三宅島2000年活動に関する見解
SO2放出の意味について
地質調査所 2000.08.31
担当:風早
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結論:
8月18日以降は,
“火口底下数百m以内の場所”に“脱ガスしていない新鮮なマグマ”が
50万〜500万トン/日上昇してきている.
今後の活動推移を予測するために,
航空機等の活用によるSO2放出量の繰り返し観測が重要である.
SO2の特徴:
1)マグマ起源であり,熱水中で生成することは不可能.
2)容易に熱水・地下水と反応して,H2SO4に変化する.
3)玄武岩質マグマから放出される圧力は50気圧以下(注1).
SO2放出状況:
8月18日の噴火でSO2は少なくとも1万トン放出された(TOMS dataを自前で概算).
8月18日の噴火後はSO2が定常的に放出され,
26日・27日のCOSPEC観測(平林私信,東工大)では,1400t/dおよび5000t/dクラス.
8月28日は関東地方の広域でSO2を確認.においはH2Sと思われる.
概算で数千トン以下.
SO2によるマグマフラックス:
1)玄武岩質マグマ中にSO2として見れば1000-4000ppm.
2)COSPEC結果から50万〜500万トン/日(注2)の未脱ガスマグマが
浅所へ上昇.
3)8/18から8/29までで,500-5000万トンという大量のマグマが低圧で脱ガス
脱ガスマグマの行方が問題:
浅いところにため込まれている可能性があり,
地下水との接触により大きなマグマ水蒸気爆発を生じる.
8/18の噴出物は,石基が微結晶質で脱ガスマグマであるが,
爆発的噴火を引き起こすにたる熱は持っていた.
また,仮に50気圧で脱ガスしたマグマがあっても,
残った水(たとえば0.5wt%)によって,自己破砕を起こす程度のことは可能.
(注1)
Sの溶解度はマグマの組成,温度などで大きく変化しますが,
同じ玄武岩質のハワイのマグマでは低圧(20気圧)にならないとでない.
(Moore and Schiling, 1973; Gerlach,1986).
(注2)
COSPEC観測を行った平林教授によると
噴煙の上昇速度を3m/sと仮定して出した結果とのこと.
また,上記の計算では,H2S放出量を考慮していない.
したがって,S放出量としてはさらに多いはずで,マグマ供給量も多くなる.