第14回 単体分離しやすさ、させやすさ
前回、少し難しかったかもしれませんが、うまく選別するためには、まず、単体分離させることが重要であることを述べました。では、どうすればうまく単体分離できるのでしょうか?結論を先に言うと、まだよくわかっていないのですが、ここでは考え方だけをお話しします。
図のような4つの対象物があるとします。一般的でない場合も含まれますが、例えとして、これらをそれぞれ単体分離させることを考えます。りんごは皮と白い実に、空き缶は塗料とアルミに、ガラスの置物はガラスと船の模型に、フリーズドライの味噌汁は味噌と野菜に単体分離させます。単体分離が目的ですから、破壊されたものはどんな形になっても良いので、それぞれの粒(かたまり)に分かれた状態にすることを考えます。このとき、皆さんなら、どの道具を使うでしょうか?すぐにわかるものと、迷うものがあるかもしれません。りんごは皮をむけばよいので、この道具の中で選ぶなら「ナイフ」ですね。空き缶はどうでしょう。塗料をはがすか、削るかですが、この道具の中なら「やすり」が良さそうです。ガラスの置物はどうでしょうか?瓶の中に船の模型が入っていますね。瓶は壊れて良いので、ハンマーで軽く叩くと良さそうですね。では、フリーズドライの味噌汁はどうでしょう?これは、どの道具でもきれいに単体分離させるのは難しそうですね。強いて言うなら、ハンマーで粉々にするのでしょうか?それでも、よく見ると野菜に味噌の粒が残りそうです。
このように、対象物によって、適した道具があるということと、それを使った時の単体分離のされ方は異なることがわかるかと思います。リサイクルの場合には、ゴミの種類が非常にたくさんあるので、それに適した道具の組み合わせも無数にあり、最適な方法を決めるのは非常に大変なことです。また、ここでは、例え話として日常的な道具を人が使うことを想定しましたが、実際に使われる破砕機は、機械的にたくさんのゴミを一度に破砕するので、それほどきめ細やかな操作ができるわけではありません。破砕機の多くはハンマーで叩くのと似た構造のものですので、「ガラスの置物」は単体分離させやすいですが、「フリーズドライの味噌汁」は難しく、「りんご」や「空き缶」はとても難しいということになります。現状では、普通に使われる破砕機にとって、単体分離させやすい対象物かどうかという見方をしますが、もし、ナイフややすりのような様々な種類の単体分離させる機械が発明されれば、この見方も変わるかもしれません。いずれにしても、単体分離しやすい対象物か?単体分離させやすい装置か?を、簡単に見極めることができないことが、リサイクルを難しくしている原因の1つになっています。