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大木研究室
第19回  選別方法の分類3~どの性質で分けるか2~

今回は、集合選別機を対象に、対象物となる粒子のどの性質を利用して選別するか?をお話しします。第17回では、利用できる性質はそれほど多くないと説明しましたが、現在、選別に利用されている主な性質についてお話しします。

第16回では、水平リサイクルするために、細かな種類で分けたいということをお話ししました。それぞれの素材の種類に応じて、「重い」とか「磁石に付きやすい」などの性質が少しずつ異なるので、その性質の差を利用して選別しますが、素材の種類とは関係ない性質もあります。下の表に、選別に利用される粒子の性質と選別方法をまとめました。現在、選別に利用される主な性質は7つあります。このうち、大きさや形状は、大きな塊を砕いたときに決まる性質なので、多くの場合、素材の種類とは無関係です。その他の5つは、素材の種類に特有の性質になります。特に、密度(比重)、磁性、導電性の3つを利用した選別は、比較的簡単にできるので、多くのリサイクル工場で使われています。選別のしやすさという点からみると、“導電性の差で選別する際には前もって磁石に付きやすいものを除いておく” “帯電性を利用した選別は、できれば2種類に絞って選別機に入れる” 等の工夫は必要ですが、これら5つの性質は、互いに他の性質を利用した選別の邪魔をすることがほとんどありません。例えば、磁性を利用して磁選する際には、他の4つの性質がどうであるかはほとんど影響しません。

一方、「大きさ」と「形状」は、多くの場合、素材の種類に特有の5つの性質を利用した選別の邪魔をします。第17回で、集合選別では、「素材の性質の違いによって、粒子が勝手に移動する環境を作る」と言いましたが、粒子が移動する際には、少なからず素材の種類と無関係な大きさや形状が影響するので、そのバラつきが大きいと、種類に関係なく、大きさや形状の違いで選別されてしまいます。そのため、選別する前には、大きさや形状のバラつきを最小にするため、前もって粒子の外形を揃えておくことが大切です。ただ、現状は、ふるいで大体の大きさを揃えることはできても、形状を揃えることはうまくできません。将来、このような選別ができると、結果的に5つの性質を利用した選別の精度を上げられることが期待できますね。

第19回図

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