アジア大陸から北太平洋へのsulfateおよびblack carbon粒子の輸送
Transport of sulfate and black carbonparticles from the Asian Continent to the North Pacific

兼保直樹
Naoki KANEYASU

アジア大陸から西・中部北太平洋地域に輸送される大気エアロゾルは、海底堆積物の 供給源あるいは海洋生態系への栄養塩の供給源の観点から、これまで主として黄砂等の土壌粒子を対象として 観測されてきた。一方、人為起源エアロゾルが太陽放射伝達に与える直接・間接の効果に対する 注目が集まり、モデル計算によるsulfate等の分布とradiative forceingのマッピングが発表さ れている。

しかしCO2等のように相対的に不活性な温室効果気体と異なり、対流圏 内の大気エアロゾルの分布は地理的および時間的に非常に大きな変動を示し、気象的・大気化 学的な多種の要因に支配される。このような現象面についての理解を欠いたまま、いたずらに 既存の化学物質輸送モデル(CTM)の詳細化等を追求するのは、誤った結論を導く恐れがある。 そこで、筆者らは、アジア大陸からの大気エアロゾルの流れ出しの状況を出口で押さえるべく、 以下に示す3種類の観測的研究を行ってきた。

まず、アジア大陸東岸に特有な輸送機構として、冬季北西季節風に伴う輸送パターン把握のため、
1)日本海西部、東シナ海北部において、航空機・船舶による大気汚染物質の短期集中観測 を1991年から1994年まで実施した。 ⇒ 流れ出しパターンの観測


また、流れ出す大気エアロゾルの量的な情報を入手し、その季節変動を明かにするため、
2)中国沿海部に並ぶ主要な排出源地域に網をかけるように位置する南西諸島 (奄美大島、宮古島、西表島)において、大気エアロゾルの通年観測を1991年から1994年 まで実施した ⇒ 島嶼における定点観測


さらに、長距離輸送の結果として、太平洋の中心部にまで広がった陸上起源大気エアロゾルの 分布状態を押さえるべく、
3)太平洋中心部における大気エアロゾル濃度の南北・東西分布に関して船舶を 用いた夏季・春期の観測を1992年から1996年まで実施した。 ⇒ 太平洋中心部での船舶観測

ここに、これらの観測により得られた成果の概略を紹介する。

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