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3.1 力/力覚フィードバック
図1(b)の台詞からジャンボーグAの操縦システムが何らかの力/力覚フィードバック
を行っているという設定である可能性は高い。
操作者に力や力覚をフィードバックすることは
作業性に大きな関連がある
[5][35][61][6][44][7]。
勿論、2.1で述べたように、
R. A. HeinleinのWaldoで、既に力フィードバック付きマニピュレータが提案されているが、
そのダイナミックな利用を図解したのは、「ジャンボーグA」が最初と思われる。
全くの空想的な状況であるが、突きや蹴り等の動作をロボットにやらせることを想定しよう。
ボクシングの右ストレートやキック・ボクシングの回し蹴りでは、相手に有効
なダメージを与えるために、インパクトの瞬間に、自分の体重の相当の部分
を拳や脛にのせて打撃を行う。拳や脛が適切に相手に当たれば、その時の反力
によって、姿勢を適切に保つことができる。逆に、相手にかわされると、自分が
バランスを崩し、場合によっては転倒してしまったりする。
突きや蹴りが対象に当たった時の反力がなければ、操縦者は姿勢を崩してしま
う。また、操縦者の体勢とロボットの体勢が大きく異なってしまい、その後の
操縦が困難になってしまう。テレイグジスタンス方式により、このような動作
を行う場合、力フィードバックは不可欠な技術となる。
ただし,図1や図2に示されるマスター・システムの構造では、一見して
本格的な力フィードバックは難しいと考えられる。
筋肉への電気刺激、力覚神経への刺激等を利用して、力覚のみを発生さ
せている可能性がある。しかし、力覚フィードバックだけでは、運動量の保存を考えると、
対象からの反力無しには操縦者が姿勢は崩れてしまうという問題は解決できない。
勿論、現時点において、格闘技のような本格的な力フィードバックを必要とする作業
をロボットの作業として想定するのは非現実的であり、多くの作業の場合力覚フィー
ドバックのみで十分であろう。
しかし、後述するが、テイレイグジスタンス方式による
下半身への運動指令生成の困難は、まさに脚部への力フィードバックが難しいという点に起因している。
さらに将来的には、本格的な力フィードバックを必要とする作業も、ロボット
の作業として想定されるようになる可能性があり,研究開発の継続が必要であ
る。
Eimei Oyama
2001-11-10