Pu u Oo 2007

by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST

kilauea_iki_1993_06_I.Miyagi.jpg

  • 固結した溶岩湖の上を歩く(ハワイ・キラウエアイキ).1993年6月 宮城撮影
    スケールは,画面中央手前の軍手と,奥の人影.


ページ作成:2007年7月15日
文責:宮城磯治@産総研・地質調査総合センター


目次



はじめに

最近の非常に活発なキラウエアの活動は,1980年代以来の「世紀のショー」と言えるぐらいのものだそうです.日本は火山国ですが,火山学者でも生の噴火にはそう頻繁に逢えるわけではありません.ハワイと日本では火山の噴火様式も異なりますが,ハワイでの映像をよく見ておくことで,噴火現象を理解するうで大事なヒントが得られるかもしれません.

情報処理技術の進歩とインターネットのおかげで,世界中の人がライブカメラの映像を見れるようになっています.米国地質調査所(USGS)の支所であるハワイ火山観測所(HVO)は,キラウエア火山の観測のためにPu u Oo(場所)の北がわに監視カメラを設置しており,この画像をHVOのウェブページ(ウェブカメラの公開URL)で公開しています.

しかしながら溶岩は地表に出るとすぐに表面が固まって黒く見えるため,いま流れている溶岩と既に固まった溶岩との区別は,静止画で非常に困難です.そこで5分毎に更新されているこのHVOのウェブカメラの画像を5分おきに保存し,時系列にそって動画にしてみました.すると,固化した溶岩表面の動きがとてもよくわかるようになりました.

米国地質調査所(USGS)のハワイ火山観測所(HVO)のウェブカメラが撮影した最近のPu u Ooの様子は,5分おきに上書きされて失なわれます.現時点では,過去の画像のアーカイブは公開されていないようです.そこでこのページでは,時間とともにウェブ上から失なわれてしまう画像を保存し,これらをムービー化することにより,観察の役に立てようと思います.また,ハワイの火山活動に関するネット上にみられるの情報などをとりまとめようと思います.


Pu'u 'O'o

場所
プウ・オーオーの場所をグーグルマップで示すと,こちらになります
名前の意味
手元のハワイ語の辞書(New Pocket Hawaiian Dictionary, University of Hawaii Press, ISBN=0-8248-1392-8)によると,Pu'u 'O'o のうちPu'uの部分は,「もりあがった物」を指すそうです.にきび,いぼ,こぶ,扁桃腺,のどぼとけ,関節,塊,丘,山,などの意味になるそうです.しかしながら'O'oの部分の解釈は,ハワイ語はアクセントや息の止めかたで全く異なる意味になってしまうそうなので,辞書だけを頼りに読み解こうとする「外人」にとって厳しいものがあります.たとえば'O'oは熟れたもの,成熟したもの,成人,などの意味があります.その場合プウ・オーオーは「力余る絶好調の山」だという意味になるでしょう.しかしながら,'O'oには「地面に穴をあける棒状の道具」という意味もあり,また,ハワイの伝説ではペレ女神が'O'oをつかって火口を開くとされているとのことから,「'O'oであけた穴の丘」というような意味にもとれるでしょう(ちなみに'O'o haoは鉄製(hao)の穴掘り道具だそうです).さらに,'O'oはO'o鳥だと解釈することもできるので,その場合は「'O'o鳥の丘」という意味にもとれるでしょう.USGSのページでは「ハワイにかつて棲んでいたが絶滅した鳥(オーオー)を」を指すとの解説があります[1].※さらに別の解釈をご存知の方は,お教えください.

2007年のハワイの火山活動

動画

2008年7月10日 視界の悪い状態が続く

  • 青白い煙がたちこめているため,USGSのウェブカメラではプウ・オーオーの内部の確認ができない状態が続いています.視界が悪いので動画は掲載しません.

2007年8月29日 カメラに泥(?)が付着

  • 相変わらず青白い煙がたちこめているため,USGSのウェブカメラではプウ・オーオーの内部の確認ができない状態が続いているので動画は掲載しません.
  • 日本時間で2007年8月29日午前1時40分〜45分の間に,何らかのイベントがあり,監視カメラ前面のガラスに何かの粒子が付着しました.3台のカメラとも,同じ時刻に似たようなゴミが付着しています.USGSの発表によると,火口内から投げ飛された泥とのことです.

