金属スクラップ火災の防止策は?
火災の原因調査などの結果をもとに,今後,検討する必要がある対応策を挙げてみました。
電池類,トナー粉等の回収
電池類は,高いエネルギー密度を有し,火災爆発危険性を有しています。このうち,収集段階では,鉛蓄電池の回収は概ね可能ですが,リチウム電池などの使い捨て電池の回収はなかなか難しいと考えられます。また,機器に内蔵されている電池類の除去も行うべきですが,使用者,排出者が機器を分解することは元々,難しいことです。トナー粉も製造,使用,再生処理中に時々粉じん爆発を起こしていますので,金属スクラップに紛れ込まないことが望まれます。その他,ガソリン,灯油などのタンク,塗料などの缶も排出に当たっては油分を十分取り除いた上で排出することが望まれます。
保管段階での安全基準の作成の提案
金属スクラップ,大部分の電池類は,消防法では,ほとんど規制が掛かりません。しかしながら,消防法・指定可燃物の貯蔵,取り扱いに関する基準などを参考に火災防止のための対応策を事業者に指導することも検討する必要があります。例えば,保管に当たっては,積み上げる高さを一定程度以下に抑える,3方向以上にスペースを確保するなど,火災予防と消火対策を考慮する必要があります。また,一定の消防設備(例えば,消火器,消火栓)を備えることが望まれます。
消防、海上保安当局への通報,連絡体制を整える
船舶火災では,日本語の話せない外国人船員からの通報体制をどうするのかについて検討が必要です。
消火活動について
堆積物を掘り起こすためのバックホウの利用が可能な状況にある火災では,堆積物を掘り起こしながら可燃物表面へ直接放水するのが,最も確実な消火方法です。船倉などのように,泡による封鎖効率が比較的高い状況下では,気水比の大きい泡による封鎖が,火勢の抑制に有効です。泡による封鎖が困難な大規模堆積物の火災で,バックホウが利用できない場合,現時点では大量放水を優先します。将来的には,泡供給方法の改善も踏まえた上で,泡消火の本格適用も検討の必要があります。
事後対応
事後対応として,出火した運搬船を直ちに出港させることなく,消防および海上保安当局の火災原因の調査に協力して貰うことが望まれます。
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