速度(メルト密度—ガス密度))^0.5
変数:
- メルト密度→2800 kg/m3とする
- 作動ガス密度→260kg/m3とする
- メルトとガスの界面張力→0.26 N/m とする.
- 粘性は考慮せず.
粘性のないニュートン流体のマグマを直径0.5ミリに破砕するためには,1E3[m/s/s]もの加速度が必要.もし粘性を考慮すれば,より強い加速度が必要になる.
モデル2は広く受け入れられたモデルが存在しないので,実験で検証する.→Zimanowskiの研究意義づけ.
結果
Zimanowskiらによる実験によれば,直径100-200μmの火山灰粒子はモデル2(脆性破壊)で生成した可能性が高い.100μm以下の粒子をモデル1(流体しぶき)で造るには,非現実的なほどの加速度(>3000g; =30000m/s/s)が必要になってしまう.