2007年7月23日〜 視界の悪い状態が続く

  • 青白い煙がたちこめているため,USGSのウェブカメラではプウ・オーオーの内部の確認ができない状態が続いています.視界が悪いので動画は掲載しません.

2007年7月20日〜7月23日 溶岩の流入→溶岩湖表面レベルの急激な低下

puuooM20070720-23_USGS_movidx.jpg

これは,HVOのウェブカメラの画像を5分おきに保存し,時系列にそって動画にしたものです(ウェブカメラの公開URL).動画のフレームレートは1秒間に12コマですから,動画の1秒は実時間の1時間に相当します.

  • 7月20日(日本時間,以下同様)には,西がわの火口(画面右がわ)から流れ込む溶岩流が,固化しかけた溶岩湖の上に堆積してゆきました.
  • 7月21日には大きな変化がありました.溶岩湖のレベルが,18時40分ごろから,ほんの4時間位の間に一気に低下しました.まるで洋式水洗トイレを流すように,溜っていたマグマが地下の穴に向かってマグマが流れ去った模様です.
  • 7月22〜23日は,雨のため視界の悪い状態が続いています.

この動画ファイルは私設レンタルサーバーに置いてありまますが,転送量制限等の都合により別の場所へ移動や削除する可能性もあります.また,もしUSGSがより高品質な動画の提供を開始した場合には,削除する予定です.

2007年7月15日〜7月20日 固化した表面を溶岩が断続的に覆う程度

puuooMore2007070915-0720_movidx.jpg

これは,HVOのウェブカメラの画像を5分おきに保存し,時系列にそって動画にしたものです(ウェブカメラの公開URL).動画のフレームレートは1秒間に12コマですから,動画の1秒は実時間の1時間に相当します.

  • 7月15日(日本時間,以下同様)画面左側のEast Pond Ventからの溶岩の流出はみられなくなりました.しかし画面右側から(West Gap?)断続的に溶岩が流入しています.溶岩が定置したあと半日ぐらいで体積が半分ぐらいに縮んでいるように見えます.マグマの脱ガスメカニズムを考えるうえで興味深い現象です.
  • 7月19日には画面右上の,South Wall Complexのすぐ西がわで小さな溶岩噴泉が見られました.

この動画ファイルは私設レンタルサーバーに置いてありまますが,転送量制限等の都合により別の場所へ移動や削除する可能性もあります.また,もしUSGSがより高品質な動画の提供を開始した場合には,削除する予定です.


2007年7月09日〜7月15日 増加→低下→表面の固化→断続的な溶岩流入

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これは,HVOのウェブカメラの画像を5分おきに保存し,時系列にそって動画にしたものです(ウェブカメラの公開URL).動画のフレームレートは1秒間に12コマですから,動画の1秒は実時間の1時間に相当します.溶岩の流れ方や増減が大変興味深いです.

  • 7月10日(日本時間,以下同様)の真夜中は溶岩のレベルが高くなり,画面左から右に向かってってどんどん流れていました.ところが
  • 7月11日の昼ごろにかけて溶岩のレベルはぐぐっと低下.しかし
  • 7月12日の昼ごろにかけて,画面右からも左からも流れ込み,レベルが高くなりました.ところがその後レベルは低くなり,
  • 7月15日にはほとんど固結してしまいました.しかし今度は画面右からの流れ込みが始まったように見えます.


この動画ファイルは私設レンタルサーバーに置いてありまますが,転送量制限等の都合により別の場所へ移動や削除する可能性もあります.また,もしUSGSがより高品質な動画の提供を開始した場合には,削除する予定です.

2007年7月9日より前の動画

→ 残念ながら画像データは手元にありません.


重要:コピーライトについて

米国地質調査所の文書によれば,同調査所が撮影した画像等はパブリックドメインソフトであって自由に使ってよいが,画像等の帰属(credit)を明示するように求めています.詳細はこちらのページにあります.そこで以下のように明示します.もし以下の動画を教育等の目的で再利用する際にも,米国地質調査所の指針に従って,以下のようなクレジットを明示すべきです.

動画の元画像のクレジット:
Live panorama of Pu`u `O`o vent, Kilauea Volcano
Hawaiian Volcano Observatory, U. S. Geological Survey

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