2006年 銭亀テフラと濁川カルデラの噴出物の調査

by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST
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by 宮城磯治

銭亀テフラおよび濁川カルデラの噴出物を採取するため,2006年8月27日〜8月30日に,現地で露頭位置の確認,露頭の記載,および試料採取を行なった.行程は以下のとおり.

8月27日 早朝 つくばから函館に移動(ANA853便).函館到着後レンタカーを借り,函館市の東方を調査.茅部郡女那川町において,銭亀テフラの一連の層序が確認できる露頭を発見.日没間近につき位置を記録後宿に帰投(ビジネスホテル・シエナ五稜郭).

8月28日は昨日の露頭に移動し,銭亀テフラを13 層序に分けて記載後,10試料を採取.また,亀田郡戸井町釜谷において噴出地点近傍の層序が確認できる露頭を発見し,10層序に分けて記載後,4試料を採取した.午後は濁川の露頭位置確認のため函館市の北方に移動.茅部郡蛯谷町において濁川の一連の層序が確認できる露頭を発見.位置を記録後宿に戻った.

8月29日は昨日の露頭に移動し,13層序に分けて記載後,10試料を採取した.作業後,濁川の地熱発電所を見学し,荷物の発送とレンタカーの返却後,函館からつくばに移動(ANA864便).



2006年8月27日

つくば → 函館

07時40分つくばエクスプレス発車.

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  • 10時50分飛行機離陸@羽田空港.

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  • 離陸直後は雲が多目だったが,北上するにつれ晴れてきた.

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  • 田沢湖,秋田駒ヶ岳,岩手山.

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  • 多分,玉川ダム.

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  • 岩手火山

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  • 十和田火山

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  • 八甲田火山.

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  • 下北半島

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  • 下北半島の恐山火山.

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  • 12時00分函館空港に到着.レンタカーの手配.

銭亀火山

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  • 銭亀火山の調査は今回が初めて.事前の情報によれば,函館周辺は土地の開発が進んでしまったために銭亀の噴出物が見れるような露頭は無いとのこと.とりあえず,先行研究の層厚分布にしたがって,やみくもに走ってみる.段丘をねらうのがよいが,丘陵地帯に偶然とり残された平地も,降下火砕物が浸食されずに残っていることがある.

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  • 銭亀テフラらしき露頭はない.三紀の古い溶岩があった.

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  • ここもない.

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  • ここにもない.

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  • a1538.県道ぞい.wpf088「唐川橋」で,水平成層がみえる露頭を発見.テフラっぽい.明日チェックしよう.


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  • a1616.古い溶岩の採石場.ここにも銭亀テフラはなさそうだ.さらに林道を奥に進む.

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  • a1635 (wpf090).やっと「バッチリ」の露頭を発見.銭亀テフラが上から下まですべて見える.

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  • 基底部の拡大と,露頭の全景.

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  • すっかり暗くなってしまった.

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  • ホテルに到着.いやーくたびれた.

2006年8月28日 2日目

銭亀火山の試料採取のつづき

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  • 8時前にはホテルを出発.まずは,昨日発見した露頭に向かう.GPSとカーナビのおかげで,確実に到着.

すっかりサンプリングを終えた.次は,噴出孔近傍の銭亀テフラの観察と採取.

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  • 海岸ぞいに移動.

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  • 住宅地である.なるほど,この調子では露頭がなかなか無い.

露頭を探しながら50〜60kmぐらいで走り,ちょうど右折しかけたときに,後の車が急ブレーキで追い越しを中断して右車線に停止.エンジンをふかしながら猛烈に車間を詰めてきたのとほとんど同時.それも束の間,その車は急発進して前方に見えなくなった.もうちょっとマナー良く走ってくれないかなぁ..


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  • やっと,空き地に露頭らしきものを発見.周囲の様子.

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  • b1213 (wpf091) 近傍の,銭亀テフラ&火砕流が上から下まで見える露頭.露頭の記載して,試料を採取した.

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  • 試料採取を終えた途端,急に雨が降ってきた.もう少し遅れたら,ずぶ濡れになっていただろう.

濁川火山へ

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  • みかけた看板.たしかに,自転車でもハイスピードは危ない.

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  • 午後2時すぎ,おそめの昼食.ここのラーメンは可もなく不可もなく.

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  • 駒ヶ岳小学校.火山の名前がついているなんて,なんて素晴しい!

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  • b1603 (wpf093) = 「960803-1の採取地点に再訪問」
    コンブ漁の家の方にちょっと断って,海岸に出た.濁川が出ている露頭があるはずだが,すっかり草に覆われてしまい,見る気がおきない.鎌をもって再来しようか...

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  • 目当てにしていた露頭がダメになった.付近にホームセンターや金物屋もなかった.

こういう時は勘をたよりに,林道を走りまわるのが一番である.

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  • b1748 (wpf095)
    濁川が全部見える露頭を発見.もう時間切れなので,GPSに位置をマーク.明日ここに来る.

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  • 建設途中の道路.橋の上から撮影.

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  • 夜の函館.今日もくたびれた.やどの近くで夕食.ビールがうまい!


2006年8月29日 3日目(最終日)

濁川の噴出物

朝9時には露頭の前に到着.

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  • c0900 (=昨日の,b1748).濁川の頂部.黒ボクの上にある白い層は,北海道駒ヶ岳起源の軽石.

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  • 濁川の基底部.濁川の下には厚い火砕流があるが,柳井・他(1992)の記述では特定できず.

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  • 濁川の上にある黒ボクと,駒ヶ岳の噴出物の境界部分.

この露頭には二時間半へばりついて記載と試料採取.11時40分に露頭を離れた.今回は露頭が見付からないのではないかと心配していたが,順調にすすんだ.帰りの飛行機まで若干時間があるので,濁川の地熱発電所を見学にゆく.


地熱発電所

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  • 濁川の地熱発電所に立ち寄った.

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  • 発電機.定格5万キロワット.現在2万キロワットで運転中.

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  • 発電機.
    非常に丁寧な解説をしていただいた後なので,構造がとてもよくわかった.

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  • 変圧器と,送電線.いたってシンプルである.

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  • 濁川カルデラのほぼ中央部で,パノラマ撮影.

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  • c1310 (wpf096)
    三岱,「深い川」の工事現場. c0900と同じ層序である.

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  • 5号線ぞいのドライブインで昼食後,空港にむけて出発.


今回の出張は期待以上の露頭と好天に恵まれ,非常にうまくいった.飛行機まで時間はたっぷりあったので,空港まで心穏やかなウイニングランの予定だった.ところがb1603の近くでネズミ捕りにつかまってしまった.充分ゆっくり走っていたつもりだったが,スピード違反とのこと(40km規制のところを58kmで走行).たしかにその場所には40制限の小さな看板が立っていたし,おまわりさんが言う速度は,直前にGPSに表示されていた数字と同じだったから,反論の余地はない.にこやかに12000円の突発税を納付.


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  • ちょっと遠回りして恵山に寄ろうとしたが,ひどい雨だったのでショートカット.

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  • 函館は晴れていたので,荷作りが助かった.コンビニで荷物を3個発送.トイレで着替え.

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  • 函館空港.
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