MIAYKE Koji's Homepage

AIST
研 究 紹 介

AFMを利用したナノインデンテーション

特徴
  • μNからnNレベルの荷重域での押し込み試験による圧痕形成が可能
  • 圧痕形状をnmオーダーの分解能で観察することができる
応用例 −AFMインデンテーションによるポリマー薄膜の機械的特性評価−
 高分子材料であるポリスチレン(PS)薄膜を対象に,AFMインデンテーションを薄膜の機械的特性評価に応用した例を紹介する。

 図5は、球状圧子とダイヤモンド三角錐圧子を用いて得られたPS膜の弾性率である。PS膜として、膜厚が約150μmの厚膜(△、□)と約55nmの薄膜(▲、■)を用いた。
AFMの探針としては、ダイヤモンド製の三角錐圧子(△、▲)と曲率半径約100nmのRhコート窒化珪素探針(□、■)を用いた。



図 PS膜の弾性率
 図中点線は、PSのバルクの引張試験より求めた弾性率(~ 4 GPa)、及び薄膜の膜厚(~ 55 nm)である。

 厚膜,薄膜共に、表面近傍(5 nm以下の押し込み深さ)では、弾性率がバルクの値よりも小さくなっていることがわかる。これは、表面とバルク中での分子の運動性の違いにより、表面では圧子により負荷される応力が、バルクと比較して容易に緩和されることに由来すると考えている。

関連文献

  1. "Elastic Modulus of Polystyrene Film from Near-Surface to Bulk Measured by Nanoindentation Using Atomic Force Microscopy"
    K. Miyake, N. Satomi, and S. Sasaki
    Applied Physics Letters 89(3), 031925 (2006).

  2. "The Effect of Pile-up and Contact Area on Hardness Test by Nanoindentation"
    K. Miyake, S. Fujisawa, A. Korenaga, T. Ishida, and S. Sasaki
    Japanese Journal of Applied Physics 43(7B), 4602-4605 (2004).

  3. "ナノインデンテーション法による薄膜材料の機械的特性評価"
    "Evaluation of Mechanical Properties of Thin-film Materials Using Nanoindentation"
    三宅 晃司,佐々木信也
    Koji Miyake and Shinya Sasaki
    応用物理 79(4), 341-345 (2010).
    OYO BUTURI 79(4), 341-345 (2010). [in Japanese]

  4. "ナノインデンテーション"
    "Nanoindentation"
    三宅晃司、元田智弘、佐々木信也
    Koji Miyake, Tomohiro Motoda, and Shinya Sasaki
    トライボロジスト 51(7), 518-523 (2006).
    Journal of Japanese Society of Tribologists 51(7), 518-523 (2006). [in Japanese]